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内田 美智子(うちだみちこ)さん

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【ロールモデル】
ロールモデルとは

内田産婦人科医院 助産師

 

子どもたちの『心の空腹感』抱きしめ25年

 「いのちをいただく」「ここ-食卓から始まる生教育」「お母さんは命がけであなたを産みました」など数多くの著書を手がけ、命の尊さ、家族で過ごす暮らしの時間の大切さを伝える助産師・内田美智子さん。産婦人科医の夫と福岡県行橋市で開業して25年。妊娠、出産、母乳育児を支える一方、性のトラブルを抱えて産院に駆け込む未成年の子どもたちに向き合い続けてきた。

つながっていた性と生と食

 望まない妊娠、中絶、性感染症…。「10代前半の妊娠も、都会だけの話じゃないんですよ」。相談室にそっと、幼い妊婦とその母親を招き入れる。「子育ては大変なんよ!あんたが育てられるわけないやろ!」。そういう母親に、妊婦の少女がキッと返した。「何言いよるん!お母さんは、ご飯を作ったこともないくせに!」。
 性の問題は、愛されて育った実感を持てない「生」の問題でもあった。やっと見つけた居場所が、夜のたまり場やセックスフレンドだったりする子どもたち。向き合い続けるうち、家族とまともに食事した経験を持たないという共通点に気付いた。食卓を一緒に囲まないから「助けて」のサインも出せなかった子どもたち。内田さんはいつも、「ここまでよう生きてきたね」と抱きしめるという。
 「子どもたちを救うのは、日々の暮らしの中で『あなたが大事』と伝えること。買った惣菜ならせめて、子どもが食べる分を器に移し替えて。子どもが幸せに生きるには、愛された実感が必要なんです」。心の空腹感を抱えた子どもたちの代弁者として語る内田さんの講演は、子育て中の保護者の胸も強く打つ。年間の講演数は200回に上るそうだ。

忙しくても親の思い感じた子ども時代

 実家は、大分県竹田市(旧荻町)の農家。両親は早朝から農作業にでかけ、内田さんが5歳のころには、目覚めると家に誰もいないのが日常だった。ただ、枕元にはいつも、弟と2人分の着がえとおにぎり、おやつが置かれていた。身支度をしておにぎりを食べ、両親がいる畑まで弟を連れていくのが役割だった。「忙しい両親だったけれど、思いはちゃんと感じられた」。
 自身も働きながら子育てしてきたが、常に家族を最優先して働いてきたという。結婚4年後に夫の古里に戻り、夫の祖父母、両親と同居。同時に、自宅隣の産院で働き始めた。人手に余裕がなく、長女は2歳、次女は1歳2か月、長男は10か月でそれぞれ保育園に預けた。予定のたたない陣痛・出産に備えて遠出はできなかったが、晩ご飯だけは“家族一緒”を心掛けた。夫の祖父母と両親の4人を看取るなど大変な時期もあったが、わずかな家族の時間を大切にしたくて、子どもたちには夫婦げんかも見せたことがないという。「だって、子どもたちと出会えたことって、奇跡の積み重ねだから」。

 精子と卵子の出会いも奇跡、無事に妊娠するのも奇跡。せっかくめぐりあえた生命でも辛い別れを迎えなければならないケースもある。出産予定日の前日に胎動が止まった母親は、死産した子の口元に湧き出るお乳を含ませていた・・・。乳がんの術後に出産した母親は、家族との時間を1日でも長く…と懸命だったが、がんが再発。幼い子どもを遺して逝った・・・。
 「命がここにある奇跡」を知るからこそ、「子どもがいるからできること、出会える人や場所を楽しんでほしい」と強く願う。

子育てできるよう企業も応援を

 保健指導、出産など女性の一生(ライフサイクル)に関わることができるのが助産師の仕事。心の痛みが体の不調として表れることも少なくない。辛い時、誰に助けを求めていいのか分からないなど、女性の悩みに応える存在になりたかったという。
 子どもを大切に思っているのに、授業参観に行きたくても休みをとれない、言い出せない母親たちがいることも知っている。いくら頑張っても乗り越えられないことは、社会や地域の支援が必要だ。内田さんは企業向けの講演で、こんな提言をした。授業参観休暇をつくろう/運動会休暇をつくろう/週1日でいいから夕方5時退社の日をつくろう/有給の育児休暇を3年間にしよう/子育て世帯の単身赴任禁止令をつくろう…。
  「子育ては、一人の人間を育てるすごい仕事です」。子育ての尊さを社会に伝え、子どもが愛されて育つ環境を広げるため、内田さんはこれからも応援していくつもりだ。

                                     (2013年1月取材)

コラム

コラム「私の宝物」

 「娘たちに『人生の中で戻りたい時期は?』って聞かれ、思い浮かんだのは、3人目の子を授乳中のときでした。夫がいて、長女6歳、次女3歳、長男0歳。最高に幸せだったなあ」と笑う。5人家族。それが内田さんの宝物だ。
 長男が19歳になった昨年は、内田家にサンタクロースが来る最後の年だった。「家族総出の誕生会とか、子どもがいなかったらやらないことを目いっぱい楽しみました」。子育てが一段落した今、講演で全国を飛び回るが、その力の源も家族の応援だ。「家族が元気でいる限り、どんな困難も乗り越えられる気がします」。

プロフィール

大分県竹田市(旧荻町)出身。国立熊本病院附属看護学校、国立小倉病院附属看護助産学校助産師科卒業。福岡赤十字病院産科勤務を経て、1988年、福岡県行橋市で産婦人科医の夫と内田産婦人科医院を開業。2004年、九州思春期研究会設立。事務局長をつとめる。福岡県子育てアドバイザー、福岡県社会教育委員。著者に『ここ 食卓から始まる生教育』『いのちをいただく』(いずれも西日本新聞社、共著)『お母さんは命がけであなたを産みました』(青春出版社)など。

 

 

 

 


 

 

 

 

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