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谷川 由利子(たにがわゆりこ)さん (2014年8月取材)

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総合メディカル株式会社 常務執行役員 薬局事業本部長(取材時:上席執行役員 人事本部長)

「私には無理」のはずが、企業の上席執行役員に

 全国に526店舗の調剤薬局を展開するなど、コンサルティングをベースに医業経営のトータルサポートをおこなう 総合メディカル株式会社。上席執行役員で人事本部長を務める谷川さんは、明るい笑顔と朗らかな声、柔らかい物腰が印象的だ。32歳の若さで部長になり、関係会社の社長などを歴任、43歳で現職に。華々しいスピード出世だが、実は昇進のたびに「私にはとんでもない!」と動揺してきたと明かす。

自己申告制度で薬剤師から教育部門へ

 広島県で生まれ育ち、「手に職をつけるため」神戸の薬科大学に進学して、薬剤師の免許を取得。大阪の製薬会社で働いたあと、26歳で総合メディカル株式会社へ転職した。「自社の製品にとどまらず広く学びたくて、いろんな事業を手がけるこの会社を選びました」。
 実家から通える広島の薬局店舗で、薬剤師としてスタート。2年目には薬局長となり、スタッフの育成にやりがいを感じた。「新入社員はキラキラした瞳で、どんどん吸収し成長してくれる」。もっと教育に携わりたいと考え、社内の自己申告制度を活用。希望が叶い、福岡本社の教育研修部門へ転属になった。

まわりの人に励まされ育ててもらった

 新入社員研修や新しい研修の企画・導入などに携わる傍ら、全国各地の薬局店舗へ2週間単位でサポートに行くこともあった。「秋田では若手のスタッフにスノーボードを教えてもらい、楽しかったですね」と振り返る。“時にやさしく、時に厳しく”社員を導く能力と、何事にも誠実に取り組む姿勢が評価され、人材開発部採用グループ課長に。さらに32歳で、人材採用を一手に担う採用部門の部長に抜擢された。「部長人事の話をいただいた時は、あまりに動揺して、その後のことはよく覚えてないくらいなんです。入社2年目で薬局長にという話があったときから『私には無理』と及び腰でしたし、部長は重責なので。でも、機会をいただいたからには頑張ろうと引き受けました」。異例のスピード昇進ゆえ、周囲から反発を受けるかも…そんな心配も頭をよぎった。しかし実際には「頑張って」「大丈夫か」などと親身であたたかい電話やメールが寄せられ、前へと進む大きな力になった。
 そしてもうひとつ、谷川さんが戸惑った理由は、年上の男性が部下になることだった。今でこそ、女性管理職は増えてきたものの、当時はまだ少なかった。自身の戸惑いだけでなく、わたしのもとで働くことを男性側も戸惑うのではないか。そこで、折に触れ相談していた上司に思いのたけをぶつけた。そのときのアドバイスは、今でも心に強く留めているという。「『年上の部下とか男性とか、考えること自体が失礼だ。言うべきことはきちんと言う、ただし、敬う気持ちを忘れないこと』と言われたんです。そして、ポジションが人を育てるとも。私はまわりの人や部下に育ててもらっていると実感しています」。さらに4年後、同社が人材派遣を手がける子会社を立ち上げる際は、取締役を兼務。翌年には代表取締役社長となり、経営を学んで4年にわたり手腕をふるった。
 

女性の視点を活かした人事制度が誕生

 現職では、人事制度の構築・運用や社員ケアなど、多様な業務をとりまとめる。人事制度は3年かけて見直したばかりだ。「男性社会でつくり上げた旧制度を見直すにあたり、プロジェクトメンバーの4割は女性とし、検討を重ねました。私自身、疑問に思うことは断固として譲らずに主張したんですよ。例えば、キャリアの中で育児休暇期間をどう評価されるかは、女性にとって大きな問題。皆さんを説得して、最終的に育児休暇を取ることで不利益な扱いを受けることがないように見直しました。性差を理解し合い、お互いに高め合える環境を整えたいですね」と穏やかに話す。
 4,000名ほどの従業員を擁する同社では、女性管理職も増えてきた。谷川さんのもとには、女性社員から相談が寄せられることも。谷川さん自身には女性のロールモデルがいなかったため、テレビから学んだこともあるそうだ。「女性上司が主役のドラマを見て、肩ひじ張らなくていいんだとか、いろいろ勉強になりました」。
 管理職になって13年、自らの経験からこう訴える。「私自身がそうだったように、女性は昇進をためらいがちだと思います。でも、チャンスがきたら、やってみてほしい。きっとできるし、楽しさもやりがいもある。困ったら誰かに相談すればいいし、支えてくれる人もいる。だから、ぜひチャレンジしましょう」。(2014年8月取材)

コラム

私の大切な時間

 谷川さんの趣味は、社会人になってから「親孝行のつもり」で始めたゴルフ。広島に住む父親やその友人と年2・3回コースへ出るほか、社内の様々な部署の人たちとプレイする機会もあるそうだ。「ゴルフはリフレッシュになります。それに、一緒にゴルフをすると仕事ではわからなかった人間性が垣間見られるのも魅力です。ゴルフしたことがきっかけでコミュニケーションが取りやすくなったり、苦手だった人を大好きになったり。おもしろいですね」と微笑む。

プロフィール

 広島県出身。神戸薬科大学を卒業して、薬剤師の資格を取得。1992年に日本シエーリング株式会社(現・バイエル薬品株式会社)入社、1996年に総合メディカル株式会社へ入社。人材開発部長、採用部長を経て、2006年に総合メディプロ株式会社取締役社長、翌年、代表取締役社長に就任。2009年に総合メディカル株式会社執行役員となり、2013年上席執行役員、2014年人事本部長に。2015年管理本部長。2017年常務執行役員 薬局事業本部長に就任。

 

 


 

 

 


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