山田美保子（やまだみほこ）さん

グリーンライフ産業株式会社取締役営業本部長

だれもがイキイキと働ける環境を作り、未来へつなぐ

　まるで友人の家を訪れたような、ゆったりとくつろげる心地よい空間。ここは、グランド工房東福岡店のショールーム。周囲を一瞬にして明るくしてくれる、太陽のような笑顔で山田さんは迎えてくれた。
　彼女が取締役営業本部長を務めるグリーンライフ産業株式会社は、1976年創業。2000年に個人向け住宅のガーデン・エクステリアの設計・施工を始めたことを機に、女性社員が増加していった。現在は80名の従業員のうち、女性41名、男性39名と半数以上が女性で、男性が多い造園建設業では先駆的となっている（2013年7月現在）。多様な人材を活用して生産性向上等の成果を上げている企業として、平成24年度から始まった経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」にも選ばれている。

先代社長の言葉に勇気づけられ

　山田さんは、短大を卒業後、建築系の設計に携わりたいとグリーンライフ産業に入社。エクステリアの図面を描いて提案し、受注するという営業の仕事を任された。当時、造園業は男性が働く職場とのイメージが強く、若い女性という理由だけで、からかわれたり、担当を外されることもあったという。そんな状況に耐えられず辞表を出したこともあった。しかし、当時の社長は彼女にこう言葉をかけた。「これから先、日本は女性が働かないとダメな時代が必ずやってくる。だから手に職をつけて、君が先頭に立って進んでいかなければいけない」と。その力強い言葉に勇気づけられ、この仕事を続けていくことを決意した。
　その後、27歳の時に一般ユーザー向けのガーデニング事業の１号店立ち上げに抜擢され、オープンと同時に初代店長に就任。スタッフ３名すべて女性で運営をした。“わたしの気持ちに一番近いお店”というコンセプトで消費者の視点をふまえたサービス提供は支持を受け、デザインコンテストでも多数入選。現在では16店舗と順調に店舗数が拡大する中で、山田さん自身も着々とキャリアを積んでいった。
　一方、私生活でも、１号店立ち上げと同時期に結婚。仕事と家庭の両立に困難を感じることもあったが、夫婦で協力しながら乗り越えてきた。「人を愛したり、思いやる気持ちがなければ暮らしを豊かにするという提案はできません。大変な時もありますが、すべて自分の成長につながっています」。

今の頑張りが未来の自分を作る

　女性スタッフを積極的に採用・登用するとともに、子育てしながら働く従業員については、「育児休業制度、短時間勤務制度、子連れ出社の容認」など働きやすい職場づくりを推進している。「私には子どもがいませんが、今の働く母親たちが成果を出してロールモデルとなってくれることが、今後この体制を維持し、未来へとつなげていくためのカギだと思っています」。だれもがイキイキと働ける職場を目指して、山田さんは先頭に立って環境整備を進めている。
　「私自身、若いころから責任ある仕事を任せてもらいました。若い人にチャレンジのステージを与えることも私の大切な役割だと思っています」。しかし、それは一人ひとりの意識やチームの協力なくしては達成し得ない。“今の頑張りが未来を作る”と彼女はエールを送る。

無理と思わずにチャレンジ！

　仕事のやりがいを尋ねると「お客さまが喜んでくださること」という答えがすぐに返ってきた。充実した毎日を送るための生活提案をし、それが実現して喜んでいただけることが何よりうれしいという。「仕事が楽しいんです。好きな世界を見つけられた私は幸せだと思います」。そしてこう言葉をつないだ。「“ワーク・ライフ・バランス”という言葉がありますが、私は仕事があるからこそ休みも充実できています。温泉が大好きで、たまに行くのですが、旅館のしつらえから学ぶことも多く、仕事をしに行っているのか、休んでいるのか分からないくらい」と笑顔で語る。
　仕事も生活もすべての経験を人生の糧にして、どんな時でも“私には無理”と思わずに、何事にも積極的にチャレンジしてきた山田さん。「庭を住空間として活用するのが一般的になり、より多くの人に豊かな生活を提供していくのが夢です」。秘めた情熱が彼女の目からキラキラあふれだしている。

　さっそうと歩く姿が印象的な山田さんが、忙しい仕事の合間をぬって、週に１度は通っているのがピラティス。４年前から続けているという。約１時間のレッスン後には姿勢がよくなるのを実感できるそう。「体幹から整えられますし、現代人特有の、前のめりの姿勢が改善されます。終わった後は、身も心もすっきりとして爽快です」と楽しそうに語る。

長崎県の五島列島出身。北九州職業訓練短期大学校（現・九州職業能力開発大学校）造形デザイン科卒業後、グリーンライフ産業株式会社に入社。2000年に一般ユーザー向けのお庭の専門店「グランド工房」の立ち上げに携わり、オープンと同時に初代店長となる。2004年マネージャーを経て、2010年より取締役営業本部長に就任。ガーデン&エクステリアの講演、女性人材の活躍・育成の講演など活躍の場は多岐にわたる。1級エクステリアプランナー、2級造園施工管理技士、ブロック塀診断士など。

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