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大島 まな(おおしままな)さん

九州女子大学 人間科学部 教授 (取材時:共通教育機構 准教授)     /      福岡県男女共同参画審議会委員

人とつながり一歩踏み出してきたから今がある

 30歳にさしかかるころ、家庭か仕事かの岐路に立ち、一度は専業主婦になった大島まなさん。それでもキャリアへのともしびを絶やさず、現在は九州女子大学で教鞭をとっている。

順調なキャリア人生を中断して家庭へ

 小さなころから本が好きで、読み聞かせや劇に興味があった大島さん。大学で児童教育を学び、卒業後は図書館の児童文化活動を見たいとアメリカへ。だが、父が事故で急死したため、道半ばで帰国。九州大学大学院へ進学した。興味を持ったのは「社会教育」。学校以外の(ときには学校と連携して)社会において行われる、人が生まれてから死ぬまでを対象にした幅広い教育分野だ。
「教育とは何だろう」。ずっと心にあった疑問に自分なりの答えを見つけたのは、青少年キャンプに参加したときだった。「今の子どもたちは体験が少なく、生きる力を育む場が乏しいので、キャンプで補完しようというプログラムでした。目標があり、それを達成するための手段と中身があって、そこを通ったら人が変わる。教育とはプログラムなんだと目からウロコでした」。
 カナダ留学を経て、在学中に28歳で結婚。卒業後に夫は福井、大島さんは九州大学で職を得て、数か月に1度だけ会う生活が始まった。しかし、「家庭という形がない。私は何のために結婚したんだろう…。でも、ここでやめたら、今まで学んできたことが尻切れトンボになる」。葛藤の末、2年で助手の任期が切れるのを機に福井へ行くことを決断した。「やめると話したら、『キャリアがもったいない』と誰かが引きとめてくれるかなと密かに思ってたんです。でも、周囲の人はみな口をそろえて『よかった』『それがいい』とほっとした様子で…。応援してくれていると思ってたのに、内心では家庭を優先すべきと思ってたのかなと、何ともいえないさびしさを感じました」と明かす。
 福井で専業主婦となり、女の子を出産。幸せだが、この先を全く描けない。「私はこのまま埋もれてしまうのか」と漠然とした不安もあった。ただ、学会の事務局活動を続け、年1回の例会だけは福岡に帰り、人に会い刺激を受けた。

学生の幸せを願い、日本社会の現状を伝える

 5年後、夫の転勤で福岡へ。知り合いのつてをたどり、九州女子大学・同短期大学へ就職が決まった。世界中から留学生を受け入れ、日本語研修をする部署のコーディネーターとして、13年にわたり留学生のお世話をした。「とにかく日本を好きになってもらいたいと思っていましたね。カナダでは、私のつたない英語をみんな一生懸命聞いてくれて、一人前の研究者として扱ってくれた。そんなあたたかい環境を作りたかった」。大島さんを慕い、今でも当時の留学生たちがよく学校を訪ねて来てくれるという。
 現在は同大学の准教授として、主に教養とキャリア教育を担当している。講義では、結婚だけに夢を求めすぎず自立することの大切さ、女性の雇用、DVの現状まで率直に話す。「これからの生き方を考える上で、女子学生に知っておいてほしいことを伝えています。学生のレポートを見ると、今まで考えたことがなかった、知らなかったとまっすぐに受け止めていて、非常に反応がいい」と大きな手ごたえを感じている。

地域から世界まで目を向け精力的に活動

 学外での活動も多岐に渡る。青少年教育や児童、地域などをテーマに月4本は講演をこなすほか、学童保育のあり方を考える取組にも参加。また、地域のボランティア養成講座は興味深かったという。「子どもは柔軟だけど、大人は変わらないというイメージがあるでしょ?それが、大人も変わるんですよ。仕事や子育てなど人生のあれこれを経験した方々でグループワークをすると、幅広い知識を共有できてネットワークもどんどん広がる。ついに地域の人たちで生涯学習事業を起業しましたよ。地域の人が共通の課題に取り組むことによって新しいつながりが生まれるんです」。
 2010年には福岡県女性研修の翼の団長として、女性の社会参画の先進国であるドイツとフィンランドを訪問した。「女性の社会参画を支援する仕組みは、女性たちが勝ち取ってきたもの。出会った女性たちの、静かだけれど強く賢い気迫に圧倒され続けました。私たち日本人はまだまだ甘えがあるのではないかとも感じた」と語る。
 専業主婦も経験し、今は大学内外で活躍する秘訣は何だろう。「人とつながっていたことですね。いろいろあったけど新しい道が開けたのは、常に人とつながり続け、一歩踏み出してきたから。人生は出会いで変わります。人や本、もの、風景との出会いを求めて行動し、世界を広げましょう」。

                                               (2013年10月取材)

コラム

私の大切な時間

 上品で落ち着いた雰囲気の大島さんは、オーケストラでコントラバスを弾いていたこともあり、大の音楽好き。「九州内や山口での仕事は、車を運転してドライブ気分で出かけます。車の中で、大音量で音楽をかけて歌うこともあるんですよ。気晴らしになります」とにっこり微笑む。

プロフィール

北九州市小倉で生まれ、福岡市東区で育つ。1985~86年、トロント大学大学院に文部省奨学生として留学。88年に九州大学大学院博士課程を修了し、九州大学教育学部社会教育学講座の助手に。5年間の福井生活を経て、95年から九州女子大学・短期大学で教鞭を執る。一方で、福岡県社会教育委員、福岡県男女共同参画審議会委員、北九州市男女共同参画審議会会長、北九州市青少年問題協議会委員など、多数の公職を務める。






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