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小野 和美(おのかずみ)さん  (2011年6月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

株式会社電通九州  コミュニケーション・プランニング2部 部長

皆がトップランナーである必要はない~一人ひとりの生き方に合わせた働き方があっていい~     

 

男女雇用機会均等法の年に総合職として

 日本では、民間企業の女性の管理職は、いまだに10%。広告業界大手で、部長職に就く小野和美さん。バリバリのキャリアウーマン風かと思いきや、柔らかく包み込むような優しい笑顔に迎えられ、少々拍子抜けした取材陣でした。
 「皆が皆、ずば抜けて優秀である必要はないと思うの」。男女雇用機会均等法施行の年に大学を卒業し、ごくわずかな女性総合職として社会へ第一歩を踏み出した小野さんがたどりついた先に、どんな働く女性像があったでしょうか。

 大学卒業後、ジャーナリズムにあこがれて新聞社へ入社。「法律はできて、女性の総合職も入社したけれど、男性上司たちは、どう使っていいのか分からない、そんな状況だったように思います」。当時を振り返り、彼女はそう語ります。女性の社会進出をと声高に叫ばれ始めた時代。男性のように働く女性のイメージが強く、テレビには片手を腰に、スポーツドリンクを飲むOL女性の姿が映し出され、女性の“おやじ化”が話題にもなっていました。小野さんも同世代の大卒、女性総合職と同様に、多忙な日々を送っていました。

女性が職場にいることが普通、そんな社会になったらいいですね

 その後小野さんは、結婚を経て5年で転職。米国系広告会社の日本法人に入社します。そこは日本企業と全く違い、社内には女性社員が半数くらいいて、働き方もバラエティーに富んでいたといいます。「私の上司は女性で、週に3日の出勤でした。だけど、それで困ったという経験はありませんでした」。
 必然的に、上司とのやり取りはこの3日間に集中します。「それでも彼女は必要でした。私には、彼女のアドバイスが最良だったのです」。
 この会社、小野さんの上司が特別というわけではなく、社内には、午後3時に帰るという人もいて、それぞれが自分に合った形の働き方を実践していました。皆が皆、ずっとトップランナーでなくてもいいのでは、と思うようになりました」。その後、小野さんはUターンし、出産を経て電通九州へ入社。契約社員からスタートし、正社員へと道を広げ、現在は同社で、女性部長の一人として重責の一つを担っています。

 男性から学ぶことも多いという。「定年間近の大先輩からこんな言葉をいただきました。“我なんぼのもんじゃいと、いつも思わないといけない”、と。自分なんて、なんぼのものでもないんですよね。本当は」。一般的に日本では、全社員に対する女性正社員の割合が少ないためか、どうしてもキャリア女性というと優秀で強い女性というイメージを持たれがち。「多くの女性が、先頭を走る一人にならねばと、つい自分を追い込んでしまう。だけど、世の中には色々な人がいる。男性の場合でも、バリバリ突っ走るタイプの人もいれば、心優しく気弱で、それゆえに慕われる人も。“優秀”な人や“やり手”ばかりではないのよね」。小野さんは、やがて女性正社員の割合が増えれば、自然とさまざまな人材が入りまじり、働き方の幅も広がるのではと考えています。

 小野さんが目標にしている人を尋ねると、「ロールモデルというと、特定の一人、と思いがちでしょう。それで、見つからない、とあせったり。今まで出会ったたくさんの人たちが、私の中ではそれぞれにロールモデルなの。完璧な一人との出会いにこだわるより、多くの人の、ここはすごい、かなわない、と思える部分を見逃さないでいたい」と。「女性が職場にいることが普通、そんな社会になったらいいですね」。
                                   (2011年6月取材)

コラム

私の大切な時間

 多忙を極める小野さんですが、生活の中で大切にしている時間があるそうです。
「朝、中学三年生の長女の髪を束ねる時です。自分でさせたらいいんですけど、私にとって、うれしい時間なんです。それと娘のお弁当を作ること、朝食のお味噌汁を作ること、なるべく欠かさないようにしています」。

プロフィール

福岡市生まれ、上智大学卒業。
1986年、日本経済新聞社入社。広告局を経て日経広告研究所研究員。1991年、米国系広告会社レオ・バーネット社の日本法人に勤務。多国籍企業の日本市場におけるマーケティングリサーチ等に従事。
1996年(株)電通九州入社。地場の民間企業や自治体、大学等のマーケティング・コミュニケーションに携わる。2003年より部長職。

 

 

 

 


 

 

 

 

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