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田中 靖子(たなかやすこ)さん

障がいのある子もない子も共に演劇を!劇団きらきら 代表

一人ひとりが主役!だれもが輝ける舞台を

 「役者として、人間として、成長する子ども達の姿を見ることができるのは、すごく幸せです。活動の原動力ですね」。優しい微笑みを浮かべながら語るのは、田中靖子さん。障害者と健常者が共に演劇を行う「障がいのある子もない子も共に演劇を!劇団きらきら」の代表だ。ここでは、メンバーが自然体で助け合いながら舞台に立ち、一人ひとりが個性を“きらきら”と輝かせながら演技をしている。

娘を思いつくった劇団

 田中さんが劇団をつくったのは15年前。当時小学生だった長女は、学習障害と診断され、友だちが少なかった。ある日、親子で演劇を鑑賞しているとその子が声を立てて笑っている。かつてアマチュア劇団で青春時代を過ごした田中さんは、一緒に劇をすることで娘を元気づけようと、息子たちもメンバーに加えて親子劇団をつくった。
 練習を重ねて開催した小さな公演は、笑顔と拍手に包まれて大成功を収めた。 “こんな素晴らしいことを家族だけでやっているのはもったいない!”そう思い、声をかけて集まった9家族18人の子どもと共に、だれでも参加できる児童劇団を始めた。

心ひとつに感動を分かち合う

 小さな劇団は周囲の賛同を得て、徐々に活躍の場を広げていき、大きな舞台公演も行うようになった。演じる子どもたち自身が『自分にも、多くの人を感動させる力があるんだ!』と誇りを持つことができるよう、子ども全員が舞台に立つということを何よりも大切にしている。個性に合わせて役を決め、皆が出演できるように演出の工夫をする。
 たとえ時間がかかったとしても、懸命に努力し成長する姿に互いが感銘を受ける。こうして心をひとつにして作ったお芝居は、多くの人の心をつかむ。毎年、欠かさずに足を運んでくれる人も多い。最初は「元気をもらった」という感想が、次第に「感動した」という言葉になり、劇団としての成長も実感しているという。

課題を乗り越え、さらに結束

 劇団きらきらが他の児童劇団と違うところは、「親子入団」を基本としているところだ。親たちは、裏方として子どもたちを支える。設立当初は苦労もあった。「講演前に稽古を欠席する人が多くて、最初は親の意識を変えるのが大変でした」。そこで話し合いを行い、田中さんの心からの思いを伝えた。「一生懸命に稽古を積んだものは、必ずお客さんの心を打つ」と。次第にチームワークもよくなり、どんなに稽古がハードになっても笑顔が増えていった。「練習は保護者と大人になった健常者の青年たちと相談しながら進めています。よい公演にしたいと願うあまり互いの意見がぶつかることもあるのですが、芝居が終わればそれまでです」と大らかに笑う。子育てサークルなどでは、価値観の違いや子どもの成長と共に活動が終了することも多く、継続が課題となっている。しかし、劇団きらきらは、親同士で積極的に意思の疎通を図ることで、15年に渡り運営を続けている。
 長女が特別支援学校高等部に進学した2004年には、青年部を立ち上げた。大人になっても芝居を楽しめる場所を提供したかったからだ。現在、児童部と青年部を合わせて32名、スタッフを入ると50名以上の大所帯となった。親子4人でスタートした劇団は、メンバーの成長の場に、そして公演を楽しみにしている人々の元気の源となっている。

いつか大きく羽ばたける時が来る!

 女性へのメッセージを求めると、「同年代の友だちだけでなく、異なる世代の仲間を作ることが大切。自分の知識や価値観を広げることができるので」との答えが返ってきた。そして、言葉をつないだ。「少しずつでもいい、今出来ることをやっていれば、いつか大きく動けるチャンスが来ると思います。とにかく夢を持ち続けることが大切なのではないでしょうか」。
 将来は60歳以上のシルバー劇団を作り、そこで演じるのが夢という田中さん。これからも、彼女は演劇を通して多くの人たちに希望や感動を与えていくことだろう。

                                            (2013年8月取材)

コラム

コラム

 最近新しいカメラを購入した田中さんは、カメラ片手に一人旅をする時間を大切にしている。独身のころから旅行が好きで、大きなリュックを背負っては、低予算で10日間ほど一人旅をしていたという。今年の夏は各地でひまわりを撮影した。「出身地である北海道で、豊かな自然をたくさん撮りたいですね」と目を輝かせながら語る。

プロフィール

北海道生まれ。娘が小学校に入学する時に、学習障害と診断される。娘に大好きな演劇を思う存分やらせてあげたいという思いから、1998年、2人の息子も加わり、母子4人で「劇団きらきら」を結成。周囲に支えられながら活動の場を広げ、現在では団員50人を抱えるまでに成長。2009年「劇団きらきら物語 障がいのある子もない子も共に演劇を!」を出版。幻冬舎第1回感動ノンフィクション大賞受賞。2013年劇団きらきら15周年記念公演「サリバン先生」を2月志免町総合福祉施設シーメイトホール、3月福岡市市民福祉プラザふくふくホールにて行い立ち見が出るほどの盛況だった。






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