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安河内 真理子(やすこうちまりこ)さん (2009年1月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

株式会社博多大丸 (取材時:販売サービス企画部長)

 

『㈱博多大丸』初の女性部長として

 「部長の内示をいただいた時は驚きでしたが、会社が私にチャンスを与えくれているし、会社も変わっていこうとしていると感じ、お受けしました」。
  平成20年3月に㈱博多大丸初の女性部長に就任。販売サービス企画部を統括し、販売サービスの向上と人材育成に力を入れています。また、新しい顧客ニーズに応えるサービス機能も充実させようと、コンシェルジェ(両替)カウンターや消費生活アドバイザーコーナーの設置など、新しい取組も実現させてきました。そんな安河内さんの原動力は「夢をあきらめず、自分がやりたいことを強く思い続けること」です。

入社・退職・再入社 あきらめない軌跡

 安河内さんは、入社前から並々ならぬファッションへの情熱を胸に秘め、大丸のデザイナーズブランドのフロアーショーに通い詰めていたほどでした。入社後は、バイヤーとして着実にキャリアも積み重ねてきました。しかし、入社後から今日まで順調に歩を進めてきたわけではありません。
  結婚、そして子どもの出産を機に、断腸の思いで退職し、自ら子育てに専念する決断を下したのです。当時、育児・介護休業法は制定されておらず、企業の大半は産前・産後休暇のみで、育児休業制度はなく、安河内さんの働く環境においても、不規則でハードな仕事と子育てを両立させることはあまりにも困難な状況でした。それでも、「自分にとって仕事は大切だし、そのためのキャリアも十分積んできました。子育てが一段落したら絶対戻ると決めていました」という思いを強く持っていました。しかし、一旦退職すると復帰することは容易ではありません。当時、バブル崩壊後の雇用情勢はとても厳しく、大丸の中途採用の道は閉ざされていました。「大丸に戻るのは難しくても、何とかファッション関連の仕事を・・・」子どもを抱えて天神の街を歩き、ファッションの動向にアンテナを張り続けるとともにファッション関係のセミナーに通うなど独学を継続していました。仕事が見つからないあせりと不安が続く中、朗報が届きます。大丸の新店舗「エルガーラ」建設の話が持ち上がり、「バイヤーとして戻ってこないか」と声がかかったのです。バイヤーとしての実績、あきらめない思いと努力を継続してきたことが通じた結果でした。

トレーナーとして

 再入社後、「エルガーラ」出店のためのプロジェクトチームのメンバーとして活躍した後、更なる転機が訪れます。社内での初めて設けられたトレーナー(社員教育担当)への業種変更です。それまでの業務から、人にものを教えるための業務への大きな転換です。初めての経験で、人に教えることの難しさに悩み、会社におけるトレーナーの位置についても理解しづらく、つらい時期を経験しました。しかし、ここでも「仕事を続け、自身と会社の成長につなげたい」と強く思い続け、ねばり強く努力を重ねた結果、トレーナーとしての社内資格も取得しました。ここで培った指導力は、販売サービス企画部マネージャーから部長に就任した現在の自分にも活かされています。
  安河内さんが仕事を通して常に大事にしているのは「おもてなしの心」です。売り場担当時代、お客様からいただいた「私は商品だけでなく、空気もここに買いに来ているのよ」という言葉が胸に残ります。「わざわざ足を運んで来店されるお客様は、商品を買うだけでなくプラスαを求めて来られます。」重責を担うようになった今も「おもてなしの心」を原点に、日々売り場の検証を怠りません。

家族への感謝の気持ち

 職場復帰にあたっては、自分の意欲や家庭のあり方など、夫や子ども、両親とも十分に話し合い、働く上での環境を整えて復帰しました。小売業という不規則な仕事をこなしていくには、全てが予定通り進むことはありません。家族が互いに支え合うことが何よりも必要です。「私が忙しい時には夫や子どもが食事をつくるなど、家族全体で協力しあっています。家族に対しての感謝の気持ちは忘れないようにしています」と語る安河内さん。家族がそれぞれに生活と心を支え合えるよう、コミュニケーションを大切に、言いたいことを言い合える家族を目指しています。

これからの夢とメッセージ

 「今は景気の悪化に伴い売り場全体が厳しい状況にあります。そのような中でも社員の心が元気になれるように、カウンセリング力やコーチング力を高めていきたいと思っています。部長としてはまだまだですが、全体像を見ることができるような経営者の視点を養っていきたいですね。もちろん、現場の声も上へ伝えていきたいと思っています」。「夢をあきらめないということ、そして自分がやりたいことを思い続けることが大事です。私も出産、子育て、仕事での辛い時期を経験しましたが、思い続け、努力を続けていれば必ずチャンスは巡ってくるし、乗り越えることもできます。思いがあれば達成していけると信じて頑張って下さい」。

                                   (2009年1月取材)

プロフィール

㈱博多大丸に入社し、在職中に結婚。

出産を機に退職。約4年半専業主婦として育児に専念した。
平成7年㈱博多大丸に再入社。
現在は㈱博多大丸 販売サービス企画部長。
夫と高校2年の娘と中学3年の息子と4人家族。

☆2008年8月
「働く女性のためのあすばる天神サテライト講座」
第1回「『なりたい』をあきらめない」パネリスト

〈これまでの歩み〉
(株)博多大丸入社
百貨店自らコンセプトを決め商品構成を手掛ける「自主編集売り場」のバイヤー兼店長として活躍
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出産を機に退職
専業主婦として育児に専念
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再就職に向けて、ファッションに関する情報収集、勉強を継続
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「エルガーラ」建設に伴う職場復帰を打診され復職、新規プロジェクトチームにて立ち上げに関わる
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婦人服部門の新規自主編集売り場のバイヤー兼店長
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トレーナー養成研修と実践を重ね、社内資格であるトレーナーとなる
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婦人服部門マネージャーに就任
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販売企画サービス部長に就任

 

 

 

 


 

 

 

 

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