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山口 寿々子(やまぐちすずこ)さん

福岡県農村女性グループ連絡研究会 前会長/ 山口ファーム・山口バラ園

白バラに特化した、自分らしい農業スタイルを実践

 「白バラは気品があってまるで女王のようでしょう」と話す山口寿々子さん。農業とは無縁だった女性が「白いバラといえば山口さん」と言われるまでに、白バラ栽培を極めた。

就農を決め、バラ作りの道へ

 福島で生まれ育ち、高校を卒業後東京の医療系専門学校へ進学し、放射線技師として働いた。在学中に知り合った男性と24歳で結婚、同時に夫の郷里である田川郡糸田町へ移り住んだ。夫の実家は米や大豆などを作る兼業農家だったが、直接農業には携わらず、学習塾の講師をしながら家事・育児をこなした。
 1990年、会社員だった夫が仕事を辞め専業農家になったのを機に、自身も就農することを決めた。農業に抵抗はなかったのかたずねると、「中学生の頃、近所に住む農家のおばあさんと仲良しでした。笑顔が素敵で明るくて、私もこんな風に年を重ねたいと憧れていました」と明かす。
 ちょうどその頃に、業者からバラの養液栽培システムの説明を聞いた。「バラはみんなに愛される花、このシステムを利用して、美しく咲かせることにチャレンジしたい」。ガラス温室完成後も、夫とともに勉強会に通い、バラ作りを学んだ。栽培初期は、マニュアル通りにやってもうまくいかなかった。温室いっぱいのバラが一気に咲いて出荷の時期を迎え、深夜まで作業に追われたこともあった。高品質のバラを効率よく生産する難しさに直面したのだった。

生産者としての腕を磨き、農村女性とともに学ぶ

 努力の甲斐もあり、翌年には20アール・4連棟の温室いっぱいに見事なバラを次々と咲かせるようになった。その後、JA担当者の助言を受け、真紅のバラよりも高値で取引される白いバラだけを育てることに。「白バラの女王」とも呼ばれるアバランチェだ。これをロイヤルブルーに染めたものは、パーティー会場でも人気が高い。だが、白バラはシミや傷が目立ちやすく、美しく咲かせるためには毎日の細かい手入れが必要。「台風や大雨の自然災害にも悩まされますが、最も大変なのは虫の被害。これを防ぐために様々な対策に取り組んでいます」。
 2000年、福岡県女性農村アドバイザーの認定を受けた。さらに、2011年、福岡県農村女性グループ連絡研究会の会長に就任した。そこで山口さんは、生産だけでなく経営内容も把握できるスキルを身につけるため、複式簿記の勉強会に参加し、地域の農村女性の育成に努めている。また、小学校で味噌や豆腐作りのイベントを行い、子どもたちが農業に関心を持てるよう、食育にも積極的に関わっている。
 「周囲に何か役や仕事を依頼されたら、断らず前に進んでみて。いろんな出会いや学びがあり、仲間がたくさんできますよ」と、女性達にエールを贈る。

これからも幸せを運ぶバラ作りを

 現在、山口さんはバラだけを担当し、夫と長男が米や麦を作っている。1998年から『家族経営協定』を結び、自分が働いた分は給料として受け取っている。
 モットーは「楽しい農業」。ハウスで作業する時間はきちんと決めている。「バラの成長に合わせて働く、というスタイルが私には合っているようです。花の手入れが終わったら、気持ちを切り替えて他にやるべきことをしたり、趣味の時間に充てたりしています」。穏やかに話す姿が、優雅なバラのイメージと重なる。幼いころから栽培を手伝ってきた3人の子どもたちは、それぞれの結婚式で白バラを装花として使用した。心を込めて育てた白バラが会場いっぱいに飾られているのを見たとき、言い尽くせぬ幸福感に包まれたという。
 山口さんが育てた白いバラは、今日も全国で大切な人に贈られているだろう。
                                    (2013年11月取材)

コラム

バラと共に育てている豆柴

子どもが小さかった頃、「犬を飼いたい」という言葉をきっかけに飼い始めた豆柴犬。その可愛さにすっかりとりこになり、今では柴犬のブリーダーに。農作業後は、豆柴犬育てを楽しんでいる。現在、10匹の犬たちと暮らす山口さん。かわいい犬たちと毎日の散歩が日課でもある。

プロフィール

福島県生まれ。結婚を機に夫の実家がある福岡へ。専業主婦、学習塾の講師を経てバラ栽培に携わるように。2000年より福岡県女性農村アドバイザーを5年間務めた後、現在はOBとして小学校での食育活動などに力を入れている。2008年より糸田町農業委員。同年より女性農業委員の会で女性農業委員を増やす活動も行っている。2009年に福岡県農業・農業振興委員に任命。2013年5月まで3年間、福岡県農村女性グループ連絡研究会会長も務めた。






キーワード

【や】 【起業】 【農林水産】

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