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ふくおか女性いきいき塾⑧  男もつらいよ 男性学

日本社会は「男は仕事、女は家庭」という時代から、「男も女も、仕事も家庭も」といわれる時代になりました。しかし僕は、これは解決策にならないと感じています。
従来の「男は仕事、女は家庭」から転換が必要な社会背景には、日本の主力産業とされた建設業や製造業等を中心に就業者が減少し、男性の給与が減っているという現状があります。今後、男性だけが稼ぎ手になるモデルは実現が難しく、共働き支援が必要であると、内閣府の白書に書かれています。一方で、2015年男性の生涯未婚率は23%、女性は13%となり、独身者が増えていくと予想されます。そのような現実を見据えると、家庭という切り口では解決策にならないのではないでしょうか。さらに、女性の7割ほどが結婚や出産で退職し、待機児童問題もある中で、「男も女も、仕事も家庭も」と掲げられても実現しがたいと僕は思うわけです。

    男性学とは、男性が男性であるがゆえに抱える悩みや葛藤を対象にした学問です。例えば、過労死や自殺、地域や家庭での居場所のなさといった問題があります。中でも、男性は働くのが当たり前で、かつ強くなければならないという社会全体の意識が、うつ病や自殺という悲劇を生んでいるのかもしれません。男性が懸命に働いていると本人も妻も安心できる一方で、男性は人に悩みを相談できず、女性も男性の弱音を受け止めきれないのではないでしょうか。男性学と女性学の共通のゴールは、以前は男女平等の達成でしたが、これからは性別にとらわれない多様な生き方の実現を目指すべきだと思います。バリバリ働く女性や仕事をしない男性がいてもいい。性差にこだわらず向いている方がやればいいのです。
    では、夫は家でどうあるべきでしょうか。NHKの調査によると、夫が家事・育児をするのは当然と考える人の割合が増え続け、2013年には89%にのぼっています。しかし、長時間労働のまま夫が家事や育児に参加するのは無理で、女性がひとりで子育てするのも限界があります。当事者だけでなく、社会の仕組みを変えなければいけません。

      夫婦関係には、相互理解が大切です。日本の男性は「夫婦である」ことに安住して、夫婦関係を築くことを忘れがちです。けれど、男性としては、デートも告白もプロポーズも男性がリードすべきという風潮があり、結婚した時点ですでに疲れているのです。また、産後クライシスや熟年離婚も社会問題になっています。夫がリードし続けるプレッシャーや、妻の産後の辛さなど、お互いの重荷を共有し分け合うという視点が大事です。いい夫婦関係は常に話し合いながら作っていくものなのです。
      日本には「社会人」という言葉があります。これは何を意味するのでしょうか。英語に同じ単語はなく、単なるoffice workerが近いかもしれません。僕は、職業・地域・家庭・個人の4つの領域にしっかり目配りできる人を社会人と呼べばいいと思います。全てに関わることは難しいのですが、せめて目配りはしておきたいものです。

        では、これからの日本社会はどうなるのでしょう。NHKの調査では「結婚しなくてよい」「子どもをもたなくてよい」と考える人の割合が年々増え、2013年はそれぞれ63%と55%に達しました。一見、これまでの当たり前が揺らぎ、みんな優しくなっているように感じられます。ただし、これは人に対して無関心という「消極的寛容」の表れかもしれません。これから本当に必要なのは、外国人や障がい者、LGBTなど、自分と異なる価値観をもつ個人や集団と出会ったとき、純粋な敬意や開放性をもつという「積極的寛容」です。そのためには人と会話し、たとえ自分には理解できなくても認めること、多様性を認めることが重要だと思います。

          タイトルふくおか女性いきいき塾⑧  男もつらいよ 男性学
          開催日時 2016年12月10日(土)

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