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大学連携・若年者スタート応援事業・(福岡地区) シリーズ働くを考えるvol.2 「福岡で働く、育てる、学ぶ」(連続6回・グループワーク) 

グループワーク第1回のテーマは『若者の生きづらさを考える』です。講師の福岡大学人文学部教育・臨床心理学科准教授 植上一希さんは、最初に「今の若者は生きづらさを抱えており、その状況を学んだ上でしっかりと幸せに生きて欲しい」とテーマ設定の目的を説明されました。
2010年代を生きる若者の生きづらさを作り出すものとして、1990年代の状況との比較が提示され、非正規雇用の増加にみる雇用の不安定化・劣悪化があり今後改善される見込みも低く未婚率も増えているにもかかわらず、「30歳代になれば経済的に安定するものだ、結婚はすべきだ」という親世代の規範意識とのずれがあり、若者たちには社会参画して社会を変えていく回路も見えにくく政治不信になっていると論点提示をされ、それを受けて参加者は4~5人のグループに分かれディスカッションを行いました。その後、各グループから紹介された学生たちの意見は次のとおりでした。
「進路・就職など親との意見の食い違いによる葛藤」「親の期待に沿えなかった罪責感」「就職で1度失敗するともう2度と社会に戻れない不安」「『こうでなければならない』モデルとそうでない生き方がある。「あたりまえ」に守られていることもあり、どっちが良いのか?」「規範意識と自分の意識にギャップがあり、自分の個性が出せない。」「就活では外見のアドバンテージ(有利)は強く、女性はお茶くみをするなど可愛い性格の人が職も長く続く」「『生きづらさ』という言葉の印象が強くネガティブすぎる。『もやっとする』くらいでよいのではないか。」「経験のなさからくるものかもしれないが、周りに生きづらそうな学生はそんなに見当たらないと感じる。」「未婚率の増加は生きづらさに通じるか?結婚すると生きやすくなるのか? 」など。
植上さんと同大人文学部教育・臨床心理学科准教授寺崎里水さんからは次のようなまとめを示されました。
未婚が生きづらさにつながるのではない、未婚が増えていく背景には生活領域の変化がある。また、変化は良い方向にも悪い方向にもあり今の若者は適応しづらくそこをどう埋めていくのかが問われていると説明を加えられました。
自分にとって何が幸せで生きづらくない社会かをきちんと想起する力を養ってほしい。親や進路指導教諭との関係に悩む気持ちも分かるが、彼らは自分の経験でのアドバイスが精一杯で、視野が狭いのは情報格差、地域間格差、学校間格差の問題として広くとらえ、そのことを勉強してみてはどうか?大きな社会構造で何かやれるかと考えるのが皆さんの役目であり、その機会を与えているのがこの講座なので貪欲に学んでいただきたいと結ばれました。
受講の感想からは、普段こんなテーマで友人や他大学の学生と話すことがなかったので貴重な体験だったことや、親の考え方の影響で職業や大学に対して自らをネガティブにとらえていた学生もいて、様々な「観点」がありその見方で全く違ったものになることをこの講座で知り楽になった様子がうかがえました。
また、「女性が可愛いと就職が有利かという問題」は重要な課題。女性が置かれている圧倒的な不利な状況については次回の講座で説明したいと次回への参加を促されました。

    タイトル「若者の生きづらさを考える」  会場:福岡市立婦人会館「あいれふ」8F視聴覚室
    開催日時 2013年10月3日(木)

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