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菊川 律子(きくかわりつこ)さん  (2012年7月取材)

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放送大学福岡学習センター所長 特任教授 (取材時:九州大学理事・男女共同参画推進室室長)

色々な働き方を通し伸びていける社会に

 創立百周年を迎え、「九大百年 躍進百大」を掲げ、さらなるステージへと進もうとする九州大学。新たな百年に向けて歩み始めた大学の中で、理事として男女共同参画推進の舵を取る菊川律子さんを訪ねた。

面白い仕事は忙しい

 穏やかな明るさが印象的な菊川さん。1974年(昭和49年)九州大学教育学部を卒業後、福岡県庁に入庁し、生涯学習課長、男女共同参画推進課長、義務教育課長などを歴任してきた。25歳で長女を出産、「私たちの頃は、やっと女性が社会に出始めたころでした。産後3カ月で仕事に復帰、とにかく忙しい毎日を送っていました」。当時、担当していたのは家庭教育の部署。「子育てを応援するためのテレビ番組や冊子を作ったりと、自分にとっても身近な問題だったので、とにかく仕事が面白くて一生懸命に取り組んでいた気がします」。そんな熱心な仕事ぶりが評価され、責任あるポストへと次々と抜擢されるように。「面白い仕事というのは、組織の中では忙しいものなんです」。

 肩書が付けばそれだけ仕事の量も増えた。当時はまだ“仕事は夜動く”というところもあり、夜中の帰宅もしばしばだった。「私の場合、夫の理解があったことも、仕事を続けられた大きな要因だったと思います。帰宅が遅れてしまっても、何か言われるということはありませんでした」。どんなに仕事量が増えても、菊川さんは家族の為にし続けたことがある。朝早く起き夕食を準備し、自分の帰りが遅くても、子どもや夫が手料理を味わえるようにしていたのだ。そんな菊川さんの努力を見ていたからか、自然と家族も協力的になっていった。朝、保育園に送って行くのは夫・英輔さんが担当。下の子が年少さんになると、年の離れた小学生の長女が代わりに迎えに行ってくれた。結婚したら女は仕事を辞めるのが普通だった時代に、夫の協力はご本人にとっても力強かったことだろう。こうした家族との連携プレーで、菊川さんのキャリアは積み重ねられていった。

それぞれの働き方

 こうして男女共同参画推進課長時代には、条例や計画の作成に携わるなど、仕事を続けていた菊川さんだったが、図書館長を務めていた頃の事、共に歩んできた夫・英輔さんを病魔が襲った。「ガンでした。闘病中は、病院と職場、家の行き来をする生活。病院から図書館に出勤したことも多かったです」。2008年(平成20年)1月、英輔さんは他界。その年の春、国の独立行政法人である国立青少年教育振興機構での仕事の誘いがあり、夫の死で、いつまでもめいっていてはいけないと、気持ちを切り替えて、住居も東京へ。菊川さんはまた仕事へと向かっていった。また、兼任で長を務めた青少年関連施設での経験は、菊川さんに仕事の楽しさを再確認させてくれた。ここでは、男性も女性も、非常勤職員もボランティアも、皆が一緒に働いていた。これまでも、そうした環境はあったものの、あらためて、働き方の“幅”のようなものを強く感じるようになっていた。
 しかし、3年後菊川さんにまた、転機が訪れる。福岡で子育てをしながら働いていた長女から電話がかかったのだ。仕事を続けたいけれど、子どもが小さくて病気もよくするから困っているというものだった。定年まではまだ時間があり、仕事への責任もあったが、どうしても菊川さんの心に浮かんでくる長女の姿があった。

仕事はどんな形であれ続けることが大切

 子どもの頃、ランドセルを背負ったまま、小さな妹を迎えに行き、手をつなぎ家路へと歩いてくれた長女の姿。家族の支えがあって、自分はここまで働いてこられた。「私は、あの頃の長女に、恩返ししなくてはと思ったのです」。全ての職を辞し、福岡に戻ることを決意した。孫育てに専念するつもりだった菊川さんだが、非常勤で、私立大学での講師の仕事を受けるようになった。そして2012年(平成24年)4月、九州大学の理事に就任。現在は、女性研究者の職場環境の整備などに取り組んでいる。子育てを終え、孫育てを手伝いながら現在の職を務める菊川さん。「仕事は、どんな形であれ、続けることが大切だと思います。女性たちがそれぞれの生活や時期に応じ、色々な働き方を選び、伸びていける社会になるといいですね。生活を紡ぐ力と仕事の力は別物ではありません。九大では女性研究者や職員が子育てと仕事を両立できるような支えを整備して行きたいと思っています」と、男女共同参画への思いを語った。

                                                                                                         (2012年7月取材)

コラム

 「仕事を続けるには体力が大事!」と話す菊川さん。食事、健康管理に気を配り、特にここ10年続けていることがある。それは、NHKで放送される「テレビ体操」を見ながら、毎朝体操すること。この10分の体操が、菊川さんに働くための体力をつけさせてくれるそう。「短い間に、ストレッチと体操が入っているから、バランスよく鍛えられている感じがします」。歩くこと、食事、体操、菊川さんがいきいきと仕事を続ける秘訣は、この3つにあるようだ。

プロフィール

1974年に福岡県教育庁に入庁。生涯学習課長、男女共同参画推進課長、義務教育課長などを歴任。2005年には福岡県立社会教育総合センターの所長に。福岡県立図書館長を最後に県庁を退職。2008年より独立行政法人国立青少年教育振興機構理事。2011年に福岡に戻り、私立大学非常勤講師を経て、2012年4月~2014年10月、国立大学法人九州大学理事・男女共同参画推進室室長を務める。2014年10月、放送大学福岡学習センター所長(特任教授)に就任。

 

 

 

 


 

 

 

 

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