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青木 玲子(あおきれいこ)さん

公正取引委員会委員(取材時:国立大学法人九州大学 理事・副学長)

自らの経験を活かし、九州大学の発展に寄与したい

 2014年10月、九州大学の理事・副学長に就任した青木玲子さん。これまで経済学者として国内外の大学で教壇に立ち、内閣府の「総合科学技術会議」議員といった要職も務めてきた。相手の心もほぐれるような自然体が魅力で、キャリアや思いについてもフランクに語ってくれた。

就職活動で直面した、男女の待遇差

 東京で生まれ、父親の仕事に伴い小学校の4年間はアメリカに滞在。この時期に「自分で行動する・主張する」という姿勢が身についたと振り返る。中学校入学時に帰国し、東京の区立中学から東京の大学付属高校に進学。将来の仕事を具体的に描くことはなかったが、「ベトナム戦争のさなかで、世の中を変える人になると本気で考えていました」と笑顔で話す。東京大学へ進学して、当時、女性としては珍しく数学を専攻した。
 就職活動に臨んだのは、男女雇用機会均等法が施行される5年前。求人には男女で明らかな差があり、4年制大学の女性には応募資格すらなかった。唯一、青木さんに門戸が開かれていたのは、男性には人気のない外資の保険会社。また、大手コンピューター会社に女性課長がいたため「一生働いたらどうなりますか」と尋ねたところ、場の空気が凍りつき「女性を統括する仕事をするのでは…」という答えが返ってきた。「大変ショックでしたね。これまで男女同じように教育を受けてきたのに、就職となると全く扱いが違う。教育した人を活用できないなんて、税金や人材の無駄、おかしいと愕然としました」。

世界を舞台に夫婦でキャリアを積む

 結局、大学院進学という道を選び、アメリカのスタンフォード大学で経済学博士号を取得。2度目の就職活動は、1年先輩で同じく経済学博士であるオーストラリア人の夫と一緒だった。研究者は専門化しているため、カップルで雇用先を探すのは困難とされたが、最終的には複数の大学からオファーをもらい、オハイオ州立大学にふたりで就職。「カップルで雇用することをセールスポイントにした大学だったんです。とても幸運でした」。
 その後も業績をかわれてニューヨーク州立大学、ニュージーランドのオークランド大学の助教授となり、40代後半で一橋大学経済研究所教授に。2009年には、内閣総理大臣のリーダーシップのもとに設置された、日本の科学技術の重要政策に関する「総合科学技術会議」(現「総合科学技術・イノベーション会議」)議員に抜擢され、錚々たるメンバーと議論を重ねた。

カップル雇用を打ち出し、より魅力ある大学へ

 2014年10月、九州大学からオファーを受け、理事・副学長に就任。主に担当するのは、国際、知的財産、男女共同参画の分野だ。福岡に地縁はないが、総合科学技術会議議員のときから、実は九州大学に注目していたと明かす。「九州大学には、日本はもとより世界に誇れる研究がたくさんあります。技術だけ磨くのではなく、実装したときの社会の制度づくりも大切だというのが私の持論ですが、そこまで考えられています。例えば、最先端研究開発プログラム30課題として採択されたスーパー有機ELデバイスの研究では、期限より早く素晴らしい成果を出していた。もっと強くPRされたらいいのにと思っていました。また、文部科学省のスーパーグローバル大学事業でも、世界大学ランキングトップ100を目指す力のある、世界レベルの教育研究を行う大学の一つに採択されています。男女共同参画の分野に関してもすすんでいて、女性研究者養成システム改革加速事業の事後評価で総合評価Sでした」と力を込める。
 青木さんには今後、九州大学で推進したい取組がある。「最近は研究者カップルが増えており、アメリカではカップル雇用を実現して優秀な研究者を誘致する大学が増えています。世界屈指の住みやすい都市とされる福岡にある九州大学は、カップル雇用をセールスポイントにできると考えています。ここには一流の研究と最先端の施設がそろう一方で、自然豊かで生活環境がよく、託児施設もある。アジアに近く世界に開かれた大学として、九州大学の最先端の研究や技術、教育環境、人材を国内外に広くアピールしつつ、カップル雇用も含めて優秀な研究者を招き、より国際的で魅力ある大学づくりを進めたい」。自らの性格を「楽観的」といい、いつも前向きにベストと思える選択を重ねてきた青木さん。九州大学での新たなチャレンジは、まだ始まったばかりだ。(2015年5月取材)

コラム

私の大切な時間

「東京では学者ばかりの世界で生きていたけれど、福岡に来てからはいろんな分野の人たちに会う機会が増えて、とても楽しいんですよ」と青木さん。福岡で暮らす青木さんにとってかけがえのない時間は、ニュージーランドに住む夫と子どもたちに会えるときだという。「私は、母親としては熱心なほうじゃなかったかもしれません。でも、今は子どもたちも大学生になり、娘が工学と哲学、息子が法律と哲学のダブルメジャー(2分野専攻)で、私の知らないことをたくさん教えてくれます。子どもと専門の話をできるようになったことがうれしいですね」と優しい笑顔を見せた。

プロフィール

東京都出身。1981年に東京大学理学部数学科を卒業後、筑波大学大学院経営政策研究科修士課程修了、スタンフォード大学で理学修士・経済学博士号を取得。1987年にオハイオ州立大学経済学部アシスタント・プロフェッサー(助教授)となり、ニューヨーク州立大学経済学部、オークランド大学経済学部などを経て、2006年一橋大学経済研究所教授に就任。2009年から2014年まで総合科学技術会議議員を務める。2014年10月国立大学法人九州大学 理事・副学長に就任。2016年12月公正取引委員会委員に就任。




 

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