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前田 雅史(まえだまさし)さん (2015年8月取材)

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株式会社お掃除でつくるやさしい未来 代表取締役

「えがお巡回清掃」で子育て女性の力を活かす

  春日市の住宅街の一角に事務所を構える「株式会社お掃除でつくるやさしい未来」。壁一面に大きな住宅地図が貼られ、女性たちがパソコンに向かう明るいオフィスで、エネルギッシュな前田さんが迎えてくれた。

人と比べず邁進すれば結果はついてくる

 北九州市小倉で生まれ、地元の高校、福岡大学商学部第二部を卒業。一部上場のシャッターメーカーに入社して、「自分の可能性を試したい」と営業職を志望した。前田さんが任されたのは、佐賀での新規開拓だった。まだネットもない時代、電話帳の「建築業」のページを頼りに地道に営業活動を続けたものの、全く受注できない。一方、同期は東京や大阪などで先輩の得意先を引き継ぎ、大きな取引をしていた。そんな現実に「半年でくさりそうになった」とき、上司に救われたという。「上司は自分がお客様へ謝罪に行くときに私を同行させて、必死で謝る姿を見せた。それから自分の苦労話をして、「己を知れ。人と比べて上とか下とか関係ない」と叱ってくれたんです。目が覚めました」。その後はひたむきに営業に回ると、3年目からどんどん契約が決まり、社内の新規開拓件数で表彰されるまでに。すると次を目指したくなり、5年目は休みなく必死に働き、清々しい気持ちで退職した。

ひとりで始めた清掃業で浮き沈みを経験

 ゼロから挑戦したいと考え、地の利のない春日市のアパートに転居。清掃業なら仕事が尽きないと思い、まずは建設会社の掃除部門で3か月間アルバイトした。「開業のために組織運営や掃除の技術を学びたい」と社長に打ち明けると、快く受け入れてくれたのだ。
 3か月後、個人事業主としてスタート。半年ほどで修業した会社から掃除部門を買ってほしいと打診され、社員5人と営業権を引き継ぐことに。男性ばかり6人で、飲食店や施設の夜間清掃を請け負った。さらに人を採用して教育しても、スタッフが次々と辞めていく。「理由を聞くと、ちゃんとした仕事に就きなさいと親が言う…などと答えるんです。私はプライドを持って仕事をしているのに、世間の冷たい視線と期待していたスタッフが辞めていく虚しさに襲われました」。それから数年は自暴自棄になり、「教育を一切放棄した結果、事務所は荒れ放題。暗闇の中にいる感じだった」と振り返る。
 そんな状況から抜け出すきっかけは、ある女性との出会いだった。「子育て中の知人が入社してくれて、彼女が若いスタッフに接する姿を見て、教育とはこういうものかとハッとしました。言葉にも行動にも愛があり、会社を育てることも真剣に考えてくれた。女性はすごいと心底思いました」。

融通の利く仕事で子育て女性の雇用を促進

  「女性の力を活かせる会社にしたい」と考えていたところ、岩手の農業法人が地域の女性を短時間雇い、地域と市場を変えたという事例を知った。これだと思い、経営者に話を聞きに出かけた。
 間もなく求人広告を打ち出した。「1日4時間お掃除しませんか」。目を付けたのは、マンションやアパートの共用部の掃除。個人宅ならお客から時間を指定されるが、共用部の掃除は決まった曜日・時間でなくてもいい。子育て中の女性が自宅の近くで、都合のいい日時にきちんと清掃すれば、子連れでも構わないという管理会社もある。この業務を「えがお巡回清掃」と名付け、新しい働き方として子育て女性の雇用に力を入れている。また、店舗・家やエアコン、チャイルドシートのクリーニングも行う。現在スタッフは46人で、ほとんどは母親だ。女性社員のひとりは「お互いさまの精神で、子どもが急に熱を出しても交代してもらえる。働くことに窮屈さを感じない」と笑顔で話す。
 こんなエピソードもある。小さな子を連れて清掃していたスタッフが「あの子が幼稚園の参観で、将来はお母さんみたいに一生懸命働く人になりたいと言ってくれたの」とうれしそうに報告してくれた。「子どもは母親が働く姿を見ている。どんな仕事でも、いきいきと誇りを持って働くかどうかが大切。その姿や価値観は、子どもへ受け継がれていく」と前田さん。個人事業から始めて16年、紆余曲折を経て辿り着いた、人にも地域にも未来にもやさしい働き方の提案。「掃除を通して、明るい未来をつくるという目標に向かい、他の地域への展開も視野に入れて力を尽くします」。

                                                                                                           (2015年8月取材)

コラム

私の大切な時間

小学生の頃から水泳を習い、高校卒業後は一時期水泳のインストラクターをしていた前田さん。自分の子どもたちが小さいときは、プールで一緒に泳いでいたという。「水につかると落ち着くんですよね。ここ数年は忙しくてほとんど泳いでいないけど、そろそろ再開したいなと思っています」。

プロフィール

北九州市出身。福岡大学商学部第二部を卒業後、大手シャッターメーカーに就職。1999年に春日市で個人事業主として開業し、2001年に有限会社エイエス九州設立。2010年「福岡県子育て応援企業」登録、2014年に現在の社名に変更。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【ま】 【起業】 【子育て支援】 【イクボス・イクメン】

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