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林 京子(はやしきょうこ)さん (2014年10月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

NPO法人つどいの広場いいづか 理事長 / NPO法人こどもと文化のひろば わいわいキッズいいづか代表理事

子どもと、子育てにかかわるすべての人が自分らしく過ごせるように

 子育て支援に関する情報や交流の場を提供しているNPO法人つどいの広場いいづか。地域で活動している11の子育てボランティア団体で構成され、廃園となった幼稚園を拠点施設として、行政との協働という形で多くの支援活動を行っている。「今まで子どもたちとハロウィンイベントを楽しんでいました」と、ハロウィンを思わせる衣装と帽子を身にまとい、はじけるような笑顔で理事長の林京子さんは現れた。

子どもと過ごす楽しさを知る

 大学在学中、児童文化研究会に所属し、そこで子ども達と関わる面白さを知った。卒業後は中学校講師に。結婚を機に退職したが、結婚後も人形劇や絵本の読み聞かせ活動などを続けていた。「子どもやその母親と一緒に何かをするというのがすごく楽しくて。子どもは見ていて飽きないし、大好きなんです」。結婚5年目、夫の転職に伴い飯塚に住むことになった。
 実家も遠く、親戚や友人もいない中、第一子を出産して子育てをしていた。「楽しみながら子育てをしていましたが、辛くなることも。そこで、子どもが2歳の時に、飯塚こども劇場(現NPO法人こどもと文化のひろばわいわいキッズいいづか)に入りました」。飯塚こども劇場は、1970年に、全国で10番目に誕生した子ども(おやこ)劇場だ。児童文化の鑑賞活動と、地域での子どもの自主活動を2本の柱として活動してきた。そこでのさまざまな出会いや経験を通して親子ともに成長することができたという。1999年、カリスマ的なリーダーだった前代表からの指名で、林さんが代表を務めることになった。誠実で熱心なだけではなく、温厚で誰にでも分け隔てなく接する林さんの人柄を見込んでのことだろう。

ボランティア団体が集まり、協議会を発足

 「子ども達と活動をする時には、場所探しが大変でした。前もっての予約が取りづらかったり、参加費徴収がネックになったり、子どもが気兼ねなく過ごせる場所が少なかったり…。何とか工夫しながら会場を使用していたのですが、拠点になるところがあればいいなと、ずっと感じていました」。
 そんな折、統廃合により幼稚園が廃園となったことを知った林さん達は、飯塚市に利用申し入れをしたが、実現するためには多くの課題を解決する必要があった。話し合いを重ねた結果、子育て支援を行っている団体が集まり運営協議会を立ち上げることに。そうして、2003年4月、0歳~18歳までのすべての子どもたちの居場所づくりを目指し、「つどいの広場いいづか」は誕生した。
 市の財政も厳しい中、施設管理費以外、活動補助金はない。ボランティア団体が集まり協議会を発足するのは、「協働」といった言葉がまだ一般的でなかった当時としては、画期的な事例だった。「遠い道のりに思えましたが“できることは何か?”を一つずつ考え、アイディアを出し合いながら解決し、みんなで知恵を出し合うことで、実現できたと思います」。

まずは自分自身が楽しむこと

 4年後の2007年1月には、安定的な運営を図るためNPO法人「つどいの広場いいづか」として法人格を取得し、施設の修理、修復工事を実施した。また、2008年4月からは、ファミリー・サポート・センター事業を受託し、常勤のスタッフを雇用できるようになった。
 広場は、法人の構成団体以外でも、子どもに関わる活動なら誰でも無料で利用ができる。そこでは、年1回の「設立記念行事」の他、乳幼児と保護者の居場所づくり、障がいのある子どもたちや不登校の子どもたち支援活動、コンサートや伝承あそび、畑作りなどの実施、商店街と共同の「子ども夜市」の企画会議、中高生や青年の活動など様々な活動が行われている。
 その実績が認められ、2009年、平成20年度「地域づくり総務大臣表彰」を団体として受賞。現在では、年間1万2~3千人の利用者数を誇る、地域に根ざした場所になっている。
 設立から10年。継続の秘訣を尋ねると、「私自身がとても楽しんでいます。楽しむことが原動力。苦手なことは周囲の人が助けてくれるので、困ったときは無理せずに甘えているんです。大きく無理をしない。それが継続の秘訣ですね」。楽しく活動をする母親の背中を見て育った長女も、社会奉仕関係の仕事に就いた。
 「子育てを頑張っている人を見ていると思わず応援したくなるんです」と優しいまなざしで語る林さん。「とにかく育児を思いきり楽しんでほしい。子育てを十分に満喫しながら、働くことも含め、社会参画が許される世の中になればいいなと思います」。子どもの笑顔を原動力に、林さんはこれからも、地域を明るく照らしていく。(2014年10月取材)

コラム

私の大切な時間

 林さんは、一人でのんびりと過ごす時間を大切にしている。「友だちと出かけるのも大好きですが、誰にも気兼ねせず、気ままに好きな所に行き、やりたいことができる一人の時間は大好きです」。美術館へ行ったり、街中や大自然の中を自由に歩き回ったりして、行く先々で出会う人との会話も楽しんでいる。
*写真は、散歩の途中で拾った鳥の巣

プロフィール

長崎県出身。熊本大学法学部国文学科卒業後、結婚するまで中学校講師として働く。結婚後も人形劇や絵本の読み聞かせ活動などを続ける。1987年、夫の転職に伴い飯塚市に転居。出産後、飯塚こども劇場(現、NPO法人こどもと文化のひろばわいわいキッズいいづか)で活動。2003年、飯塚市内の子どもに係わる団体が集まり、つどいの広場いいづか運営協議会を立ち上げ、飯塚市より廃園になった幼稚園の跡地を借り受け、子どもの居場所として開放。平成20年度地域づくり総務大臣表彰(団体表彰)受賞。NPO法人つどいの広場いいづか理事長、NPO法人こどもと文化のひろば わいわいキッズいいづか代表理事など。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【は】 【NPO・ボランティア】 【子育て支援】

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