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本城 留美(ほうじょうるみ)さん  (2014年6月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

福岡空港ビルディング株式会社 事業部長

信頼できる仲間と、焦らずチャレンジしたい

 福岡空港ビルディング株式会社で、事業部長を務める本城留美さん。同社で唯一の女性部長であり、“女性社員のトップ”と称されるが、本人は全く気負わず、いたって自然体だ。「私は旗を振って先頭を走るタイプではないので、みんなと一緒に仲間として仕事をしています」と穏やかに語る。

免税店事業を皮切りに、様々な業務を経験

 18歳のとき、同社に就職。会社の主な事業内容は、福岡空港ターミナルビルの施設・設備等の管理、免税店の運営管理、航空旅客等への案内サービスの提供の3つ。本城さんは空港内にある免税店の販売員として、接客からスタートした。「お客様はほぼ日本人で、お酒とたばこ、香水が飛ぶように売れました。任される領域が徐々に大きくなり、仕入れたものが売れるのがやりがいでしたね」。仕事がおもしろく、気づけば18年の月日が流れていた。
 そんなある日、思わぬ転機が訪れる。突然、総務部へ異動になったのだ。「ずっと免税店の担当だと思っていたので、ショックでした。ただ、私、切り替えは早いんですよ」と大らかに笑う。本城さんの任務は、人事制度改革として、男女平等の賃金体系を作ること。未知の分野に必死で挑んだ。「寝ても覚めても賃金のことばかり考え、眠れない日が続きました。でも、早い時期に男女同等の制度が整ったのは、恵まれていたと思います」。
 6年後、関連会社へ出向して課長に昇進。「何よりまわりの皆さんが喜んでくれたことがうれしかった」という。ただ、社会的に女性の管理職は珍しく、「『課長に』と電話がかかってきて、私が出ても『課長をお願いします』と言われることもあった」と明かす。それでも自分らしく仕事にのぞんだ。一方、自身のことで思い悩んだ時期でもある。父親が亡くなり、自らも病気を発症して入院・通院が長期化。申し訳なく感じて「私がここにいてもいいのでしょうか?」と上司に尋ねたという。すると「みんなで支えられるよ。しっかり完治して戻ってきて」と言われ、「人ってすごいと感動しました。皆さんに支えていただき、本当にありがたかった」と目を細める。

多国籍なスタッフ200人のトップに就任

 2008年、免税店を運営する事業部へ戻ったときは「浦島太郎状態でした」。そこで、まずは売り場に立つことで現場を知り、周囲と積極的にコミュニケーションを取った。そして2011年、事業部の部長に就任。パートタイムのスタッフまで含めると総勢200人を擁する部署で、うち50人ほどは韓国や中国など海外出身者だ。「国が違えば慣習が異なるので、何か注意しても『なぜ悪いの?』と反論されることも…。ダメなことはダメとはっきり言うようにしています」。日本人スタッフについては、「いい意見を持っていても、こちらから引き出さないと発言が少ないのがもったいない」という。
 管理職として心がけているのは、「今、いいですか?」と話しかけられたら、手をとめて、必ず相手の話を聞くこと。「尊敬する上司がいて、私にはその方の全ては真似できないけど、これだけは見習おうと決めたんです。それから、信頼できる仲間を持ちなさいというアドバイスも心に留め、改革の気持ちを忘れずにいます。とはいえ、成果を焦らないことが大事ですね。いきなり自分のやり方を押し付けず、時機を待つようにしています」。そんなスタイルが功を奏し、昨年は免税店事業の売上が国際線ターミナルビルの移転以来最高を記録。「みんながお互いを思いやり、助け合って仕事をしてくれるおかげです」と胸を張る。

おもてなしの心で世界にファンを広げたい

 本城さんは今、事業部のみんなと大きな夢を描いている。「福岡空港免税店のファンを世界中に増やしたい。お店の売上はどうしても国際情勢や景気に左右されますが、おもてなしの心で私たちができることを精一杯やっていきます」。部長になった今でもほぼ毎日、売り場に立つのは「現場が楽しいし、スタッフと顔を合わせたいから」と微笑む。後輩の女性が話してくれた。「みんなに慕われる素敵な本城さんがいるから、あとに続く女性は心強い」と。自然体でチャレンジする姿は、後輩たちの励みになっている。  (2014年6月取材)

コラム

私の大切な時間

 趣味は、2つあるという。ひとつはゴルフ。「父の影響で、20代後半からゴルフを始めました。社外に仲間がいて、月2回はコースを回ってリフレッシュしています。ゴルフって、自分がそのまま出ますね。私は、グリーンにのればいいや、くらいざっくりしていますよ」と楽しそうに話す。そして、もうひとつの趣味は書道。社内に書道を習いたい人と教えられる人がいたので、書道クラブを立ち上げたそうだ。「墨をすり、集中して書に向かっていると、心が落ち着きます。優雅な気分になれるのもいいいですね」。

プロフィール

福岡市出身。高校卒業後、1976年に福岡空港ビルディングに入社。直営免税店事業や総務、人事などの業務を経験。2000年に管理職(課長)、2005年次長に昇進。2008年より直営免税店事業の運営管理部門である事業部の担当となり、2011年から現職。

 

 

 

 


 

 

 

 

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