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進藤 光代(しんどうてるよ)さん

有限会社 進藤商店 専務取締役

ひと手間から生まれたオンリーワンの商品を届けたい

 美しい新宮海岸を背に立つ進藤商店。干物をはじめとした海産物の加工業を営み、創業100年以上の歴史を誇る老舗だ。手作りの手法にこだわった丁寧かつ斬新なアイデアの商品は全国にファンを持ち、毎年、数々の賞を受賞している。そこで営業を一手に任されているのが、専務であり、3代目社長の妻でもある進藤光代さんだ。

静かな闘志を胸に

 お見合いの席に長靴で登場した一回り年上の男性。これもご縁であろうと2ヶ月ほどで結婚、その1週間後には自らも長靴を履いて家業である海産物の加工に従事していたと笑う。職場の先輩は自分の親ほど歳の離れた人ばかり。みんなからの信頼を得るために、誰より技術とスピードを身に付けなければと考え、人知れず努力した。「人一倍努力しないと人の上に立つことはできない」という義母からの教えがいつも胸にあったためであろう。義母の助けもあり、産後はわずか1ヶ月ほどで仕事に復帰した。
 こうして5年が過ぎた頃、全てを紛失してしまう工場火災に見舞われた進藤商店だが、従業員と一丸となって取り組んだ結果、わずか5ヶ月で再建を果たした。「20年間、現場で一緒に働いたことで従業員さんとの人間関係を構築することができました。この経験は私の貴重な財産です」と当時を振り返る。その後、専務として対外的な交渉を担当していた弟の独立により、突然、今まで経験したことのない営業を任されることになった。漁業に関連する業界は男性ばかりで、「女性で大丈夫なのだろうか」という空気はひしひしと感じていたという。それに真っ向から立ち向かうというよりも、持ち前の世話好きな性格で「お母さん」的存在として溶け込んでいった。話しかけやすい柔らかな雰囲気からか、バイヤーや他業種の人、お客様から悩みを打ち明けられることもあるそうだ。「一生懸命な人を見ると男女問わず応援したくなるんです」そう話す進藤さんからは強さと優しさがひしひしと感じ取れる。時には「頑張って!」の気持ちとともに海産物のお土産まで手渡すという。

受け継がれる「想い」を軸にした家族の連携プレー

 食材の仕入れを一手に引き受けているのが目利きの社長。機械化が進む業界の中でも手作業にこだわり、「丁寧に」「鮮度を落とさず」を決まり文句として伝統の製法を頑なに守っている。
 一方で、進藤さんが手掛ける新商品の開発は非常に柔軟だ。一番の情報源はお客様からの声で、アンケートや店頭・催事でのやり取りからヒントをもらうことが多いそうだ。例えば、魚を焼くときの煙や匂いに抵抗があるという若い世代の声に応え、解凍するだけで食べられる「燻製」を開発し、ヒットに繋がった。新商品のGOサインを出すのは社長。そのチェックは厳しく、絶妙な塩加減は誰にも真似ができないという。
 そしてもう一人の頼もしいパートナーは、懸命に働く夫婦の姿を見て育ち、同じ道を選んだ娘。催事に全国を飛び回り、通信販売部門での販路拡大、ブログやSNSなどを用いた情報提供も担う。娘の働きに、「向こうっ気だけは強くて、まだまだ」としながらも「想いが大事」「お客様に下手なものは出せない」という口癖は同じだと、顔をほころばせる。
 それは人との関わりを大切にしてきた義母の教えで、創業者である先々代から引き継いできたものだ。商品が受賞した際には一番にご先祖様に報告するという。創業当時からの「想い」を軸に家族それぞれの得意分野を活かしてお客様に感動を与える商品を送り出している。

地元復興への貢献と広がる活躍の場

 地域の雇用にも貢献してきた。干物製造はほとんどが手先の器用な女性の職場であり、高齢の従業員には本人のやる気と体力を考慮し、労働時間や日数を調整して対応している。女性でも高齢者でも熟練の職人としてのやりがいを感じる場となっている。引退した従業員もお客様として買い物に訪れるそうだ。ここにも人との関わりを大切にする「想い」が息づいている。
 平成22年に誕生した北部九州沿岸を1つの観光圏として位置づけた地域ブランド「筑前七浦」では発起人の1人となった。イベント開催時には豊富な観光資源を活かすべく様々な提案をしている。平成24年に開催された福岡県が主催の「販路拡大フォーラム」ではパネラーとして参加。「地域産品の現状と未来について」のパネルディスカッションと、参加者の持ち寄った商品にアドバイスを与えている。「人前で話すことは苦手なんですが」と謙遜するが、お客様の立場に立って考える柔軟な発想力は、これからの時代こそ必要とされるだろう。
                                             (2013年2月取材)         

コラム

私の好きな時間

進藤商店は海に隣接している。いつも潮風を感じているので、休日は山へ赴き温泉に入ることがリフレッシュとなっている。人生で5本の指に入る景色として深く記憶に刻まれているのは、山頂から見下ろすピンク色の絨毯、ミヤマキリシマの花の群生だ。しかし、ビルに囲まれた東京での仕事から戻った時は見慣れた海を見るのが一番ほっとするそうだ。

プロフィール

福岡県生まれ。父の仕事の都合で育ちは石川県。明治43年創業の老舗、有限会社進藤商店の3代目と結婚。福岡県水産部門初の受賞で日本3賞のひとつである日本農林漁業振興会会長賞をはじめとして、農林水産大臣賞など、取扱う商品は数々の受賞歴を持つ。全国区の人気店として日々の業務に追われながらも、特産品によって地域の活性化を図るアドバイザーとして活躍している。

進藤商店 HP http://www.rakuten.co.jp/shindou-shouten/






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