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青木 麗子(あおきれいこ)さん    (2011年2月取材)

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株式会社DLC・GBコンサルティング代表取締役社長/香港大公報・大公網日本総代理     

国境のない交流をめざして

 

言葉の通訳でなく、人を通訳する

 青木さんは中国で生まれ、その地で多感な幼少期を過ごした。「日中両国の文化の恩恵を受け成長した」と言う青木さんは、日中友好の架け橋になろうという思いを持つようになった。福岡県庁に入庁したのもこの思いを実現するためだ。国際交流課では、中国要人が福岡県を表敬訪問する際の通訳や、中国との交流事業を担当した。
 「通訳というのは、まさにコミュニケーターで、お話される2人を取り持つ接着剤みたいなもの。中国要人が来福される時に、受け入れ側は入念な準備をします。でも通訳が失敗したらすべてが泡になってしまいます」。受け入れ準備に携わった人びとの努力が報われるようにとの思いで仕事を進めた。
 やり方によっては、まるでその場に通訳がいないかのように、会話する2人は意気投合し結びつきが強くなる。「この人が考えているのは何か?それを常に意識し伝える。そうすると相手の反応がきちんと返ってくるんですね。それが確認できると、すごく喜びを感じます」と。周囲からの「青木さんは言葉の通訳ではなく、人間を通訳しているんですね」との言葉に、当時の青木さんの仕事ぶりが表れている。

グローバルな視点で日中関係を考える

 青木さんが30歳の頃、人生の転機がおとずれる。「一生公務員としてやっていくのか?本当にやりたいことは何だったのか?」考え直す時期だった。「“日中友好の架け橋”となるためには、通訳という小さな枠にとらわれず、もっと国際社会から日本と中国を見る眼を養わなければ」と退職し、夫とともに幼い子どもを連れ渡米。「世界中の人々が集まるアメリカで生活して、日中の関係をもっと大きな枠でとらえなければと実感。すごく成長させてもらいました」。日本と中国の間を行き来するだけではつかめないグローバルな感覚を肌で感じとった。
 帰国後、通訳・翻訳を業務とする青木麗子オフィスを立ち上げる。90年代前半には中国経済の成長と共に、中国に関するビジネス相談も増えてきた。ある時、北京の日中合弁企業にトラブルが発生し、解決のため通訳として携わった青木さん。文化の違いから生じた問題を解消し、円満解決に導いた。その手腕を見込まれ、その合弁会社の社長に就任、4年間務め業績をV字回復させる。そして2004(平成16)年、その経験を活かし、DLC日中ビジネスコンサルティングを起こした。

福岡から世界につながるために

 青木さんの肩書きは数知れない。その中でも広く国際交流を図ろうとするのが、福岡県留学生サポートセンター長、大公網ジャパンオンライン日本総代表。留学生サポートセンターでは日本文化塾を設置。福岡には、およそ90カ国からの約9000人の留学生がいる。「つまり90カ国の文化を福岡に持ち込んでいるわけです。日本の若者にも福岡にいながら世界の異文化にふれる場を作り、刺激を受けてもっとグローバルにたくましく育ってほしい」と思いを込める。家庭で子どもを育てるように、チャンスを与え自立させることが目標。最近では留学生も日本の若者も親しみを込め、青木さんのことを「お母さん」と呼ぶ。
 香港で発行される老舗新聞「大広報」の公式インターネットサイト“大公網”。そのジャパンオンラインの総代表。2011(平成23)年1月に開設し、文化、ビジネス、観光など、九州を中心とした日本情報を発信している。「福岡は歴史から見ても、昔からアジアに開かれた地域。多様な民族・文化を受け入れ、根付かせることができます。これまでは中国のことを伝えてきました。これからは日本の姿を中国に伝えていきます」と意気込む。
 「パスポートなしで日中間中国・アジア間の行き来ができ、言葉の弊害もなくなる。そういう時代がくるのは夢ではないですよ」と最後に語った。
                                                                                                         (2011年2月取材)

コラム

3人の子どもが私の誇り

 「自分が安心して仕事ができるのは、家族が健康であるということ。家族の心と体の健康のために、『私が何をすべきか?』と常に考えてきました」。現在3人のお子さんはそれぞれ進学、就職を果たしている。「子どもには、これをするな、あれをしなさいとは言わなかった。人として、やってはいけないことさえ守ってくれれば、好きなことをやっていい。その代わり、自分でやったことには自分で責任を持つこと」と言う。そして、「子育ては1人ではできない。夫と二人三脚でやってきた」と語る。

プロフィール

中国生まれ。1984(昭和59)年福岡県庁入庁。国際交流課で中国担当となり、中国国家要人の通訳を数多く担当。1988(昭和63)年退職し渡米。2000(平成12)年日中合弁会社北京長城サークルビジョンシアター社長に就任。2004(平成16)年「DLC日中ビジネスコンサルティング」を設立(現社名:DLC・GBコンサルティング)。また、「香港大公報・大公網Japan Online日本総代表」も務める。
中国語および中国問題スペシャリストとして、「中国と日本」をキーワードに講演、執筆などで活躍中。著書「中国夢大地」「中国風大地」「明日への扉 日中新時代へ」など。2009(平成21)年、第8回福岡県男女共同参画表彰(県民賞)受賞。

 

 

 

 


 

 

 

 

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