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大部 正代(おおべまさよ)さん

公益社団法人福岡県栄養士会 会長 / 中村学園大学 栄養科学部・栄養クリニック 教授

地域や高齢者への「栄養支援」と「心のサポート」を目指して

 心身の健康と密接にかかわる食事。ところが近年、食生活をめぐる環境は大きく変化し、肥満や生活習慣病の増加だけではなく、高齢者や疾病時の低栄養など、多くの問題が生じている。健康な食生活のアドバイザーとして広く活躍している管理栄養士・栄養士。福岡県栄養士会会長として、大部正代さんは食支援や栄養サービス事業に積極的に取り組んでいる。

小学生で目指した「栄養士」の道

 料理上手な母親の影響を受け、小学生の頃から料理をすることは生活の一部だった。「季節の物や近くでとれる食材を使い、自分たちで作らないと食べることができない時代でした」。小学校6年生の調理実習のときに、学校の栄養士さんが教えてくれたサンドイッチは、当時は珍しいメニュー。自分で作ることができた喜びと、そのおいしさに感動した。「栄養士」という仕事を初めて耳に大部さんは、そこから栄養士を目指すようになった。
 その後、中村学園大学 短期大学部の食物栄養学科を卒業し、福岡市にある国家公務員共済組合連合会浜の町病院に就職。栄養士・管理栄養士として勤めた。病院食では、食事制限のない人への一般食の他にも、一人ひとり違った食事制限の内容を把握し、管理されたメニューを作る。栄養知識・医学知識だけでなくさまざまな工夫が必要となる。たとえ食事制限されている患者であっても、五感を使って楽しく食事ができるよう常に心がけていた。

逃げずに立ち向かう

 熱心な働きぶりが評価され、51歳で栄養課長に昇進。医療制度やシステムが急速に変化した時代、 “質を上げながら、より仕事をしやすい職場環境を整えること”を考え実行。「どうすれば、みんなが仕事をしやすいかを常に考えていました。医療制度の変化に伴い周囲の環境が変わる中、自分たちの職場を守るために、リーダーとして管理部門に提案をしたり、積極的に意見を交わしたりしました。逃げても何も変わらない。その場で問題をきちっと解決しておかなければまた同じような境遇になるでしょう」と力強く語る。
 55歳の時に、当時の県栄養士会会長(現名誉会長)からの薦めもあり、中村学園大学大学院で勉強するチャンスに恵まれた。平日18時~21時と土曜日は大学院へ通い、昼間は病院で仕事をした。徹夜で勉強することも多かった。2009年、定年退職後、中村学園大学 栄養科学部 栄養科学科教授として迎えられた。2013年には、公益社団法人 福岡県栄養士会 会長に就任した。

だれもが気軽に栄養相談ができる場を

 福岡県栄養士会では、2014年6月から半年間、福岡市の中心部に管理栄養士が常駐した全国初のショールーム「栄養ラボ・天神」を開設。医療・介護・福祉食を必要とする人がいつでも相談でき、福祉・介護食を自由に試食、試飲しながら支援や提案を受けることができる。「行政だけでなく民間企業からも力を借りながら、気軽に相談できるところを、もっと増やしていくのが目標です。QOL(生活の質)を落とさず一生を過ごせるように、食支援、栄養サービス事業に力を入れていきたいです」と目を輝かせながら語る。
 栄養士になって40年以上。大学では、食を通して社会に貢献できる次世代の栄養士・管理栄養士を育てることに力を入れている。「栄養士であれば専門知識はもちろん、個人としての強みも必要だと思います。多くの経験をすることで、自信はついてくると思うので、きっかけ作りをしていますが、受け身ではなく、自己分析をしながら積極的に道を切り拓いてほしいですね」。仕事に真摯に取り組み、果敢に挑む姿勢で、これからも食や栄養の担い手として心と体の健康をサポートしていく。(2014年10月取材)

コラム

 大部さんが長年、趣味として楽しんできたのが、仕舞(しまい)と謡曲(ようきょく)だ。「30代~50代まで着物で舞台にも立っていました。膝を悪くしてからは舞台に立つことはなくなったのですが、今でも能楽堂に行ったりテレビで見たりして楽しんでいます」。甥や姪の結婚式では「お謡い三番」を一人通しで謡ったそうだ。

プロフィール

遠賀郡岡垣町出身。中村学園大学短期大学部食物栄養学科を卒業後、国家公務員共済組合連合会浜の町病院に入職。栄養係長、栄養管理室長を経て、2000年、栄養課長に就任。2009年、退職後、中村学園大学栄養科学部栄養科学科教授に就任。2005年、中村学園大学大学院栄養科学研究科修了。2013年、公益社団法人福岡県栄養士会会長に就任。公益社団法人日本糖尿病協会理事、福岡県糖尿病療養指導会会長、日本病態栄養学会理事など。2006年、栄養関係功労者厚生労働大臣表彰受賞。






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