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石山 惠美子(いしやまえみこ)さん (2014年9月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

JA福岡県女性協議会会長(取材時)、JA福岡中央会理事(取材時)

「私でよければ」という姿勢で一歩前へ

 JA福岡県女性協議会は、県内20組織、部員2万4,000名ほどから成る大きな組織。そのトップを務める石山さんは、おごらず謙虚で、優しい眼差しと語り口が印象的だった。

結婚のために退職し、農家で3世代同居

 大川市の自然豊かな地で、農業を営む両親のもとに生まれた石山さん。小さなころから家業を手伝い、「わらやい草で編んだむしろをこするとき、母から九九を唱えるように言われ、手を動かしながら九九を唱えていたのをよく覚えています」と振り返る。
 福岡市の短期大学でデザインを学び、地元・大川の農協に就職。共済の窓口業務などに従事して、結婚のため5年で退職した。「これからは女性も働いて給料をもらう時代だという意識があり、本当は仕事を続けたかったんです。でも、女性は結婚を機に辞めるのが当然の風潮で、辞めざるをえませんでした」。
 結婚した相手は代々続く農家の長男で、農業の技術や経営などを指導する県の普及指導センターに勤務。夫の祖父母と父母、弟3人がいる大世帯での同居生活が始まった。石山さんは炊事を任され、家事と農作業に明け暮れる日々。そんな新生活に戸惑いもあったが、女の子3人を出産し、持ち前の明るさで前向きに暮らした。子どもたちも農作業を手伝ってくれたという。

JAで活動するうち、打診されて会長に

 そんな中、石山さんが楽しみにしていたのは、JA女性部の活動だった。「結婚してすぐ、当時は婦人部という名前だった女性部に入会しました。同じような境遇の女性がたくさんいて、みんなで語り合ったり、活動したり。特に、謡曲や着付といった趣味の合う人たちとグループ活動をするのが楽しく、息抜きになりましたね」と笑顔で話す。
 そのうち声をかけられ支部長、さらに部長に就任。そして2010年、JA福岡県女性協議会の会長になってほしいと打診された。約2万4,000名のトップという大役。「私にできるだろうか」と不安に思ったが、ある人の言葉が頭に浮かんだという。それは中嶋玲子さん。もともと農業者で、2002年に九州初の女性町長として杷木町長になり、その後は福岡県男女共同参画センター・あすばるの館長を務めるなど、自ら先頭に立って女性の地位向上に力を尽くしてきた人物だ。「打診される少し前にたまたま中嶋さんの講演を聞き、深く感銘を受けていたんです。私でよければと女性が引き受けなければ、何も変わらないという言葉を思い出し、思い切って会長の役をお受けすることにしました」。

トップや“女性初”でも気負わずに受け入れる

 会長就任から4年、各都道府県の会長が一堂に会する全国会議に出席したり、福岡県域全体の活動計画を立て実施するなど、多様な業務を担っている。「今でもあいさつを述べるときなどにドキドキするんですよ…。でも、会長の役をいただいたことで、全国のいろいろな方々と出会い、各地の活動を知り、地元福岡に活かすことができる。貴重な経験をさせていただき、心から感謝しています」。夫は職場で男女共同参画の研修を受け、石山さんの活動を理解してくれるようになったという。
2011年3月の東日本大震災のあと、いてもたってもいられず、JA福岡県女性協議会で東北へ行くことを計画。同年11月、宮城や秋田、岩手などを4日間かけてまわるツアーに100名以上の会員が参加した。「現地は大変な状況でしたが、現地のJAの女性たちと交流して、福岡の女性部から手作りの加工品などを贈りました。大変喜ばれ、励まされたと言っていただき、忘れられない出来事になりました」と目を細める。
 日本の農業人口は減少し、女性部は高齢化が進んでいる。「県内の部員2万4,000名のうち、40代以下は数百名しかいません。若い人にも入ってもらえるように、より魅力ある活動を展開していきたい。最近は女性のグループで、地元で取れたものを商品化する動きが活発になってきました。JAくるめの若手グループが開発した『魔女のたれ』は、全国のレシピコンクールで優勝したんですよ」と胸を張る。
 地元で教育相談室の相談員を務め、女性保護司としても長年活動してきた石山さん。2011年6月、JA福岡中央会で初の女性理事にも就任した。「私には無理ではなく、私でよければ協力しますという気持ちが大切。もちろん前に出るときは不安で大変だけど、出てしまえば明るく前向きに取り組む。そうすることで、自分磨きもできますよ」。 (2014年9月取材)

コラム

私の大切な時間

 謡曲が好きで、JA女性部の活動として14年以上にわたり謡曲を習い、発表会もしてきた石山さん。個人的な趣味は、お菓子作りだという。「あるとき、会議に若手の女性が手作りのチーズケーキを持って来てくれて、これはいいなと思ったんです。それからネットで手軽においしく作れるレシピを探し、バナナケーキ、シフォンケーキなどを焼いて、集まりに持参するようになりました。何を持っていこうかなと考えるのが楽しいし、皆さんに喜ばれるとうれしいですね」。

プロフィール

大川市生まれ。香蘭女子短期大学を卒業後、大川の農協(農業協同組合)に就職、結婚を機に5年で退職。家業の農家を手伝う傍ら、一時期は市役所に臨時職員として勤務。JA大川の女性部員となり、JA福岡大城女性部長を経て、2011年から2015年5月までJA福岡県女性協議会会長を務める。2014年から2015年6月までJA福岡中央会で初の女性理事を務める。地元で教育相談室の相談員として子どもや保護者の相談に乗り、長年、保護司も務めている。

 

 

 

 


 

 

 

 

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