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芳野 仁子(よしののりこ)さん

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子どもの本とおもちゃの店 からすのほんや 代表

「らしくない」本屋が子どもたちのためにできること

 「本屋ではないんですよ」。
飯塚市で子どもの本とおもちゃの専門店『からすのほんや』を営む芳野さんは言う。
 古い民家を改築したという店はまるで親戚の家に遊びに来たような気軽さで、店内はたくさんの絵本やおもちゃで埋め尽くされている。ベビーベッドも完備だ。『会員制』で『予約制』というスタイルも珍しい。
 この『からすのほんや』に来るお客さんは絵本やおもちゃを買うことだけが目的ではない。むしろ本は「ついで」と言ったほうがよいかもしれない。遠くから来る親子もいる。泣きながら電話をしてくる母親も・・・。
 芳野さんが大切にしているのは『子育て』。ここは悩みを抱えた子どもや親たちが安心してその悩みを打ち明け、一緒になって子育てを考える場所である。

ここは子育てに頑張る人の心の拠りどころ

 大学で児童文学を学び、その面白さをたくさんの子ども達に伝えたいと、大学在学中から本屋開業を志していたという芳野さん。「いろいろなことを経験してからでも遅くはないだろう」という父親の薦めもあり、卒業後は、一度は就職したものの、「本屋をやる!」という思いが変わることはなかった。やがて、「夢は大事にしなさい」という当時の上司の言葉にも後押しされ、周囲の反対を押し切り、芳野さんは本屋開業に踏み切った。今から11年前のことである。

 開業してある日のこと、8ヶ月くらいの子どもにパソコンで勉強させている母親が来店した。こんな小さなうちからパソコンをさせていると勉強は出来たとしても他の大事なものが足りなくなることも・・・と心配になって声をかけると、怒って帰ってしまった。芳野さんはその子のことがずうっと気がかりであったが、3年ほどたったある日、その親子が再び来店。芳野さんが危惧したように、その子は他人と関わりを持てない子どもになっていた。
 その後も、たくさんの子ども達や保護者と接するうち、「本を通して子育てをサポートしたい」「この『からすの本屋』を子育て中の人たちの心の拠り所にしたい」という思いが次第に強くなっていった。
 そんな中、「お客さんと連絡がつかないことが不安でたまらない!」、「一緒に子育てしようよ!」、そんな思いから『会員制』というスタイルをとるようになった。
「お客さんというよりも、親戚みたいな感覚ですね」という芳野さんのもとには、泣きながら電話がかかってくることも多い。そうした悩みをじっくりと聴くために『予約制』にしている。他人には知られたくない、泣いているところを他人に見られたくないという人への芳野さんの配慮である。

子どもの可能性にワクワクする!

 子どもとの関わり方が分からないと相談にくる保護者が次第に増えていった。問題を抱えている子どもにどう対処してよいか分からないのである。でも芳野さんはどの子にも「キラキラした可能性しか見えない」と言い切る。
勉強が嫌いで自然の中で遊んでばかりいる少年に親は呆れる。けれどもその子に百科事典の見方をちゃんと教えると「これ、何科何目?」と興味津々で質問してくる。自然の中で遊ぶ子は分析能力に長けていることが多いので、その子が大きくなったらどんなことを研究するのだろうと芳野さんは楽しみで仕方がない。
 ヘビが大好きで家で飼っていた少年もいた。ヘビが苦手な母親から、その子が修学旅行で不在の時に「ヘビにエサを与えなきゃならないんです・・・」と泣きながら電話がかかってきたことがある。芳野さんも一緒になって泣きながらヘビの世話をしたこともあったが、その子は今では、ヘビのような動きをするロボットを作りたいとロボット工学を学んでいる。
 子どもの未来には様々な可能性が広がっているし、それぞれの可能性を生かしてちゃんと大きくなっていく、と芳野さんは思っている。身近にいる親にはその可能性が見えなくなっていることもある。子育てに熱心なあまり「やりすぎ」になる場合も。でも子どもには逃げ場も必要である。程よい距離でいること、様々な距離をとる大人が周囲に複数いることが子どもにとって居心地のよい環境を作る。『からすのほんや』はそんな場所でもある。

安心できて楽しい子育てのためにできること

 子育てには、周囲の協力が不可欠だが、残念ながら、最近では子ども達や保護者と地域の人々との距離が広がりつつあると感じている芳野さん。そんな距離を縮めようと、地域の人々を巻き込んでのハロウィーンパーティを企画、100人もの親子が参加した。お菓子を準備してくれたり、シャボン玉ショーを見せてくれたりと、地域の人々は進んで協力してくれ、パーティは大盛りあがりだったそうだ。
 「厳しい状況下で子育てをしている保護者の大変さが分かるからこそ、そんな人たちをサポートできる体制を整えたいと思っています。安心して子どもを預けることができ、もっと楽しく子育てできる環境を整えたいんです」というのが芳野さんの願いである。

(2012年7月取材)

コラム

わたし流リフレッシュ

 一日の中で一番リフレッシュできるのはお風呂タイム。疲労が大きい時はじっくり入ることにしているのだとか。さらに休日は朝早くから近隣のスパや温泉へ。慌ただしい日常から離れて、いつもとは違う空間でゆっくり過ごすことで気持ちの切り替えもスムーズに。
こうして過ごす一日は時間の流れもゆっくり感じられる。一週間の出来事を頭の中で整理して引き出しにしまってくれる大切な時間でもある。

プロフィール

嘉麻市(旧:稲築町)の生まれ。
大学在学中に児童文学の面白さに目覚め書店開業を決意。卒業後は社会経験を積むために一旦は就職。2001年に「からすのほんや」をオープン。
開業当時はテナント店であったが、一戸建て古民家を改装して移転し現在に至る。
書店の営業と並行して「子育て支援」に力をいれ、ボランティアで通学補助なども行う。また「子育て」や「ソーシャルスキル」をテーマとした講演会の講師としても活躍中。
最も相談の多かった不登校児童・生徒の居場所としてのフリースクール「みんなのおうち」を運営する「一般社団法人家庭教育研究機構」の代表理事としても活動。生活支援、通学支援、ホームエデュケーションなども行っている。親子を支える「みんなのおうち」では、スタッフのすべてが女性。

 


 

 


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