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黒木 郁子(くろきいくこ)さん

福岡県博多臨港警察署 交通課長、警部

福岡県警で女性が活躍できる道を切り拓く

 親しみやすい笑顔でさわやかに迎えてくれた黒木さんは、福岡県警察で4人しかいない女性警部のひとり。どんな質問にも明快に本音で受け答えされ、明るく楽しい雰囲気の取材となった。

子どもの頃に憧れた警察の世界へ

 福岡市で生まれ育ち、小さな頃から刑事ドラマが好きだった。「勧善懲悪に憧れ、正義感が強いタイプでした」という言葉を裏付けるエピソードがある。中学に登校中、友人が当たり魔に遭遇。たまたま居合わせた黒木さんはひとりで犯人を尾行して警察に通報し、逮捕に一役買ったという。
 そんな黒木さんだが、まっすぐ警察官を志したわけではない。短大の国文科へ進学し、教員免許を取得、就職活動では、興味のあったアパレル業界や出版社を受け、最終的には中学校の講師になった。だが、自らの理想とはかけ離れた教職の世界から転職を決意し、福岡県警の採用試験を受験。21歳で警察官を拝命した。
 しかし、またもやイメージとのギャップに戸惑うことに。「福岡県警1万人のうち、女性はわずか260人。当時、女性は婦人警察官とよばれ、駐車違反の取り締まりなどの交通業務にしか配置されませんでした。ドラマで見たような仕事はできないと知り、落胆しましたね。でも、なれないなら、なれるようにすればいいと前向きに仕事に臨みました」。
 最初の配属先は、久留米警察署の交通課。駐車違反の取締まりを主として、暴力団対策や殺人事件の応援にも回った。だが、男女の待遇には歴然とした差があり、女性は早朝から署へ行き、パトカーや部屋の清掃に始まり、お茶くみもした。「男女で違うのが当然という雰囲気でした。この時期に気遣いと目配り、気配りを学びました」。1年半で本部の交通企画課へ異動すると、6年半にわたって、交通教育などのクリエイティブな分野に関わった。高齢者や子ども向けの交通安全教育を任され、他県へひとりで視察に行ってプログラムを考えたり、マナーアップ啓発のポスター等を制作した。

一生懸命にやれば道は拓けると実感

 24歳で同僚と結婚。仕事と家庭の両立に不安はあったものの、両親がずっと口にしていた「女性でも手に職を持ち一生働く時代」、夫の「好きなようにしたらいい」という言葉に後押しされて、「できるところまでやってみよう」と決心。27歳で出産し、9か月で復職。自分の意見をもっと反映できる立場になりたいと思い、コツコツと昇進試験の勉強を続け、30代で巡査部長、警部補に昇格した。
 そんな黒木さんに、思いを実現するチャンスがめぐってきた。本部の警務課に配属となり、組織改編や人事計画に携わることになったのだ。女性の職域を広げるべく真剣に議論を重ね、女性警察官の人数枠をなくし、犯罪被害者対策など県民のニーズに応じて幅広く女性が活躍できる環境を整備した。「性別にかかわらず、その人の能力を活かせる県警にしたかった。悲願を達成できて、うれしかったですね」。40代前半は、刑事総務課の手配共助係に女性として初めて配属され、指名手配犯の追跡を担当。「自分の見立てで犯人に迫る、憧れの仕事。危ない目に遭ったこともありますが、やりがい十分でした」。現在は警部となり、博多臨港警察署の交通課長として、現場をまとめている。

感謝と素直さを忘れず、攻めの仕事をする

 男性社会だった県警において、女性初の運転免許試験の技能試験官や警察学校の担任教官などに抜擢されてきた黒木さん。その理由は「私は思ったことを言うし、へこたれないからでしょうか。ただ、私の昇進が、逆に女性は駄目だと思われないように意識して仕事に取り組んできました。男性と変に張りあったりせず、自分にできることに力を注いできました」と胸を張る。
 「後悔しないように、自分のやりたいことはやってみてほしい。失敗してもいいじゃない。まずは自分で考え行動してみて、もし間違っていたらまわりが教えてくれるから、素直に聞けばいい」。黒木さんがずっと大切にしてきたのは、感謝の気持ちと素直な心。「13年ぶりに交通の現場に戻ったとき、少し不安でした。でも、わからないことは調べたり人に聞いたりしたら、まわりが協力してくれた。仕事はひとりではできないから、アドバイスをもらい支えてもらいながら、今の私があります。これからも自分の場所で精いっぱい、攻めの仕事をしていきたいですね」。
(2015年1月取材)

コラム

私の大切な時間

「家族みんなスポーツが好きなんです」という黒木さんの趣味は、スキーとボクシング。23歳の娘は、高校時代にスキーでインターハイに出場。さらに父親のすすめで始めたボクシングでも頭角をあらわし、17歳でプロボクサーになり、2014年にはWBC女子世界ミニフライ級の世界チャンピオンに輝いた。さらに、料理も黒木さんの趣味のひとつで、家庭用冷蔵庫に加えて、冷凍庫がもう1台あるという。「和洋中などジャンルは問わず、創作料理が得意で、お客さんを招くことも多いですよ。お正月はおせちも手作りします」。

プロフィール

 福岡市生まれ。福岡の短大を卒業後、中学校の講師を経て、1985年9月に福岡県警察官を拝命。久留米警察署交通課、交通企画課、運転免許試験課、警務課、刑事総務課、警察学校などを経て、2013年3月から現職。1995年に巡査部長、1999年警部補、2012年警部に昇格。






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