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松崎 百合子(まつざきゆりこ)さん

NPO法人女性エンパワーメントセンター福岡 代表

アジアの女性に寄り添い、ともに歩む

 女性の人権が尊重され、一人ひとりが安心して暮らせる社会を実現したい―。そんな思いで、長年、女性の人権問題に取り組み、福岡で女性の自立支援に係るNPO活動に携わってきた松崎百合子さん。2003年には「女性エンパワーメントセンター福岡」を立ち上げた。女性への暴力防止と被害者支援、アジアからの移住女性の支援、国際交流・協力など、幅広い活動を展開している他、県や市、他のNPOとの協同事業も行っている。

九州初の民間シェルターを開設

 大学の教育学部に進み、差別について学んだ。その中でも、女性の差別問題に強い関心を持った。松崎さんの父は働き者で教育熱心だったが、抑圧的な一面もあり、思い通りにならないと母に手を上げることも…。そんな姿を見て育ったので、“女性はなぜ抑圧されるのか?”と長年疑問を抱いていた。その頃、ウーマンリブ(女性解放運動)に出合い、やがてそれはライフワークとなっていった。
 1980年代、日本人男性のアジアへの「買春観光」を知り衝撃を受け、1988年に「アジアに生きる会」を設立。当時、飲食店などで働くフィリピン女性への搾取や暴力が問題になる中、電話相談などを通してアジア女性を支援していた。1990年代になると、これらの女性が結婚などで定住化。すると、パートナーからの暴力の相談が増加するようになった。公営のシェルターは、国籍に関係なく入所できるが、言葉や習慣の違いから強いストレスを受けるという問題が浮上。アジア女性の自立につながるシェルターを自分たちの手で作りたいと、1997年には「アジア女性センター」を仲間と共に立ち上げ、九州で初めての民間のシェルターを開設した。

さらなる「自立支援」を目指して

 シェルターでの支援を通して、被害女性の現実を目の当たりにし、社会の不備を実感した。そこで、「全国女性シェルターネット」の仲間たちと、2001年のDV防止法の制定にも尽力。「自分たちが活動することで、社会を変えることができるという経験は力になりました。シェルターで被害女性と実際に接していたからこそ、出てきたエネルギーでした」と当時を振り返る。
 アジア女性センターでの活動は大変充実したものだった。しかし、シェルターでは安全のために、事務所の場所もオープンにはできない。だれもが気軽に立ち寄れる、利便性のよいところで自立支援の活動をしたい。そんな思いで、2003年に、福岡市天神に「女性エンパワーメントセンター福岡」を立ち上げた。
 2004年、“移住女性に仕事を提供したい”と、彼女たちを講師にした外国語教室を開講。それは、女性たちの収入や自信を取り戻すきっかけにもなっている。2006年には、福岡県との協働事業として移住女性のための多言語相談もスタート。その翌年から日本語教室も開講し、現在では10教室と増加している。これらの活動が認められ、2011年、「ふくおか共助社会づくり表彰 NPO・ボランティアの部 地域貢献活動部門賞」受賞につながった。

思い切ってチャレンジを!

 活動の喜びは、「同じ思いを持つ仲間と通じ合っているという実感と、女性たちが困難を乗り越え自立し、『ありがとう』と言葉をもらえる瞬間」と目を細めて語る。男女・人種・障害の有無に関わらず、すべての人権が尊重される社会を願っている。「若い世代に、暴力防止と男女平等の教育をしっかりしていくことが、よりよい社会のためには必要です。問題に気が付いた人が、声に出したり、行動していくことも大切だと思います」。
 さらに女性にエールを送る。「自分がやりたいと思ったら、大変そうでも思い切ってチャレンジしてほしい。きっと新しい仲間や応援者と出会えて、意外とさらっとできるかも。もし失敗しても何か大切なものを得られますよ」。目の前の一人の女性の支援とともに、女性の人権確立に向けて、松崎さんは活動を続けていく。
                                                                       (2014年1月取材)

コラム

 趣味は山歩き。大学時代は山岳部だったという。「宝満山や天拝山によく登ります。自然の中を歩くと気持ちがいいし、登頂した時の快感がいいですね。今はそんなにキツイ山は登らないのですが、登山中辛い時に、”この山を乗り越えられたら“っていう感覚も好きなんです」。この3月に、フェアトレードのスタディツアーで訪問予定のネパールでは、ヒマラヤ トレッキングにも挑戦するそうだ。(写真は団体が販売しているフェアトレードのデジカメケースとアクセサリー)

プロフィール

熊本県天草市出身。大学生の時から、女性差別反対運動に取り組む。卒業後は一般企業に就職。その傍ら、1988年に「アジアに生きる会」を設立。1995年、事実婚のパートナーのイギリス赴任に同行するために退職。約1年間、二人の子どもと共にイギリスで生活をする。帰国後、1997年には「アジア女性センター」を仲間と共に立ち上げ、九州で初めての民間のシェルターを開設。2003年、「女性エンパワーメントセンター福岡」を設立。女性への暴力防止と被害者支援、移住女性の支援、国際交流・協力などの活動を行っている。平成23年度「ふくおか共助社会づくり表彰 NPO・ボランティアの部 地域貢献活動部門賞」受賞。2014年11月、第13回福岡県男女共同参画表彰(困難な状況にある女性の自立支援部門)受賞。






キーワード

【ま】 【NPO・ボランティア】 【福祉】

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