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吉村 登美子(よしむらとみこ)さん   (2012年6月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

前原ファミリーサポート「ゆりかごの会」代表

楽しみながらの託児活動から得られる元気の源

 

~夢はファミリーサポートセンター設立~

 前原ファミリーサポート「ゆりかごの会」の代表を務める吉村さん。市主催の講座「保育サービス講習会」の受講生たちとともに立ち上げたこの会も今年17年目を迎える。「少しずつですが、依頼も増えているんですよ。会のメンバーや家族、まわりの皆さんのおかげです」と吉村さんは常に周りへの感謝を忘れない。託児を通して、お母さんたちや会のメンバーたちの相談役にもなっているという吉村さん。屈託のない笑顔が魅力的な彼女のまわりには、その人柄を慕って自然と人が集まってくるようだ。

まずは車の免許から

 社会を経験することなく若くして結婚、3人の男の子に恵まれ、子育てが一段落するまでは専業主婦として過ごした吉村さんだが、夫は家事育児にも積極的に参画してくれたという。朝出勤前の忙しい時間に、夫はおむつを洗い、洗ったおむつをたたいて伸ばす。近所や同じ敷地に住むご両親への手前、干す役だけを吉村さんに任されてされていたとか。当時としては大変めずらしかったことなのでは。「大掃除も夫の役目で私と子どもたちはその間外出していました」と明るく語る。
 元来、姉御肌で、頼まれると断れない、困っている人を見たらほっておけない性格の吉村さん。小学校、中学校のPTAの役員もずっと引き受け、地域活動にも携わってきた。子育てが一段落したのを機に運転免許を取り、近所の薬剤師助手として病院勤務。夫の転勤で退職したものの、今度は転勤先でデイケアセンターにパート勤務。老いの現実を目の当たりにして、自分はどうやって年を取っていこうかと本気で考え、そこで自分自身の年の取り方を、真摯に学んだ。地元に戻り、市主催の「保育講座講習会」のチラシを見て、これなら自分の経験を活かし社会のために役立てると思い受講。受講生20名で前原ファミリーサポート「ゆりかごの会」を立ち上げた。

あきらめずに続けること

 設立した当初は託児の依頼も少なく、託児料も1時間700円で、うち1割は会へ納めるというシステムなので、会員の方の託児収入は1時間630円。収入を得なければならないメンバーは1人抜け、2人抜けと減少したという。市の助成を受け、買い物の間、2時間500円での一時保育という事業も行ったが、ようやく軌道にのったころ、3年間の助成期間が終了。家賃が賄えないため、しばらくは自宅を開放して継続、その後、長男家族との同居であえなく終了した。それでもあきらめずに他のファミリーサポートに見学に行ったり、小児科の先生の話を聞く講座を開催するなどスキルアップをはかり、地道に活動を続けていくうちに、小学校で開催される講演会等での託児など徐々に依頼が増加。「今も経済的には決して楽ではありません」と語る吉村さんだが、何物にも代え難い大切なものがあるという。それは、会のメンバーとの絆、子どもたちやそのお母さんたち、地域との絆だ。「会での交流や活動を通して悩みを克服したメンバーもいます。この会がお母さんたちやメンバーたちの心の拠り所になれたらと思っています」と語る吉村さんの笑顔からは、「人」に対する深い愛情が伝わってくる。

苦労は自分が苦労と感じなければ苦労じゃない

 長く続けてこられた中で、ご苦労されたのですねとの問いかけに、「人から見ると苦労に見えることも自分が苦労と感じなければ苦労じゃないのよ。実際子どもたちから元気をもらい明日への意欲につながっているから託児できることに感謝しているの。お母さま方から教えられることは多いですよ。最初に預かったお子さんはもう大学生。長く続けるコツは無理をしないこと。背伸びをしないこと、楽しむこと」という答がかえってきた。
 子どもを預かる心得として、自由にのびのびが基本。でも、これ以上ほっておくと怪我をする、危険だというときには注意します。それと子どもたちに「おばあちゃん」「おばちゃん」という呼び方ではなく○○さんと苗字で呼ばせて、公私のけじめをつけている。ひいてはそれが子どもの人格を認めることにもつながるからとも。

相手の立場に立って考える

 活動をする中で、働くお母さん方も増え、病児保育の要望が多い現実を実感。そのための準備や勉強会を実施し、平成22年度の福岡県の助成を受けて病後児保育と育児相談も開始した。相談を受けるときは相手の立場になって考えてから助言しているという。人は同じ状況を経験しないと本当の相手の痛みはわからない。経験のないことは、必ず経験をした人とじっくり話をし、気持ちを聞く。でないと軽々しく言えないからと深い慈愛が伝わってくる。
 今後はファミリーサポートセンターの設立に向けて無理をせず活動していきたいと目を輝かせる吉村さんだが、家庭では、妻、母、姑、祖母でもある。しかし吉村さんいわく、3人の息子の妻にしない三ヶ条①自分がされていやなことはしない②比較しない③姑にならない、を作っている。だから嫁は娘、姑はいないのよと微笑みながら語る。 

                                                                                                       (2012年6月取材)

 

コラム

【私の宝物】

 私の宝物は家族。夫や家族の支えがあったから今日の私がある。夫は家事や育児をともに担ってきた同志。生まれ変わってもまた、夫と結婚したいといいます。外出が大好きで特に映画を見に行くこと。あまり外に出たがらなくなった夫を誘って楽しむ映画は最高。最近では「母の記憶」を見て感動。次に一緒に行きたい映画は「一枚のはがき」だとか。

プロフィール

長崎県壱岐郡出身。結婚で夫の出身地である福岡へ。平成8年に前原市主催の「保育講座講習会」を受講した受講生20名で一時保育活動を行う前原ファミリーサポート「ゆりかごの会」を立ち上げ、団体の代表を務めている。「ゆりかごの会」は、平成22年度に福岡県の「困難を抱える女性支援団体育成事業」に採用され、助成を受けて病後児等の一時保育、利用者からの育児相談なども行うようになった。

 

 

 

 


 

 

 

 

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