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【センター長コラム No.56】『ジェンダーギャップレポート2021』を読む――日本のジェンダーギャップ指数はどうすれば改善するか

新年度がスタートしました。お変わりありませんか。

八重桜が咲きました。緑色の花びらが美しい花は、御衣黄桜(ぎょいこうざくら)。花の色が、平安時代の貴族の服の「萌黄色」に近いことから名づけられたそうです。

 

 

さて、3月31日に、『ジェンダーギャップレポート2021』が発表されました。

ジェンダーギャップレポートは、「世界経済フォーラム」が、2006年から毎年、各国の男女不平等の度合い(ジェンダーギャップ指数)を算定し、ランキングとともに発表しているものです。

 

今年の日本のジェンダーギャップ指数は0.656で、世界156か国中120位となり、前回の、ジェンダーギャップ指数0.652、153か国中121位から、特に大きな変化はありませんでした。

 

今回のコラムでは、なぜ日本のジェンダーギャップ指数は低いままなのか、どうすれば日本のジェンダーギャップ指数は改善するのかについて、『ジェンダーギャップレポート2021』をもとに考えたいと思います。

 

 

○ジェンダーギャップ指数とは

 

ジェンダーギャップ指数は、「経済参画」、「教育の到達度」、「健康」、「政治参画」の4つの分野で、男女不平等の度合いを指数化(女性÷男性)し、4つの分野を総合して算出されます(数値が1に近づくほど平等で、遠ざかるほど男女格差が大きいと評価されます)。そして、総合点を比較して各国の順位が決定されます。

今年のジェンダーギャップ指数ランキングのトップ10は次の表のとおりです。( )内は前回の順位と指数です。

 

○ジェンダーギャップ指数の算定方法

ジェンダーギャップ指数は、順位だけでなく数値を見なければなりません。

ジェンダーギャップ指数を算定する4つの分野には、それぞれに、算定に用いられるサブ指標が設定されています。

「経済参画」は、「労働参加率の男女比」、「同一の労働における賃金の男女格差」、「年収格差」、「役員・管理職の男女比」、「専門職・技術職の男女比」の5つ、「教育の到達度」は、「識字率の男女格差」、「初等教育就学率の男女比」、「中等教育就学率の男女比」、「高等教育就学率の男女比」の4つ、「健康」は、「出生児の男女比」、「健康寿命の男女比」の2つ、「政治参画」は、「国会議員の男女比」、「閣僚の男女比」、「過去50年間の国家元首の在任年数の男女比」の3つです。

 

日本のジェンダーギャップ指数を、各分野で、それぞれのサブ指標を加えて見てみたいと思います。

下の図は、過去3年間の日本のジェンダーギャップ指数の推移を示したものです。 

(見えにくい場合はこちらをご覧ください GGGi(2021)

 

表中の2020年(2019年)とあるのは、前回レポートのことです。

『ジェンダーギャップレポート』は、年の表示について、それまでは、「レポート2017」、「レポート2018」と順序よく続いてきたのですが、2019年12月に発表された前回のレポートは、2019を1つ飛ばして、『ジェンダーギャップレポート2020』のタイトルで発表されました。そのため、年の表示については、引用する人によって、タイトルどおりの「ジェンダーギャップ指数2020」という人と、これまでの連続性を考えて「ジェンダーギャップ指数2019」とする人の両方がいました。

私のコラム(2019年12月23日)では、連続性を考えて、「ジェンダーギャップ指数2019」と紹介しました。今回は、2021として紹介しています。

 

 

○なぜ、日本のジェンダーギャップ指数は低いままなのか

日本のジェンダーギャップ指数が低いのは、経済分野と政治分野の男女格差が大きいためです。

最も男女格差が大きく、日本の順位の低迷の原因となっているのが、政治分野における男女格差で、世界平均が0.218であるのに対し、日本は0.061で、順位は、下から10番目の147位です。

 

では、なぜ、この格差は縮小しないのでしょうか。それは、「政治参加」分野の測定に用いられるサブ指標を見ればわかります。

 

1つ目の「国会議員の男女比」ですが、この測定は、2院制をとっている国は下院の男女比で計算されることになっているため、日本は衆議院議員の男女比で測定されます。

 

日本の国会議員の男女比の数値に変化がないのは、衆議院議員選挙は、2017年10月に行われて以降行われていないので、衆議院議員の男女比が変わらず、改善の余地がなかったからです。

 

2017年の選挙では、定数465人中47人が女性だったので(10.1%)、測定に用いた数字は、2018年、2019年と変わらずこの数字が用いられました。今年は、女性議員1人の死去に伴い、女性が464人中46人となったため、女性割合9.9%を用いて計算されています。(ジェンダーギャップ指数は、女性の割合÷男性の割合で算出されます。)

 

2つ目のサブ指標「閣僚の男女比」ですが、日本では、2018年の測定時には3人の女性大臣がいました(15.8%)が、2019年の測定時では1人(5.3%)になり、今年は、菅内閣では女性は2人(10.0%)となっており、この男女の割合を用いて算出されました。

 

3つ目の「過去50年間の国家元首の在任年数の男女比」については、日本はまだ女性の首相が誕生していないので、ずっと「0」です。

なお、『ジェンダーギャップレポート2021』では、今年の評価対象となった156か国中、半分以上の81か国(ジェンダーギャップ指数の高いスウェーデンやスペインも含まれます)で、まだ女性の国家元首が誕生していないと指摘しています。しかし、逆に見れば、75か国に女性の元首が誕生しているのです。

 

 

○どうすれば日本のジェンダーギャップ指数は改善するのか

日本のジェンダーギャップ指数を改善するためには、政治分野の男女格差を改善することが必要であり、今年の『ジェンダーギャップレポート』を見ても、政治分野の男女格差を改善した国がランキングの順位を上げています。

 

日本は今年、政治分野のサブ指標である「国会議員の男女比」が変わる転換点にあります。

というのは、今年10月21日に現在の衆議院議員の任期が満了となるため、間違いなく衆議院議員選挙が行われるので、今年の衆議院議員選挙で女性議員の数が増えれば、この数値が上がるからです。

 

2018年に制定された「政治分野における男女共同参画推進法」に定められた基本原則にのっとって、各政党や政治団体が、候補者の男女の数をできるだけ均等にするようにし、もっと多くの女性の国会議員が誕生すれば、ジェンダーギャップ指数のジャンプが見込めます。

 

昨年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」にも、各政党に対して「数値目標の設定や、候補者の一定割合を女性に割り当てるクオータ制等の・・・自主的な取組の実施」等を要請すると述べられているので、今年は変化が期待できます。

 

次に言えるのは、女性大臣の人数が増えれば、ジェンダーギャップ指数は大きく改善するということです。

 

今年のジェンダーギャップ指数の上位国を見ると、ナミビアが前回の12位から6位に、リトアニアが33位から8位に、スイスが18位から10位に躍進していますが、この3つの国すべてにおいて、女性の大臣が増えたことによるジェンダーギャップの改善が見られます。

 

特に、8位にランキングしたリトアニアの躍進は、前回測定時には女性大臣ゼロだったのが、今年は女性割合が42.9%になったことが大きな要因です。また、議員に占める女性の割合も21.3%から27.7%になりました。さらに、リトアニアでは、2009年5月から2019年7月まで女性が大統領をつとめ、その後男性が大統領になりましたが、2020年12月に、新しい女性の大統領が誕生しているので、このサブ指標でもギャップが改善されています。

6位のナミビアは、女性大臣の割合が20%から39.1%になったことと、2015年から女性が首相をつとめており、女性元首の期間が1年増えたことで政治分野の格差が改善しました。

10位のスイスも政治分野の男女格差を解消することによって、トップテンに入ったものです。女性大臣の割合は42.9%と変化はありませんが、国会議員の女性の割合が32.5%から42%になっています。なお、スイス連邦の大統領は、過去50年のうち、女性が8年間つとめています。

 

また、アメリカ合衆国では、バイデン大統領が閣僚に女性を多く任命した結果、女性大臣比率は、昨年の21.7%から46.2%へと上昇したこともあって、アメリカのジェンダーギャップ指数の順位も昨年の53位から30位へと上昇しています。(議会の女性の割合も23.6%から27.3%にアップしています。)

 

このように、いずれの国も、政治分野での男女格差の縮小がジェンダーギャップ指数の改善に貢献しているのです。

 

今年は、女性が参政権を獲得して75年目の記念すべき年です。私たち国民も、男女を問わず、参政権をきちんと行使するように心がけなければなりません。

そして、今年が、日本の政治分野のジェンダーギャップ改善の転換点になればよいと思っています。

 

さて、これまで、政治分野のジェンダーギャップに関してお話ししてきましたが、今年のレポートでは、日本のジェンダーギャップ指数に関して、経済分野についても、指数はわずかに改善したものの、117位と下位にあることが指摘されています。

 

レポートは、この低迷は、役員・管理職の女性が少ないこと(14.7%)、雇用者のうちパートタイムで働く人が、男性は男性労働者の22.2%であるのに対し、女性は50.8%がパート労働者であること、女性の収入は男性の収入の43.7%低いことが原因であると指摘しています。

経済分野の女性参画も大きな課題です。

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<参考>過去のジェンダーギャップ指数に関するコラムはこちらをご覧ください。

ジェンダーギャップ指数2018

ジェンダーギャップ指数2019

 

 

最後は、マイ農園だよりです。

ベランダのプランターでイチゴが次々に花を咲かせています。少しずつ収穫できていて、私のお弁当のすみっこに入っています。

ではまた。                                (2021.04.06)                               

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