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大谷 清美(おおたにきよみ)さん (2011年3月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

 

NPO法人チャイルドケアセンター 理事長

子どもを真ん中に、地域で育て、育ちあう

 

手弁当から始めた育児支援

 大谷清美さんが育児支援活動を始めたきっかけは、育児をしている時期に「地域に子育てに関する情報が少ない」と感じたことだった。結婚を機に保育士を退職して家庭に入り、夫の経営する店舗を手伝う生活だったので、他の家庭の母親と交流する機会も少なかった。そんな中で、「もっと親子が気軽に楽しめるような育児に関する情報を共有していきたい」という思いから、1998(平成10)年に、子育て情報誌「びぃ~んずキッズ」を発行。最初の頃は、同じ思いを抱える少ない仲間との手弁当での活動だった。
 最初は情報誌というよりも、パンフレットといった趣きで、少部数での発行だったが、自宅兼編集部に届く手紙の反響から、多くの人々が同じ悩みや思いを持っていることをより切実に感じ、誌面上での情報共有だけでなく、実際に地域全体で子育てに関する人のつながりを広げていく必要性を感じていった。発刊当時から無料で、手に取りやすい場所に配布することにこだわり続けた「びぃ~んずキッズ」も、現在では、オールカラー・5万分を発行するまでに成長した。

行動力を頼りに、地域全体に広げていった活動

 しかし、少ない人数で手弁当でやっているだけでは、やれることは限られてくる。もっと幅広い活動としていくために、飛び込みで行政や企業や色々な団体に働きかけていったこともあった。そういった活動の中で、情報誌の編集やビジネスの手法、NPO法人という活動のあり方など、様々なことも学んでいったという。 
 「今思えば、穴があったら入りたいというようなことも沢山ありましたが、周りの多くの人たちに助けられ、色々なことを教えていただいたきながらやってきました」。
 そして、こういった地道な活動が次第に実を結び、2001(平成13)年には、NPO法人「チャイルドケアセンター大野城」を設立。事業を支援してくれる賛助会員やボランティアも増えていった。2003(平成15)年からは、市の施設である「ファミリー・サポート・センターおおのじょう」の管理・運営も行うなど、地域全体でより幅広く育児支援活動を行うことのできる体制が整っていった。現在はその活動も10年を超えるものとなり、賛助会員は900人を数えるまでになった。

地域の力、世代間の力を生かしたまちづくり

 現在は、大野城市を中心に、旧筑紫郡地方全域で、地域に根ざした幅広い育児支援活動を行っている大谷さん。その活動内容は多岐にわたるが、一貫して、地域の力、世代間の力、気軽に楽しく参加できることを大切にしている。
 大野城市はいわゆる転勤族の家庭も多く、元看護師や元保育士で、転勤や出産を機に職を離れた人も多いという。そういった人々の力を子育てで悩む家庭に生かすことができれば、復職支援と育児支援という、お互いにとってプラスの作用が働く。また、高齢者や子どもたちが一緒にふれ合って楽しく遊び、世代を超えた交流を促進していくことで、地域全体にとっての活力も生まれてくる。そして、そういった活動を通じて、大谷さんやスタッフも成長し、それがまた地域全体での幅広い活動につながっていくという好循環を生んでいる。
 活動紹介写真の子ども達やボランティアで支援する人々の表情は、生き生きとしていて輝いたものばかり。大谷さん自身も「これからも『大野城市で子育てをしたい』と思えるまちづくりをしていきたい」と充実した笑顔で話す。この笑顔で、大谷さんはこれからも地域や子どもたちと喜びをわかち合っていく。 

                                    (2011年3月取材)

コラム

ツーリングで夜の海を眺め、紅茶で一息

 意外にも、ツーリングが趣味だという大谷さん。結婚する以前は、本格的なサーキットでのバイクレースにも参加していたという。「トロフィーを取ったらやめよう」という目的を達成して以来、レースからは退いたが、今でもオートバイに乗るそうだ。
 仕事と子育てで多忙なこともあり、子どもが寝てからの夜中に一人で走りに出かけることも多く、特に志賀島がお気に入りだそう。「海を眺めながら、水筒の紅茶を飲んで一息つくことが、私の楽しみです」と笑顔で語ってくれた。こういった活動的なところが、仕事をしていく上での原動力ともなっているようだ。

プロフィール

福岡県出身。NPO法人「チャイルドケアセンター」理事長。南福岡エリアの子育て情報誌「びぃ~んずキッズ」統括編集長。3児の母。
結婚を機に保育士を退職。育児中「地域の子育て情報が少ない」と感じたことがきっかけで、1997(平成9)年、子連れママグループ「びぃ~んず」を結成。草の根からの育児支援活動を開始する。1998(平成10)年、無料の子育て情報誌「びぃ~んずキッズ」を創刊。2000(平成12)年の子育てネットワーク準備委員会設立を経て、翌年、NPO法人「チャイルドケアセンター大野城」を設立。2011年、「チャイルドケアセンター」に名称変更。
2003(平成15)年より、指定管理者として「ファミリー・サポート・センターおおのじょう」の管理・運営や2011(平成23)年より5年間、大野城市留守家庭児童保育所の運営業務も行う。
2013年、平成25年度ふくおか共助社会づくり表彰(地域貢献活動部門賞)受賞。

 

 

 

 


 

 

 

 

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