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安田 節子(やすだせつこ)さん (2013年7月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

「宮若市食と農を考える女性の会」代表  有限会社グリーンハート 安田花卉(かき)スタッフ

宮若の農業と伝統の食を、次世代につなぎたい

 宮若市の「有限会社グリーンハート 安田花卉(かき)」は、全国でも珍しい花木専門の生産販売を行う農業法人である。夫が経営する同社を共に支えながら、地域のふるさと料理の掘り起こしや伝承の活動を続ける安田節子さん。家族経営が普通である農業を法人化し、誰もが就農しやすい環境を作るとともに、若い人たちに簡単に作れるふるさと料理を教えている。

好きな花々に囲まれて

 祖父も花木の生産を営む農家だった。花が大好きで、短大卒業後は祖父の農園を継ぎ、池坊師範の資格を活かし生け花教室を開いていた。24歳で結婚した相手は、宮若市日吉地区で同じく花木専門の生産販売を行う農家。八木山山麓の渓流沿いに広がる4ヘクタールもの田畑や山林で、梅や松、ニューサイランをはじめ多種多様な花木を栽培する。
 子育てが一段落するまでは家庭を優先。仕事は家業の傍ら、生け花やフラワーアレンジを口コミで受けていた。夫の祖父母、両親との同居、そして3人の子どもに恵まれ、9人もの大所帯。料理が得意で、いつも手作りを楽しんだ。近くには店もなく、「外食する」という考え自体なかったという。生まれ育った赤村とは食文化が大きく違ったが、義母に教わりながら、日吉地区の料理を覚えていった。

「ふるさと料理のおばちゃん」に

 飯塚地区農村女性グループ連絡研究会の副会長を務めていた頃、「地域の特色を生かした教育を」との主旨で、若宮中学校から「ふるさと料理クラブ」の支援を依頼された。1年に十数回の授業には、連絡研究会のメンバーにも順番で協力してもらい、地元の食材を使った昔ながらの料理を教えた。黒米・赤米を使ったおにぎり作りやそば打ち、酪農家が乳酸飲料の作り方を教えたことも。安田さんは、山から笹を採り、ちまき作りを教えた。生徒達には「お団子を作るときは、耳たぶくらいのやわらかさ。自分の耳を触ってごらん。自分の指の長さを知っておきなさい」と、日常的に料理が楽しめるよう指導した。活動は1996年から15年間続き、2003年には、「あすの筑豊を考える30人委員会(読売新聞西部本社提唱)」が選考している第16回筑豊賞を受賞。「ふるさと料理のおばちゃん」として、食育に力を入れていくようになった。
 代表を務める「宮若市食と農を考える女性の会」では、地元の食材を使った郷土料理を通して 食と農の大切さを発信し、農産物の地産地消や食育推進を行っている。活動を続けるうちに、若い母親らに漬物や佃煮など、伝統的な料理が簡単に作れることを知ってもらいたいと思うように。「料理は目分量、手分量」と、道具がなくても感覚的に調理できるコツを伝授。冊子にまとめられたレシピもわずか3~4行と驚くほど簡単だ。

家業の法人化と後継者への想い

 家族経営である農業は、公私の切り替えが難しい。後継者を育てるためにも、働きやすい環境を作ろうと、2003年、夫と家業を法人化。「有限会社 グリーンハート安田花卉」を設立した。法人化の手続きや経営の方法については、一から学んだという。現在、従業員は4人で、子育て中の女性や若い男性も雇っている。次男もUターンし、ホテルや百貨店の入口にある、大型のフラワーアレンジを作るフローリストとして仕事の幅を広げている。
 農業経営の法人化とふるさと料理の伝承。両方に若い人たちへの想いが込められている。宮若の農業と伝統的な料理を、次世代につなげていかなければという熱い想いが。「これからは若い人の意見を聞きながら、次第に世代交代を考えていきたい。若い人には年配者から上手に物事を教わってほしい」と話す。   
これからの夢は、「多くの人に来てもらって、近くの山を散策し、そこで摘んだ野草を使った苔玉作りや、お茶と心ばかりの手料理をみんなで楽しめる場を作りたい」とのこと。周りを包み込むような大らかな笑顔が、地域の未来を明るく照らしている。
(2013年7月取材)

コラム

好きな花は?

好きな花は「ヤマアジサイ」。花も葉も小さく、清楚で可憐な花だ。特に、白から真っ赤に変わる「紅(くれない)」という品種がお気に入りで、自らも栽培している。花と料理の共通点は「自然の美しさや豊かさを味わえるところ」。安田さんのエネルギー源は、身近にあふれる自然に違いない。

プロフィール

赤村出身。短大で服飾を専攻し、家庭科教諭の資格を取得。卒業後は、祖父の農園を手伝いながら、池坊師範の資格を生かし生け花教室を開く。24歳で花木専門農家の夫と結婚。「(有)グリーンハート 安田花卉」の仕事をしながら、積極的に食育活動にも取り組む。1996年から15年間、宮若中学校で「ふるさと料理クラブ」の支援活動を行う中、2004年、読売新聞西部本社提唱「あすの筑豊を考える30人委員会」選考による第16回筑豊賞を受賞。2011年より「宮若市食と農を考える女性の会」代表。同年、第20回花の国づくり共励会花き技術経営コンクールにおいて、農林水産省生産局長賞を夫婦で受賞。2012年度には、RKBテレビのDボタン内「旬のレシピコーナー」にレシピを提供。

 

 

 

 


 

 

 

 

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