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原賀 いずみ(はらがいずみ)さん (2006年3月度取材)

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北九州インタープリテーション研究会 代表、豊の国海幸山幸ネット事務局長

 

 

子どもが遊べる場所がほしい!

 原賀さんが平成5年に居を構えた頃の小倉南区葛原は、子どもの水難事故や交通事故もあり、学童保育の場所が遠い、子どもの遊ぶ場所が少ない等、子育てがしやすい環境とは言えませんでした。自宅の側に公園予定地はあるものの、公園へ行くための歩道や設備も整備されていません。そこで、「子どもたちの遊び場がほしい!」と、最初は一人で、この歩道と公園整備の署名活動をはじめました。このような思いは地域のお母さん方にも伝わり、署名は900人分も集まり、平成9年、念願の歩道整備が行われました。
 同じ頃、小倉南区では「住民参加の公園づくり」が始まり、原賀さんたちも “夢のある公園づくり”をテーマに児童公園づくりに参加することになりました。しかし、メンバーそれぞれに描く夢のある公園像は異なり、意見が対立することも。そこで、いろいろな公園の調査や度重なる話し合いを通して、自分たちの地域を見直していきます。こうして、平成10年、”子どもたちが出会える場所”をモットーに、「葛原みどり山どんぐり公園」と名づけた公園を完成させました。「子どもたちの遊び場がほしい!」という思いからこの公園完成まで、7年の月日が流れていました。

「到津遊園」が「到津の森の公園」となるまで

 その公園完成のわずか3日後、到津遊園の閉園発表を知ります。到津遊園は、父親が園長として35年間、勤めていたこともあり、原賀さんにとっては、「心のふるさと」でもあります。その到津の森と動物たちを守りたいという一心で「到津遊園を到津動物の森公園として存続させる会」を設立、署名文を作り、父と共に多くの友人たちの協力のもと、3万3千名の署名を集めます。9月には北九州市立女性センター“ムーブ”(現北九州市立男女共同参画センター)で、到津の森の素晴らしさや動物たちの声を伝えるために、アートという自分にできる方法で、「到津の森の動物たちテラコッタとスケッチ展」を開催しました。この作品展は、マスコミにも大きく取り上げられ、約300人以上の人が訪れ、動物園に対する思いを語り合いました。このような活動が起爆剤のひとつとなって、3週間後の9月末に存続が発表されました。 
 存続が発表された後は、新しい公園をどのような姿にするのかが次の課題です。9月までの存続運動の中で、原賀さんが強くした思い「市民が『共に生きる』視点で、市民参画型の動物園にしたい。」を実現するために、「元気発信型動物園づくりネットワーク」を立ち上げます。新しい動物園を、女性や障害者などの視点も活かした、どのような人でも利用できる施設になって欲しいとの願いを込めて、「ジェンダーの視点が活かされた公的施設とは~新動物園のヴィジョンをもとに」をテーマとした調査研究を行いました。また、市民参画の理論やワークショップのやり方を学ぶため、「わくわくまちづくり工房」に参加したり、「環境ミュージアム」でインタープリテーション研修を受けながら、活動を続け、平成14年、ついに到津の森公園が開園しました。

同じ目線で生きる「環境教育」

 「私たちの活動はささやかなものですが、身近な自然の中にある『命のつながり』を大切にする様々な人たちといっしょに、感動や感性を共有し、そして子どもたちを「自然の扉」へといざないたい。」と、原賀さんは語ります。市民参画と環境教育の視点から、到津の森や動物たちの良さを伝えるために、発足時から関わってきた到津の森公園市民ボランティア「森の仲間たち」環境教育グループの活動を続けながら、平成14年には、「北九州インタープリテーション研究会」と改め、環境教育とその重要性を伝えていくことを目標として、北九州の身近な自然を観察したり、自分たちの独自の方法である布絵シアターで紹介する活動等を行っています。
「共に生きる」原賀いずみ作(文化庁著作物登録番号18の85の1)

これからの夢とメッセージ

 「身近な環境を見つめる感性を育むことが、やがて地球規模の問題まで解決してゆく主体者を育てることにつながると信じて、小さな自然の扉を開くお手伝いをやっています!」と原賀さんは言います。原賀さんが守りたいものも、はじめは自分の子どもでしたが、それが今は環境へとつながっているように、小さなことから大きなことへ活動は広がっています。身近なことから環境を見つめ、問題解決に取り組むその活動を、次世代に継承していくことが、原賀さんの夢であり、願いでもあります。
                             (2006年3月度取材)

コラム

☆近況紹介☆

〔近況をお聞きしました!〕
北九州インタープリテーション研究会の活動は、2005年から中国大連、韓国蜜陽、中国広州などで、日中韓の三カ国の子ども達の環境教育ワークショップの講師として、オリジナルの「生物多様性布絵シアター」を行うなど東アジアを視点にいれた環境教育へと発展。また、2005年から実家のある英彦山修験のお潮井採りの浜である行橋市の海辺の環境保全活動に参加したことから、京築の自然と文化の素晴らしさをインタープリテーションする豊の国海幸山ネット事務局長として、2009年からは福岡県との協働でグリーンマップのワークショップや京築応援団便りの編集発行も行っています。足元の自然と文化をみつめ、世界とつながるそんな活動を目指しています。
(平成23年3月)

プロフィール

北九州市小倉北区で生まれ、3歳から行橋市の自然の中で育つ。
福岡教育大学美術科を卒業後、教師を務める。その後、小倉南区で住民参加型の児童公園づくり、到津の森の公園を存続させる運動等を通し、市民参加のまちづくりに従事する。
現在、北九州市内の中学で美術科の非常勤講師を勤めながら、北九州インタープリテーション研究会代表として、様々な県境教育活動に携わっている。

〈これまでの歩み〉
福岡教育大学美術科卒業後、1年間研究生として石彫やテラコッタ製作。

北九州市立小倉養護学校高等部教諭として4年間、肢体不自由児の美術教育に 携わる。

小倉南区に転居後、歩道と公園整備の署名活動を行い、住民参加の公園作りに 7年間励む。

到津遊園閉園発表とともに森と動物園を残すため、署名活動やアート展を行う。

到津遊園存続決定後、ジェンダーの視点が生かされた施設づくりの提言を行うため、北九州市立男女共同参画センター「ムーブ」で調査研究活動を行う。

「わくわくまちづくり工房」、「環境ミュージアム」での研修、学習を通して、北九州インタープリテーション研究会を結成し、環境教育に携わる。

 

 

 

 


 

 

 

 

キーワード

【は】 【国際・まちづくり】

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