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川口 道子(かわぐちみちこ)さん      (2005年12月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

NPO法人はかた夢松原の会 名誉理事長 (取材時:理事長)

次の世代に残していくために、さまざまな活動を展開  

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人は財産

 川口道子さんは、昔あった白砂青松の復元のためにNPO法人はかた夢松原の会を発足しました。今では環境を学び・実践する「環境実践大学」や「森の大学」、玄界灘沿岸の松原の管理・保全団体と連携した「沿岸松原サミット」、日中緑化交流基金による「中国(西安)旬邑県植林事業」、福岡市の放置自転車についての「マップで見直そう!福岡」、福岡の水の重要性を見直す「ふくおか水の感謝祭」等、さまざまに活動を広げている団体です。「いいことですから皆さんが助けてくださる。皆さんがいろんな思いを寄せてくださる」。大変忙しいスケジュールではありますが、「楽しい」と川口さんは言います。はかた夢松原の会の活動はボランティアで成り立っています。川口さんは、みんなで情報を共有し、みんなでやっていこうという活動の姿勢を忘れません。 川口さんの活動の始まりは、公民館に集まっての仲間との読書会でした。そこでいろいろな人と出会い、つながりを持ち、今日までの活動に広がっていったと言います。 「人が一番大事ですから。時代は変わるけど人は変わらないでしょ。私は人は財産だと思ってますから」。川口さんが大切にする人と人とのつながりは、タテ・ヨコ・ナナメの3つ。タテは親子や教師と生徒、上司と部下など、ヨコはきょうだいや友人などナナメは近所のおじさんおばさんや子どもの時から、「人とどう付き合っていけるか、その力が“社会性”。小さい頃からそれがあれば、就職してからとか、初めて人に会うとか、どんな時でも力になるでしょう」と話されました。 もちろん川口さん自身も知らない人と会うのが大好きです。

社会に関心をもち、勉強すること

 川口さんは「私たちに必要なことは、社会への関心を持ち、勉強をすることです。その土地の文化と歴史を知らないと何もできませんから」と言われます。 松原の植樹を始めたのも、埋め立てられた松原が、かつて、その地域に住む人や農耕地を砂、潮そして風の被害から守るため多くの人々の手によって、一本、一本植えられたものだという歴史を知ったからこそ。その他の活動も、ちょっとした身近なことに疑問を持ち、それを知ろうとするところから始まっています。
 「蛇口から出る水のもとはどこなのだろう?」 「今食べているものはどうやって作られるのだろう?」 「放置自転車が多いのはなぜだろう?」 こうした問題意識を常に持ち、それを知るために調査を行い、そこから得られた結果から新たな疑問が生まれます。さらにその結果を人々に示すことによって、1人の疑問がみんなの関心になっていくのです。疑問や不満をただ言うだけ、誰かに依存するだけでなく、「自分がどうすればいいか、悩むといいんじゃないかなと思いますよ」。
 その昔、自ら考え、行動することで戦争を生き抜いてきた川口さんの言葉は力強く響きます。

生活者の視点を大切に

 子どもを生むのは女性。それはいつも変わらないことの一つに挙げられます。だが、この少子化、子どもを育てる社会環境が変わってきました。誰にも言われなくても晩婚化が進む社会で、それが女性のプレッシャーになっているところがないでしょうか。川口さんは子どもを産み育てることは、女性の「楽しみ」だと表現します。女性だからこそ子どもを産み育て、生活者としての視点から次の世代を守り育てるための活動に携わることができます。川口さんの活動は次の世代に残していくものを考えながら行われているのです。

これからの夢とメッセージ

 これだけ多様な活動に関わる川口さんには、はかた夢松原の会以外のことに携わる時間があるのでしょうか。尋ねると、「やってますよ。お花。今度個展やるからいらっしゃい」と嬉しそうな笑顔を見せてくれました。生き生きとした植物に出会って、自分の今を表現することを楽しむ川口さんは、きっとそこでも多くを学び、人と出会い、何かを育てているのでしょう。
                                                                                                         (2005年12月取材)

プロフィール

昭和20年、中国の新京(現:長春)より帰国。
終戦の混乱な時代、野山の植物との出逢い、現代生け花グループ『玄雅会』を創立する。
昭和62年3月、約20人のメンバーとともに『夢松原市民の会』(現『はかた夢松原の会』)を発足。その後もさまざまな活動に積極的に取り組み、NPO、まちづくり団体から厚い信頼を得ている。特に終戦を境に、「女性が社会に参加しない」との想いが強くなり、女性問題に取り組むようになった。

 

 

 

 


 

 

 

 

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