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藤井 千佐子(ふじいちさこ)さん (2011年4月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

福岡市男女共同参画審議会会長 / (取材時:株式会社西日本新聞社 執行役員企画局長)

仕事を通して成長したい

 

先輩の思いを次世代へ

 1877(明治10)年の創刊以来、134年にわたって地域に根差した報道を続ける西日本新聞社に昨春、初めて女性の執行役員が誕生した。企画局長の藤井千佐子さんだ。「仕事を通して成長したい」と言う藤井さん。新聞記者として取材の最前線で培った時代を見る目と行動力で、新たな分野にチャレンジしている。
 藤井さんが大学を卒業した1973(昭和48)年当時、大卒女子を定期採用する企業はほとんどなく、西日本新聞社の嘱託として社会人のスタートを切った。「男女に差があるのはなぜ、という気持ちとあきらめが交錯していましたね」。
 だが、ニュースを追う新聞社の仕事はおもしろかった。夢中で働くうちに、女性の社会進出を時代が後押しし、男女雇用機会均等法施行後に社員に。「時代の扉を開けたのは、女子差別撤廃条約(日本は1985年に批准)という世界の流れだけではなく、厳しい中で頑張ってきた多くの先輩女性たちの存在です。その思いを次の世代につなげたい」と語る。

女性の行動力が社会を動かす

 本社文化部、佐賀総局、地域報道部、東京支社報道部、大牟田支局、熊本総局と転勤を繰り返し、取材の現場を歩いた藤井さんが、女性問題を象徴する事件として挙げるのは「福岡セクハラ訴訟」だ。セクシュアルハラスメントを受けた上、退職を強要されたとして、福岡市の女性が勤めていた会社と男性上司を訴えた裁判で、1992(平成2)年、女性の主張をほぼ認めた福岡地裁判決が確定した。1999(平成11)年施行の「改正男女雇用機会均等法」には、セクハラについて使用者責任が明文化された。
 「この裁判の取材を通して、女性の行動力が社会を動かしたことを実感しました」と当時を振り返る。

壁の向こうの景色を見たい

 2010(平成22)年春、約10年ぶりに本社のある福岡に。営業分野の企画局長にと言われたときは驚天動地だったという藤井さんだが、「会社から、新しい分野にチャレンジする場を与えてもらったと考えました」と受け止めている。
 新設の企画局のミッションは、ソーシャル、デジタル、アジアの分野で新たなビジネスモデルを構築すること。アジアでは中国語サイトなどに取り組み、デジタルではiPadやシャープのガラパゴスといった新しい端末へのコンテンツ配信などを手掛けている。「東日本大震災でインフラが途絶したとき、ツイッターなどのソーシャルメディアが通信手段として大きな力を発揮しました。デジタル化の進展を新聞社の業務にどう取り入れていくのかもテーマです」と力を込める。
 新しい事業へのチャレンジは、予測もしない壁に阻まれることもしばしば。そのとき藤井さんは「この壁の向こうに広がる景色がどうなっているのか、何としても自分の目で見たい」と考えるそうだ。「そこから壁を乗り越えるパワーとアイデアが出てくると思います。ここまでとあきらめるか、さらに先を目指すのか最後は自分との闘い」と語る藤井さんから、仕事に向かう気迫と熱い思いがうかがえた。
                                    (2011年4月取材)

コラム

一人の人間として何ができるのか

今回の取材の中で、藤井さんが触れずにはいられないと語ったのが東日本大震災だ。「地震、津波、原発事故という未曾有の被害を受け、日本社会は変容を迫られると思う。そして自然の威力を突きつけられた一方で、被災地で頑張る人たちの姿から人間の素晴らしさも教えられた」という。「一人の人間として、仕事を通して何ができるのかを考えていきたい」と自らの課題について語った。

プロフィール

株式会社西日本新聞社大牟田支局長、熊本総局長などを経て、2010(平成22)年4月、執行役員企画局長に就任。 2011(平成23)年、6月営業本部西日本会事務局長、同年9月に同社退職。
2011(平成23)年7月から、福岡市男女共同参画審議会会長を務めている。
その他、佐賀県男女共同参画審議会委員、九州地方交通審議会委員などを歴任。

 

 

 

 


 

 

 

 

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