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藤田 君子(ふじたきみこ)さん(2011年2月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

福岡県母子寡婦福祉連合会 理事長

女性差別、母子家庭への偏見との闘い

 

“打ち明けの場”が女性の心を癒す

 2003(平成15)年の全国の母子家庭数1,225,400世帯。1998(平成10)年の統計数954,900世帯から比べると、わずか5年で28.3%の増加となっている。性格の不一致、DV、家庭遺棄などによる離婚で、母子家庭世帯は増加傾向にあるという。
 自身もパートナーと死別した体験を持ち、現在は福岡県母子寡婦福祉連合会の理事長を務める藤田君子さんが、母子家庭や女性支援に関わり始めたのは1998(平成10)年のことだった。   
 「連合会とは深いお付き合いはなかったんですが、親しくしていた浮羽郡の会長さんから『次期会長は、ぜひあなたに』と言われて…」。
 突然の指名に驚くばかり。何をすればいいのさえ分からなかった藤田さんが、最初に取り組んだのは、一人親となった同じ境遇の女性が胸の中を語り合える”打ち明けの場”づくりだった。人の別れにはそれぞれに事情はあるが、大なり小なり心に傷を負うのは共通するところ。痛みや悩みを吐露することで、彼女たちの気持ちが少しでも前へ向けば…という思いがそこにあった。

母子家庭の抱える根深い問題

 浮羽郡母子寡婦福祉会会長を皮切りに、母子家庭や寡婦支援を始めた藤田さんが直面したのは貧困だった。「福祉会や連合会の会員になれる女性には、まだ生活力があります。でも、生活に窮している女性は会員にすらなれないのが現実。生活するのに精一杯で、ダブルワーク、トリプルワークをしてやっと子どもを育てているというのも少なくありません。そういう境遇の女性を引き上げるのが必要なんですが…」。藤田さんをはじめ現場の人が努力を重ねても、すべてを解決できないもどかしさ。ここに、母子家庭や寡婦女性問題の根の深さがある。
 現実と理想とのギャップに悩みながらも、ひたむきに女性支援の道を歩んできた藤田さんは、理事、副理事長を経て2008(平成20)年に、福岡県母子寡婦福祉連合会理事長に就く。現場主体の業務から決裁、関係機関との折衝、諸会議への出席などの管理中心の業務への移行。それでも、これまで続けてきた母と子のキャンプ、あすばるフォーラムなどを大切に守り、親子の絆づくりや親の意識改革のためにきょうも力を尽くす。

情報の受発信機能を充実させ若い女性を支援

 母子家庭や寡婦女性を支援する制度は、以前と比べると格段に充実しているが、根強く残っているのが母子家庭や離婚した女性に対する偏見だ。たとえばパートナーからのDVで離婚し実家へ戻っても、親は世間体が悪いからと隠そうとする。こうした風土が改善されない限り、根本の解決にはほど遠い。
 「以前よりも少なくなったとはいえ、田舎へ行けば行くほどまだまだ偏見は残っています。こうした不条理に対して声を上げ続けるのも私たちの役目ですし、今後は若い女性への支援にも力を入れるつもりです」と力を込める。
 その具体的な施策のひとつが、2010(平成22)年7月のホームページのリニューアルだった。携帯サイトも立ち上げ、メール会員の募集やメルマガの配信など情報の受発信機能を飛躍的に向上させ、理事長として2期目に臨んでいる藤田さん。「母親が明るくなると子どもは明るく育つんです。連合会の存在や役割をこれまで以上にPRし、一人でも多くの女性を手助けしたいですね」。言葉は、まるで自分を鼓舞するかのようだった。
                                                                                                           (2011年2月取材)

コラム

人生は悔やまず、前向きであること

 私のモットーは、人生は悔やまず、前向きに挑戦することです。人は一人では生きていくことはできません。でも、信頼できる人がいれば、明るく乗り越えて行くことができるはず。母子家庭のお母さんには、何でも一人で抱え込まずに、子どもと助け合いながら人生を楽しんでもらいたいといつも思っています。そのお手伝いをするために、私がここにいます。

プロフィール

1998(平成10)年に「浮羽郡母子寡婦福祉会」会長に就任。以後、2001(平成13)年「田主丸町社会福祉協議会」理事、「田主丸地区母子寡婦福祉会」会長、2002(平成14)年「福岡県母子寡婦福祉連合会」理事、2003(平成15)年「九州母子寡婦福祉会母子部」九州ブロック長を経て、2004(平成16)年「福岡県母子寡婦福祉連合会」副理事長に。
2005(平成17)年「久留米市社会福祉協議会」評議員や「田主丸地域社会福祉協議会」理事、2006(平成18)年「久留米市母子寡婦福祉会」副会長を務める。
2008(平成20)年「福岡県母子寡婦福祉連合会」理事長へ就任。さらに「全国母子寡婦福祉団体協議会」評議員、「福岡県母子福祉協会」理事、「福岡県肢体不自由児協会」理事、「福岡県女性財団」理事、「福岡県男女共同参画推進連絡会議」理事(現会長)、「福岡県社会福祉協議会」評議員、2009(平成21)年「財団法人福岡県教育文化奨学財団運営委員会」委員など数々の公職・要職を務める。

 

 

 

 


 

 

 

 

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