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【センター長コラム】 アジア料理  82020年8月17日配信)

こんにちは。お変わりありませんか。

今日の花は、「オニユリ」と「ムラサキシキブ」の花です。オニユリはいかにも夏の花という色と模様です。ムラサキシキブは、7月にこんな可憐な花が咲き、いま、緑色の実をつけています。秋になって実が熟してくると紫色に変わっていきます。

秋のムラサキシキブの写真は、昨年9月24日のコラムをご覧ください。

 

今日は、私の大好きなアジア料理のお話と、あすばるライブラリーに所蔵している世界の料理に関する本のご紹介をしたいと思います。

 

私は「アジア大好き人間」で、アジア料理は、食べることも、つくることも大好きです。特に暑い季節には、無性に、南アジアや東南アジアの料理が食べたくなります。スパイス香るチキンカレー、甘くて辛いグリーンカレー、スイートチリソースをたっぷりつけた揚げ春巻き・・・・たまりません。

 

私がアジア料理を好きになったのは、ちょうど30年前、アジアの女性に関する研究機関に勤務したことがきっかけです。

 

私は、アジアの女性に関する情報の収集・発信の仕事をしていたので、アジア諸国へ出張することもあり、現地で食べた料理は、初めて出会う味ばかりで、そのおいしさにすっかり魅了されてしまいました。

 

タイ料理は、甘さと辛さと酸っぱさと、魚醤ナンプラーの香りが絶妙のバランスで組み合わせられ、私の料理の既成概念をすっかり壊してくれました。アジア料理の味付けはマジックのようだと思います。

 

また、遠い国の料理なのに日本と似たものもあります。ベトナム中部の古い港町ホイアンには、三重県伊勢市の名物「伊勢うどん」そっくりの、コシのないうどんのような麺料理がありました。インド洋の島国モルディブで食べたフィッシュ・カレーは、半生の鰹節が入っていて鰹だしがきいていました。

 

出張から帰るたびに私は、レシピ本を探し、通信販売でスパイスや調味料などを取り寄せては、味の再現に挑戦しました。

 

家庭菜園では、以前は手に入りにくかったパクチー、ホーリーバジル、空心菜などをつくりました。春雨サラダをつくるために、レモンも植えました。

 

そんな私がお薦めする一冊目は、荻野恭子著『おいしい料理は、すべて旅から教わった』(KADOKAWA、2018年)です。

 

荻野さんは、海外の料理に関する本をたくさん出しておられる方ですが、この本は、荻野さんがこれまでに訪ねた国々の料理をテーマに書いたエッセー集で、現地で教わった料理のレシピのほか、食に関する知恵の数々が書かれています。

現地の風景や料理の写真も満載で、居ながらにして、「世界の食文化」が味わえます。

 

もっとディープに、ただただ「納豆」を求めて、アジアの辺境の村々を旅したルポルタージュが、高野秀行著『謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉―』(新潮社、2016年。文庫版は2020年)です。

 

日本食のように思われる納豆ですが、著者は、ミャンマーの奥地で、納豆卵かけごはんに遭遇したことをきっかけに、アジアで納豆がつくられていることを知り、納豆に出会うために、アジアの辺境の村々を徹底的に探求しました。

 

ミャンマー、タイ、ブータン、ネパール、中国、そして日本と続く旅は冒険旅行のようです。発酵学、歴史、民族、国際関係、・・・と、さまざまな角度から考察されたアジア納豆の世界は、著者の言葉を借りれば、まさしく「未知の納豆ワールド」です。私は何回も読み返しましたが、この納豆ワールドは、リピーターを飽きさせません。

 

そして、3冊目が、安田菜津紀著『故郷の味は海をこえて: 「難民」として日本に生きる』(ポプラ社、2019年)です。

 

安田さんは、フォトジャーナリストとして、アジアやアフリカの貧困や難民をテーマにした写真を多く撮られていますが、本書は、日本に暮らす「難民」の人たちがつくる故郷の料理を通して、その人たちがたどってきた厳しい道のりをひもとく一冊です。

料理を手がかりに、日本で生きる難民の人々のことを知ってほしいとの思いが込められています。

 

思うに、料理は、人がその土地に生まれ育ったというアイデンティティ・拠り所の1つのような気がします。高野さんの本にも、傭兵や難民として海外に渡った人たちが、その地で生まれ故郷の納豆をつくっており、納豆が昔から国際化していることが記されています。安田さんも、遠い国で暮らす人々にとって、故郷の味は故郷そのものだと言います。

 

私は、出張先のアジアの家庭で料理をいただくときは、いつもレシピを教えてもらいました。料理を話題にすると、なぜか心がうちとけて、聞き取り調査の仕事もうまくいきました。高野さんも、「納豆民族」は納豆の話になると饒舌になると言います。

 

私は、以前、友人たちと「アジアへの扉」という料理教室を開いていました。料理は、アジアの入口だと思ったからです。出来上がった料理の試食会では、アジアの国についてのミニレクチャーもしましたが、何より、アジア料理のおいしさを知ってもらい、みんなが笑顔になったことをうれしく思いました。

 

さて、あすばるライブラリーには、世界の国々を知るために役立つ本がたくさんあります。

自由に旅行ができない今、あすばるの本を通して、世界への扉をノックしていただければと思います。是非ライブラリーをご利用ください。

 

終わりは、マイ農園だよりです。

梅雨が長かったために、スイカの受粉ができず、7月になってやっと実がつきました。栗の実も少しずつ大きくなっています。

紫の花はナスの花です。「親の小言となすびの花は千に一つの無駄もない」といいますが、我が家のナスの花は結構無駄があります。それでも、何個か収穫できました。

 

 

暑い日が続きます。コロナ対策とともに、熱中症にもお気をつけください。

ではまた。                             (2020.08.17)

 

 

 

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