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坪根 美佐江(つぼねみさえ)さん

新吉愛菜ファーム 代表

「新吉愛菜ファーム」経営のきっかけ

 平成12年、道の駅「しんよしとみ」がオープンしました。農産物直売所での夏野菜の不足を心配した駅長から野菜の供給を頼まれたことが、営農グループ「新吉愛菜ファーム」設立のきっかけとなりました。施設園芸、ビニールハウスなら周年栽培ができるのではないかと考えた坪根さんの呼びかけに賛同した2人が集まりました。「初めから男性といっしょにしようとは思っていませんでした。集まった仲間の中には夫がサラリーマンの二種兼業農家の人もいますよ」と語ります。家族も農地を提供するなど、ハウス栽培を応援してくれました。

公的支援制度の活用

 最初に直面したのは資金の問題でした。ビニールハウスを建設するためには融資が必要です。はじめに村の役場に相談に行きましたが、「そのような補助制度はない」と言われました。しかし、あきらめきれなかった坪根さんは、次に福岡県農業改良普及センターに相談、「12月に最初の相談をして、それからとんとんと話が進み、県の『活力ある高収益型園芸産地育成事業』の補助を受けられることになりました。いろいろな手続きを年度内にということでかなり忙しかったですね」。6棟のビニールハウスの面積は10.8a。そのひとつを見せてもらうと、出荷間近のたくさんの花が並んでいました。「最初にあきらめていたら、ビニールハウス建設の夢はそこで終わっていた」そうです。

自立した営農グループの経営

 「新吉愛菜ファーム」の経営は家族の農業経営とは完全に独立して行っています。夫と専業農家を営む坪根さんですが「家族の農業経営とは別のサイドビジネスとして楽しみながらやっています。自分たちではできない配管・耕耘・トラクター作業などは、それぞれの夫に日当を払って手伝ってもらっています」。
 ハウス栽培の経験はありませんでしたが、農業改良普及センターのサポートをうけながら栽培品目や育て方の検討を行ってきました。野菜が病気にかかって収穫0になったり、3人の作業コンビネーションがうまく回らなかったりと、失敗やロスもありましたが、少しずつ工夫と改善を重ね、保冷庫を導入した平成18年からは、出荷作業がスムーズに流れるようになりました。坪根さんのように地域で花等を栽培する女性も以前より増え、直売所は地元の農産物で賑わっています。

家族の協力

 坪根さんの生活は家業の農業経営が中心ですので、坪根さんがハウスで仕事をする時間は夕方から夜がほとんどです。家族の協力なしには成り立ちません。以前はあまり家事などをしていなかった夫の和男さんも現在は朝食作りを担当しています。「ご飯だけじゃなくおかずもいろいろ作ってくれる」そう。坪根さんの母が倒れ、介護で忙しくなったことがきっかけでした。そのお母さんは、「元気な頃は花のパック詰め作業などを手伝ってくれていました。時給を払うかたちにしていたんですけど、そのお金をためて孫たちのお小遣いにするのを楽しみにしてくれていたようです」。坪根さんの娘さんも「現在は夕食を作ってくれています。夕食作りから完全に開放されとても助かっていますね。両立となるととても大変です」。現在は家族にとって介護に費やす心身の負担が大きく、「新吉愛菜ファーム」の運営にとっても今後の課題となっています。

これからの夢とメッセージ

 「初めは無農薬で夏野菜をつくれるとは思っていなかった」と語る坪根さん。「エコファーマーの認定などはとろうと思っていませんが、自分がその場で食べられるもの、自分の子どもに食べさせられるものを作り、皆さんに食べていただくという、当たり前のことを続けていきたいと思っています」。道の駅の農産物直売所に日々新鮮な野菜や花を供給するなかで、作り手と買い手の相互理解が深まっていると感じています。「直売所での販売は作り手の意図が伝えやすい。少々虫がついていても安心して食べられるんですよ」。
 最後に「農業は一般的に3K(きつい、きたない、金がない)と言われていますが、考え方、やり方によってはすごく夢がある仕事。生活の基幹である『食』に関わっているという部分でやりがいがあります」と、これから農業に携わろうとする方への素敵なメッセージをいただきました。(2008年3月取材)

プロフィール

夫と専業農家を営む。
平成12年にオープンした道の駅「しんよしとみ」の農産物直売所に野菜を供給しようと平成13年1月に県内でも珍しい女性3人の営農グループ「新吉愛菜ファーム」を結成。
同年3月に県の補助事業を活用してビニールハウスを建設。
同年5月からホウレンソウや春菊、コマツナなどの野菜とアスター、ストックなど花の栽培を開始。
以降、7年間にわたり安定した売り上げを続けている。

〈これまでの歩み〉
道の駅「しんよしとみ」の農産物直売所がオープン
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駅長から「一年を通しての野菜づくり」を呼びかけられる。
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坪根さんの呼びかけにより近所の3年で「新吉愛菜ファーム」を設立。
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県単補助事業「活力ある高収益型園芸産地育成事業」を活用してビニールハウスを建設。
無加温ハウス6棟、露地栽培の合計13aで経営を開始。
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保冷庫導入。出荷時期を調整が可能となり、売上もより安定。






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【た】 【農林水産】

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