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坂田 隆史(さかたたかし)さん

株式会社CROSS FM 代表取締役社長 兼 営業本部長

スタッフやリスナーの人生を豊かにする局でありたい

 2015年6月、福岡のラジオ局・株式会社CROSS FMの社長に就任した坂田隆史さん。FM業界に入って25年目に訪れた突然のトップ人事に「寝耳に水でした」と笑うが、あたたかい笑顔で語られる言葉の端々には、ラジオとスタッフへの深い愛が満ちていた。

学生の頃から好きだったFM業界へ転職

 坂田さんがラジオの世界に入ったのは、32歳のとき。地元佐賀でFMが開局すると知り、食品会社からエフエム佐賀に転職した。「中学生の頃からFM放送のトークと音楽に魅せられていたんです。特に80年代後半に独立FM局、つまりネットワーク局の番組を流さず、その局独自の番組を制作・放送するFM局が登場したときは、感動しました。それまでは好きな番組を選んで聴いていましたが、独立FM局にはオリジナルのカラーがあり、1日中つけていれば自分の好きな音楽や興味のある話題が入ってくる。ラジオと人の新しい関係の幕開けであり、ラジオが生活をデザインしてくれると感じました」。営業担当として意欲的に働いた。だが一方で、そこは独立局ではないため独自のカラーを打ち出せないことへのジレンマも募り、約5年で退社した。

世界に出て体感した、フリーな社会の在り方

 次なる職場は、ちょうど福岡で開局が決まった九州国際エフエム(LOVE FM)。同局は独立局で、英語・中国語・韓国語などの外国語放送をメインにスタート。英語と洋楽が好きな坂田さんにとって、願ってもない舞台だった。
 14年ほどの在職期間で最も印象に残っているのは、福岡県のアジア若者文化交流事業のプロデュースを担当したことだ。この事業は2005年、日本とアジアの若者たちの相互理解を深め、友好関係を発展させることを目的として始められた。音楽やマンガなどの若者文化情報を7言語のウェブサイト(asianbeat)で紹介し、イベント等も開催。坂田さんはこのサイトを運営する「アジア・ユース・カルチャー・センター」の初代センター長も務め、アジア各国の放送局やミュージシャンと福岡との交流に情熱を注いだ。中でも県職員とタイ・バンコクの放送局を訪ねたとき、一気に視界が開けたという。「私たちを迎えてくれたのは、女装の男性。その方は重要なポジションに就き、会社から海外ゲストの応対を任されていた。性別・年齢・見た目などは関係なく、能力やセンスで評価されている社会に大きなショックを受けました。ひるがえって日本を見ると、まだまだ凝り固まっていて…。世界は広いと実感し、もっと自由に誰もが活躍できる社会になってほしいと強く思いました」。この経験が坂田さんのスタンスや考え方、ビジョンの礎となった。

全員のカラーを融合させてクロスのカラーにしたい

 2011年、CROSS FMに転職し、取締役・福岡営業部長となった。当時の同社は経営が厳しく、投資会社のもとで企業再生を図っている最中だった。経営トップは東京の投資会社からきた34歳の男性で、2013年からは29歳の女性社長に交代。複雑な状況でも、やりづらさはなかったと坂田さんは言い切る。「年下の上司は初めてでしたが、まず敬語を徹底しました。それにふたりとも経営のプロなので、絶対的な信頼を寄せていました。ただ、ラジオのことは私も進言させてもらいましたよ」。坂田さんは「1社から100万円より、10社から10万円ずつ」という小さな柱を重視する方針で地道な営業を続け、筋肉質な経営体質に変えていった。スタッフ全員の努力が実り、2015年3月には2期連続の増収増益となり、軌道に乗った。
 そして2015年6月、前社長の産休を機に打診された社長のポスト。「全く予想していなかったので驚きましたが、全国のラジオ100局のうち1局の社長をやらせてもらえるなんてありがたく、素直にうれしかった」と笑顔を見せる。「ラジオ局には社長のカラーが出る」と断言するものの、就任から2か月、「今はまだ前社長のカラー。これから新しいカラーを出していきたい」という。だが、目指すのは坂田カラーではない。「全スタッフのカラーを統括したカラーにしたいんです。クロスのスタッフは、私にとって苦楽を共にしてきたチームメイトでありファミリーのようなもの。スタッフやリスナーにとってのクロスの価値を高め、人々の人生を豊かにする、なくてはならない局にしたい。そして誰もがやりがいを持って働き、安心して家庭生活を送れる会社にしたい」。そんな思いから、最近NPO法人ファザーリング・ジャパン九州が主催した「九州イクボスフォーラム」でパネリストを務め、“イクボス宣言”をした坂田さん。社員の結婚や出産を人一倍喜び、男性社員にも育休を取ってほしいと話す。まるで父親のような眼差しで、坂田さんはスタッフとラジオを見守り育てていくのだろう。
(2015年8月取材)

コラム

私の大切な時間

坂田さんの趣味はサーフィン。大学生のときに始め、今でも年間を通じて入水するため、体力づくりのランニングと筋トレも欠かさないという。ホームポイントは唐津の立神岩で、宮崎や鹿児島、バリ島など各地で波に乗ってきた。「一人で気軽にできて、そのときにしかない風や波、景色を体感できるのが魅力。一方で、唐津の海から見える景色は昔からさほど変わらず、ほっとします。それに、海では仕事や肩書から離れて仲間と付き合えるのもいいですね」。

プロフィール

佐賀県出身。明治学院大学法学部を卒業後、システム開発会社と食品会社に勤務。1991年株式会社エフエム佐賀に入社、97年株式会社九州国際エフエム(LOVE FM)に転職。在職中、アジア・ユース・カルチャー・センターの初代センター長となる。2011年には株式会社CROSS FM取締役・福岡営業部長に就任。同社取締役副社長を経て、2015年6月から現職。






キーワード

【さ】 【イクボス・イクメン】

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