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【直方市元気塾】レポートVol.1「女性防災リーダーに、私はなる!」開講しました

9月30日(土)に、直方市元気塾「女性リーダーになろう、女性防災リーダーに、私はなる!」が開講しました。

この講座は、「地域で活躍する女性防災リーダー養成講座」で、直方市在住の女性を対象に5回の連続講座の最後には女性防災リーダー組織を発足を計画しています。第1回~第3回は、公開講座で男性や市外の方の参加も可能です。連続講座の受講生35名に加えて一般の方も参加されました。


夢ネット宇野さん講演に先だって開講式が行われました。

まず、この「女性防災リーダーに、私はなる!」実行委員長で直方市男女共同参画「夢ネット」代表の宇野紀子さんが、以前からやりたかったことを「女性による元気な地域づくり応援講座事業」で実現することができました、と話されました。

「女性防災リーダー養成」とうたうことで、ハードルを上げないか危惧したが、でも、それがやりたいんです!と、この講座にかける意気込みと、本気度が伝わってきました。





直方市長続いて、壬生直方市長から、避難所運営に携わる女性リーダーの育成が必要な今、災害という困難な状況に直面したとき、避難所運営には何が必要なのか?女性が必要だと言われているのはなぜなのか?を考えていただきたい。

女子高校生の参加もあり、大変感激しています。女性だけでなく、男性や市議会議員の方など立場をこえて、この直方から、地域防災の流れが広がっていくことを期待しています、と受講生へのエールを送られました。





 
防災リーダーになるあなたへ

直方市古賀課長第1部は、直方市 総合政策部 総務・コミュニティ推進課(地域防災担当課) 課長 古賀 淳さんの講義でした。


今日は、直方市のジオラマを持ってきました。直方は、周囲の山に囲まれ、筑豊に降った雨が流れてくる地形になっています。水は、高いところから低いところに流れます。自宅から地面の高い方はどっちなのか。小さな川は溢れやすい、小さな橋は流れを促進する、山は大量の雨で崩れます。まずは、自分の家の周りの地形の特徴を知ってください。

立地条件や、その人の状況で、緊急度は異なります。早めの自己判断で被害回避を習慣づけることが大事です。逃げ遅れると、状況が悪化して誰も助けに行けなくなります。

イソップ童話の狼少年の話にあるように、早すぎる避難情報を乱発して外すと、しまいには誰も本気で受け取らなくなります。直方市は、避難情報発令を1/100ではダメで、1/10の確率を目指している。この覚悟で避難情報を出していますので、ご自身でも情報収集を行い、命を守るための早めの行動を取ってください。

座学では、いざというときに動けません。震度7の地震は、どういう状況なのかわかりますか?
 
そして、実際に、熊本地震の際に支援に入られた直方市職員の話をもとに、机とパイプ椅子を使って実演。パイプ椅子を放り投げたときには、その大きな音と衝撃に肝を冷やしました。

2度目の地震で、ホテルで寝ていた時に、真っ暗な中でテレビがベッドを飛び越えたそうです。

そして、食器は棚から全部床に落ちて散らばってます。こんな中で逃げることができますか?
やっと家の外に出られました。家族は全員無事ですか?親夫婦と娘がいない。家の中で下敷きになっていたとしたら、助けることができますか?

防災三種の神器は、ジャッキ・パール・チェーンソーですが、自治会の防災倉庫にある!これで家族を助けられると思ったら違います。道具の次に必要なのは、それを使える人です。あなたがそれを使えなければ、あなたの家族を助けられないんです。

もしもの時に役に立つのは座学ではありません。体験から得たことが活きてきます。

熊本地震の避難所では間仕切りが高かったが、そこで起こったのが強盗、強姦など・・・。九州北部豪富の際には、その教訓を生かし、低い間仕切りにしたそうです。

また、避難所生活が続くと、そこから学校や仕事に行き、昼間残っているのはリタイアした人や育児中の方だけになります。おっさんは避難所では役に立たない。炊事、洗濯は、女性の仕事ではありません。男を避難所のゴミにしないためには、あなたが一週間ぐらい家をあけても、コンビニ弁当だけで過ごすことにないように、普段から大丈夫なようにしておくことです。

最後に、これから地域防災リーダーになる皆さんへお伝えします。

人を助けるのは人です。あなたと地域の皆さんとの関係は良好ですか?あの人は嫌いとか苦手とかが多い方は防災リーダーには向きません。

それから、地域防災リーダーなったときにその存在を周りの人が知らなければ何の役にも立ちません。日ごろから地域の皆さんとの関係を築き、自治会に加入してできれば役員を引き受け、近所に広めてください。

あなたが助けるということは、あなたを助けるということです。まずはあなたとあなたの家族、そして両隣でいいです、あなたのご近所をあなたの力で助ける、そんな場所を育てていってください。


直方市元気塾第1回
 
想定外の災害から命を守るための知識

飯塚市吉田さん第2部は、飯塚市防災危機管理監、内閣府地域防災マネージャーの吉田 英紀さんによる講義でした。

内閣府地域防災マネージャーとは、地方自治体における専門的知見を有する防災担当職員の確保・育成のために、円滑な災害応急対応及び復興のための防災の専門性を有する外部人材を国が証明する制度で、必要な研修と防災実務経験を有する方に与えられます。

吉田さんは、元幹部自衛官で日本各地、海外に勤務された経験を持たれています。福岡県内でこのような専門の方は、県に1名、福岡市に2名、飯塚市に1名だそうです。


大規模な災害が起きると、よく「想定外」という言葉が使われますが、毎年のように日本のどこかで人命を損なう自然災害が発生している今、「想定外」ではなく、我々の創造力や防災知識が不足しているだけでは?

1961年に災害対策基本法が制定され、ハード対策がなされてきたことにより、多くの死者・行方不明者を出す自然災害は減ってきたが、その反面、人は逃げなくなった。そんな中で、阪神・淡路大震災で6,482名、東日本大震災で22,000名を超える被害を出し、広島土砂災害、熊本地震、そして、今年の九州北部豪雨など、いつどこで災害が起きてもおかしくない状況で、再び災害リスクから逃げることができる人を育成するが必要と認識されています。

その事例として、東日本大震災で、岩手県釜石市の小中学生ほぼ全員約3,000人が津波から避難した「釜石の奇跡」が紹介します。ここから学べる【避難三原則】は、『想定にとらわれるな』『最善を尽くせ』『率先避難者たれ、まっさきに逃げろ、まず自分の命を守れ』です。時として、人は、市役所から避難勧告が出なかったから逃げられなかった、と行政や他人任せにしがちですが、釜石の子どもたちは、群馬大学(3.11当時、現東京大学)の片田教授の指導によって自分の命は自分で守るということを体得していたからこそ生き延びることができたのです。子どもたちは、避難訓練で何回も練習していたのでその実力を発揮しただけ、「釜石の奇跡」ではなく「釜石の実績」という言葉があっている、と語ったそうです。

想定外に生き抜く力を育む防災教育は、子どもたちの学力を向上し、地域を愛する子どもを育てます。

地域はそこで暮らす私たちに大きな恵みを与えてくれます。100年に1~2回発生する災害「その時」に必要な行動をとれることは、地域に暮らす人の『お作法』。そのために、訓練を続けたっていいじゃないか、と思います。

災害が発生すると、市民やマスコミは、行政を敵にしがちですが、そうしていると復興は進みません。
行政、市民、マスコミが一体となって災害に立ち向かっていくことが必要です。日ごろから、マスコミの人と一緒に勉強会をやるなどして、関係性を作っています。

直方元気塾1回目

「地域防災についての学習を深めよう」という第1回目は、3時間が短く感じるほど内容の濃いものでした。第2回、第3回は、熊本地震の際に避難所にもなった熊本市男女共同参画センターはあもにいの藤井館長をお呼びして、女性の視点での防災の重要性や、避難所運営について学びます。

 
第2回講座のご案内

【公開講座】
熊本地震に学ぶ「女性の視点での防災の重要性」

日時:11/23(祝)13:00~16:00
講師:藤井 宥貴子さん
   熊本こども・女性支援ネット(KCW)代表
   熊本市男女共同参画センター はあもにい 館長

 

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