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福岡市は「パートナーシップ」を尊重します (福岡市市民局人権部人権推進課長 合屋 四郎さん:あすばる~ん2019秋号掲載)

 
福岡市市民局人権部人権推進課長 合屋 四郎さん(写真中央)
(左から:同課 村岡 亜衣子さん、企画管理係長 村上 生世央さん)

 

―福岡市では2018年4月に「パートナーシップ宣誓制度」をスタートされました。どんな内容でしょうか?

性的マイノリティの方が抱える生きづらさの解消を目的とする事業です。ふたりで来庁して宣誓書に記入していただき、「宣誓書写し」と運転免許証サイズの「宣誓書受領証」をお渡しします。(詳しくはこちら)

受領証を受け取ると、事実婚の関係と同等とみなされ、市営住宅に入居できたり、市民病院でパートナーとして病状説明を受けたりできるようになります。福岡市ではこれまで45組の宣誓書を受領しました(2019年8月31日現在)。

 

―制度の特徴は?

異性のパートナーでも受け入れるところが福岡市の特徴だと思います。LGBTの方は色々なパターンのカップルがいて、戸籍上の異性であるケースもあります。福岡市では同性でも異性でも、おふたりのうちおひとりが性的マイノリティであれば要件に該当する制度としています。

 

―制度を開始されるまでの流れを教えてください。

2017年から、パートナーシップ宣誓制度も含めた性的マイノリティへの支援の充実についての検討が始まり、翌2018年3月には、「性的マイノリティに関する支援方針」を固めました。その中に新しくパートナーシップ宣誓制度が盛り込まれて、翌4月からスタートしたという流れです。

福岡にはいろんな当事者団体があり、当事者の声を聞く機会に恵まれていました。制度ができる前から、団体とのやり取りの中で職員は当事者の思いをしっかり受け止めていました。  

 

―実際に制度を運用されて、いかがですか?

おふたりで来庁されて申し込まれるのは、とても勇気のいることだと思います。センシティブなやり取りになりますから、個室で対応することが大切だと思い、部屋の空き状況と相手のご都合を確認の上で日程を調整しています。
 
制度を利用された方から、「これから市営住宅の申し込みをしたい」などとお聞きすることもあり、実際に使われているという実感が湧きます。また、女性同士のカップルで、ひとりが代理で家庭裁判所に行った際、パートナーシップの受領証を見せたらすんなり代理として認められ手続きできたそうです。市が認めているというのは大きいですね。

これまで自分たちのことを話せず肩身の狭い思いをしていたけど、公的機関である市が性的マイノリティの存在を認めて尊重する姿勢を示されたのでうれしい、という感想もいただいています。

 

―受領証は手作りされているそうですね。

はい、当日、お名前を確認させていただいて公印を押し、1枚ずつの手作業になります。

カード型にしたのは福岡市が最初ですが、今は大阪市や熊本市などもカードタイプの受領証を交付しています。

 
―市の職員の方の取り組みへの反応はいかがですか?

昨年から全職場で研修を行い、性的マイノリティやパートナーシップ宣誓制度について伝えてきました。性的マイノリティについての理解をよりいっそう進めるために、今年も再度研修を行いました。結婚休暇に準じたパートナーシップ形成休暇を設けたり、介護休暇で被介護の範囲をパートナーにも広げています。

特に課長級以上には、「職員にもマイノリティの方がたくさんいて、明日にも休暇申請が来るかもしれない。自分の事としてしっかり受け止めるように」と話しています。

 

―性的マイノリティについて、福岡市では他にどんな取り組みがありますか?

当事者支援はパートナーシップ宣誓制度と電話相談、交流会があります。災害時の配慮として、避難所で性的マイノリティの方に配慮してくださいということをマニュアルにも載せています。

一般市民向けは、マイノリティの方について理解を深めるための講演会やシンポジウムなどの開催、啓発リーフレットの作成とホームページへの情報掲載があります。

企業に対しては、社内及社外への対応をお願いしています。社員を大事にすれば勤続年数が長くなり、能力を発揮してもらえます。また、顧客を大事にすれば信頼関係ができて売上アップにつながります。当事者の口コミは影響力が高く、ネットワークもありますから。

また、福岡市の学校では、教職員の研修などでマイノリティについて学んでいます。来年の4月からは、中学校によっては入学する生徒が数タイプの制服から好きなものを選べるようになります。

 

―最後に、今後の展望を聞かせてください。

パートナーシップ宣誓制度などの性的マイノリティ支援を開始して1年半が経過し、少しずつみえてくるものがあります。

今まで取り組んでいない分野、例えば企業向けにどう取り組むか、一方ですでに取り組んでいることを見直し、いかに充実させ定着させていくかも大切です。例えば、病院の取り組みはまだ市民病院に限られていますが、他の病院にどうアプローチすればよいのか、医師会に話を伺っているところです。

私自身、去年春にこちらの部署に来て、人間は本当に多様なのだと気づかされました。世界レベルの課題でもありますし、少しずつでも変えていかなければと考えています。

 

―貴重なお話をありがとうございました。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

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