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樗木 晶子(ちしゃきあきこ)さん

九州大学大学院医学研究員 保健学部門 教授

九州大学病院「きらめきプロジェクト」で女性医療人のキャリア支援

 

「仕事に生きる女性医師」としての結婚、3度の出産、育児

 樗木さんが医学部生だった当時、女性は100人中7人という少ない状況だった。卒業後は循環器系に進みたかったが、「すぐ結婚してやめるだろう」といった風潮もあり、簡単には認めてもらえなかった。その後は、曰く「仕事に生きる女性医師」として多忙な日々を送り、36歳で医学部の助手に採用。そして、37歳での結婚、38歳、41歳、43歳での三度の出産で、仕事と育児の両立という、人生の一つの転機の時期を迎える。
 この結婚や出産の時期が、もし国立大学の医学部助手という公的で安定した立場でない時期だったとしたら、「もしかしたら医師を辞めていて、今の自分はなかったかもしれない」という。というのも、とりわけ女性医師は、専門医となるまでの厳しい時期に、出産や育児によってブランクが生じてしまうと、たとえ優秀であってもその道が閉ざされかねないからだ。
 また、特に大学病院の勤務医は、研究・教育・診療と、一人三役以上を兼務している場合が多いため、出産や育児などでも代替要員を充てにくく、自身の出産や育児の際は、出産日前日まで働いていたり、夏休みを産休にあてたりなど、対応に苦心することもあり、保育園やご両親の育児サポートに助けられる部分も多々あったという。

女性医療人の育児・復職支援「きらめきプロジェクト」

 このような経験や女性のキャリア中断への問題意識もあって、文部科学省大学改革等推進事業として九州大学病院で3年間行われた、女性医療人へのキャリア支援である「きらめきプロジェクト」では、中心的な存在として携わることになる。
 この3年間で、30人以上の女性の仕事と家庭の両立を図ることができた。非常勤の短い間でも医療と携わっているとキャリアの継続になるし、本人の人生の充実にも寄与する。出産や育児によって医療のキャリアが中断していた能力のある女性達にも、また医療に携わりたいという欲求があることも強く感じたという。
 また、女性達に限らず、このプロジェクトは病院全体の医療活動や収益にもプラスの相乗効果があることがデータ上からも分かったので、2010年(平成22年)からは、出産、育児、介護、病気などでのキャリアの中断を総合的に支援する、九州大学病院主体の「きらめきプロジェクト」として発展的に継続していくことになった。

医師全体の「Quality of Life」の向上

 「きらめきプロジェクト」のような女性医療人へのキャリア支援の取組は、活発化してきたとはいえ、まだまだ普及してはいないので、教育機関や大学病院同士はもちろん、民間の病院とも連携してネットワーク化し、コミュニケーションを進化させ、活性化していければよいと考えているという。また、医療全般に関する根本的な問題として、とりわけ勤務医の労働環境の過酷さが、社会構造上の問題としてもあるので、男女に関わらず、医師全体の総合的な「Quality of Life」をより良きものにしていきたい、とのことだった。
 今後の男女共同参画への展望や思いについては、「自分の時代は女性は大変だと思ってはいたが、『そういうものだ』という気持ちでした。でも、今の若い女性には、そういう状況は味わってほしくないと思います」という言葉が印象的だった。
(2011年2月取材)

コラム

 ご自身も祖母に育てられ、娘さんも先生の母親に育てられたので、娘さんからは冗談で、「私の娘はお母さんが育てるんやけんね」と言われることもあるそう。そういう時は、「私も高齢だから、早く生んでね」などと冗談で返しているという。
 また、仕事や研究で忙しく、いつも帰宅は遅いので、例えば21時ぐらいに少し早く帰ってきたりすると(それでも遅いのだが)、娘さんから、「お母さん今日は体調悪くて早退してきたと?」と冗談で言われたりすることも。このように多忙な日々を送ることについては、「正直なところ、自分自身のQOL(Quality of Life)を高めないといけないかもしれない」とも気さくに話されていました。

プロフィール

太宰府市出身。九州大学病院医師 ・九州大学医学部保健学科教授。専門は循環器内科。1979年(昭和54年)九州大学医学部を卒業。その後、九州大学大学院医学研究科および米国メイヨ・クリニックにおいて、循環器系に関する研究を行う。大学院修了後は九州大学病院にて診療・研究を行い、1996年(平成8年)より九州大学医療技術短期大学部(現在の九州大学医学部保健学科)に転出。現在は、九州大学医学部および同病院での研究・教育・診療に加え、主に女性医療人を対象としたキャリア支援である、九州大学病院「きらめきプロジェクト」にて中心的に活動。また、九州大学の男女共同参画推進室長も務めるなど、男女共同参画や医療人の「Quality of Life(生活の質)」の総合的な向上を推進している。






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