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田中 美智子(たなかみちこ)さん

株式会社 トータルオフィス・タナカ 代表取締役

「農」を支える新しい仕組みを提案し、地域を元気にしていく

 ぎこちない手つきで包丁を持つ子どもたち。真剣なまなざしの先にはプロのシェフの姿。朝取れたての野菜を使い、旬の食材の取り扱いや調理法をプロから学ぶ。道の駅くるめで定期的に開催される出張型料理教室「ファーマーズ・スタジオ」では、いつも親子の歓声が響く。参加者と談笑しながらも、全体の進行をコントロールしている田中美智子さん。旬の野菜の魅力を知り、食を楽しむことが地元の農業を守ることに繋がる。食べること、楽しむことでも農業を支えることが出来ると語る。

六次産業化に向けた生産者との取組

 田中美智子さんの肩書は「営業プロデューサー」。各種公的機関に専門家登録し、地元中小企業に派遣され、そこで営業計画や営業指導のカリキュラムを提案し、企業の人材育成と売上アップを目指す。分かりやすい指導が評判を呼び、人材育成セミナー・女性起業家セミナーの講師としても活躍、その仕事分野が今では農業の領域にまで広がっている。

 あるとき苺の生産者が、ランナー(イチゴの親株から出てくるツル)の成長の早さに着目。しかしこれは廃棄するもので、何か活用できないかと相談を受けた。研究機関に成分分析を依頼したら、そこに化粧品として有効な成分が多く含まれていることが判明。農業の副産物で化粧品を作ることに。自分たちで出来る範囲で少しずつ進め、2011年11月、イチゴの茎エキスを使用したヘアケア用品の商品化にこぎつけた。商標登録を済ませ、製造特許は出願中。商工会議所からの声掛けで、釜山の展示会にもブース出店した。商品の説明や販売するのが苦手な生産者のフォローも田中さんが行い、生産者から信頼を得ている。

自らの経験をカタチにしたらビジネスになった

 田中さんは結婚後退職し、家事と育児に専念した。しかし子どもの送迎や母親達との世間話で過ぎる日々に、物足りなさを感じるように。そんな時、「働くママ」に出会った。他の母親達と全く違う時間の使い方や充実した表情を見て「この現状を打破しよう。私も働こう!」と決め、約10年間の専業主婦生活にピリオドを打った。

 田中さんが選んだのは、それまでに経験のなかった営業職。はじめのうちはうまくいかず、毎日泣いていた。同じ商品なのに売れる人と売れない人がいるのはなぜだろう。衣料品製造販売メーカー等で積んだ経験の中で「営業は物売りではない。自分売りだ」ということに気付いた。さらに自分を高めたく、大手料理教室に転職。料理をするという行為にお金を払うという消費者心理と運営に関心があった。そこでは企画営業と人材管理に携わった。こうして「営業」と「管理」のスキルを現場で身につけて行った。
 雇われない働き方をしたい。漠然とした思いはあるものの、何をすべきか迷っていたが、久留米市主催の女性起業家セミナーに参加し、ヒントを得た。「私の強みは営業。敬遠される仕事だけど企業にとって必要なもの。自分が経験したことをカタチにして提案していけばビジネスになるんです」。こうして「オフィスタナカ」を起業した。

 バックボーンも基盤も無い独立。売上は伸び悩み、事業計画通りに行かなかった。まずは「何をやっている人なのか」分かってもらうこと。価格はさておき、自分に出来ることを売り込み、与えられた仕事を実績にしていった。そんな中、ある農業関係者から作物の普及について相談を受けた。田中さんは、農地での収穫体験と料理教室を一緒にした「ファーマーズ・スタジオ」を提案。消費者に農地に足を運んでもらい、収穫を体験し、現地の調理スペースで料理講師の指導を受けて調理し、完成品を味わうというプログラムだった。 

生産者の思いを伝えることが農業の発展へとつながる

 「筑後スローフードフェスタ」など、「食」と「農」をテーマにしたイベントに数多く関わってきた田中さん。「ファーマーズ・スタジオ」は親子向け出張型料理教室へと形を変え、子どもが旬の食材を買って、父親や母親にお弁当を作るなど、ユニークな内容で毎回賑わっている。
 さらに、デパートのシリーズ企画“生産者が教える、美味しい理由”にも携わる。生産者が講師として自分の作った農産物や加工品を使った料理を教え、栽培ストーリーを語る。そこで食材の魅力がきちんと伝わるように田中さんがサポートしている。「生産者も消費者の意見を直接聞くことで意欲がわき、さらにいいものが作れるようになる。お互いの声を伝え合う場が必要なんです」。
 10年間の専業主婦を経て社会復帰、多くの経験を生かし「営業プロデューサー」として、忙しい毎日を送っている田中さん。「生活そのものが経験。女性ならではのライフステージも立派な経験です。ビジネスにおいて重要なのは生活者としての視点。そこにプロ意識を持てば、きっと個性を生かせる仕事に結びつきます」と、温かいメッセージを送る。 (2012年7月取材)

コラム

二人の娘たちとの関係

二人の娘が5歳と1歳半の時に、働き始めた田中さんは、「娘たちの小学校時代の記憶は、ランドセルを背負った後ろ姿くらい」と振り返る。その娘たちも成長して独立、お互いに一社会人としての付き合いができるようになったという。たとえば、田中さんが出張で韓国に行くことになった時、二人が韓国の言葉を教えてくれたり、おいしい食べ物を教えてくれたり。「今度一緒に韓国旅行に行こうと盛り上がりました。娘たちと一緒に余暇を楽しめるようになったのが、大きな喜びです」。

プロフィール

うきは市出身。独身時代は歯科衛生士として働く。10年間、専業主婦として生活し、その後、衣料品製造販売メーカーや、医療保険・通信機器メーカーで約8年間営業を経験。料理教室にて企画運営や人材管理等に携わった後、2006年、個人事業主として「オフィスタナカ」を立ち上げる。2009年、株式会社トータルオフィス・タナカを設立。同年、NPO法人スローフード協会筑後平野事務局長に就任。現在、行政および各種団体・民間企業等の人材育成研修・経営支援等を行っている。日本セールスレップ協会セールスレップ1級認定講師、公的機関登録専門家、食育アドバイザー、販路コーディネーター。






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