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【センター長コラム No.65】 「ジェンダー平等」と「男女共同参画」 (その2)――「女性」から「ジェンダー」へ

こんにちは。お変わりありませんか。

今日の花は、庭木の根元に咲いている「ラン」にしました。白が「ノシラン」、紫が「ヤブラン」です。「ラン」という名前がついていますが、どちらも蘭の仲間ではなく、葉の形が「ラン」に似ているから名づけられたそうです。

  

今日は、前回のコラムでお知らせした「ナイロビ将来戦略勧告」の中の、私たちになじみの深い数字のお話から始めたいと思います。

 

1990年5月、国連経済社会理事会は、第3回世界女性会議(1985年)で採択された「西暦2000年に向けての女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略」の実施について評価を行い、各国政府や関係機関などに対して、その実施ペースを早めることなどを求めた勧告を行いました。それが「ナイロビ将来戦略勧告」です。

 

経済社会理事会は、あわせて、国連総会に対して、1995年に世界女性会議を開催することを決議するよう勧告しており、「ナイロビ将来戦略勧告」では、その1995年を目標期限としている勧告がいくつかあります。

その中で注目されるのが、「政府、政党、労働組合、職業団体、その他の代表的団体は、指導的地位に就く婦人の割合を、1995年までに少なくとも30%にまで増やすという目標を目指し、そのためのプログラムを定めるべきである」という数値目標の設定です。

 

「指導的地位に就く女性を少なくとも30%にする」・・・これは、昨年まで私たちが何度も目にしていた、見覚えのあるフレーズです。

そう、「2020年までに指導的地位に就く女性の割合を少なくとも30%にする」という「202030」のフレーズです。

 

日本の「202030」の30%の目標は、2003年に決定されたものですが、国際社会では、1995年を目途として、1990年に設定されていたのです。

現在の世界目標は、2015年に掲げられた「2030年までに50%」です。

日本は30%が未達成に終わって、達成期限をさらに延長しましたが、国際社会は6年前から50%を目指していることを、今一度認識しなければなりません。

 

前段が長くなりました。早速、今日のテーマの「女性」から「ジェンダー」へ、についてお話をしたいと思います。

 

「ジェンダー」とは、生物学的な性別と区別される性別で、性別役割分担や、女らしいふるまい/男らしいふるまいというような、社会的・文化的につくられた「男らしさ」「女らしさ」といった性別のことです。

 

公的文書において、「女性」から「ジェンダー」への変化があったのは、1995年の第4回世界女性会議の成果文書です。

ジェンダー概念は、1980年代を通じて、女性学研究の分野では用いられていましたし、「ナイロビ将来戦略(1985年)」の中にも、「ジェンダー」という言葉は見られますが、女性政策の中に「ジェンダー」をはっきりと位置付けたのは、第4回世界女性会議で採択された「北京宣言」、「行動綱領」です。

「行動綱領」には、「ジェンダー」、「ジェンダーの視点」、「ジェンダーの主流化」といった言葉が随所に見られます。

 

「女性からジェンダーへの変化」は、非常に重要な意味を持っています。

 

なぜなら、「ジェンダー」は、女性だけに視点を置くのではなく、男性と女性の間の関係を見るもので、女性の地位が低いのは、女性が生物学的な女に生まれたからではなく、「男性が主、女性が従」といった構造を社会がつくり出しているからで、その構造を見直そうという視点だからです。

 

「ジェンダーの主流化」とは、あらゆる政策・施策において「ジェンダーの視点」を持つようにしよう、というものです。すべての部署が、政策や施策をつくったり、実施したりする際に、どちらかの性が、その便益から排除されていないか、その政策・施策は、男女双方のニーズを満たしているかの検討を行うということです。

 

「ジェンダー」平等とは、固定的な性別役割分担の意識や不平等な慣行や制度を、男女平等になるよう見直すという視点なのです。

 

 

さて、これまで、「ジェンダーの視点」の重要性に関してお話してきましたが、実は、「女性」に注目するという視点も大変重要であったということをお話ししたいと思います。

 

皆さんは、「開発と女性(WID:Women in Development)」という言葉を覚えていますか。

 

女性の役割は子育てや家庭のことに限られているという認識のために、女性が生産活動を行っているにもかかわらず、女性は生産者として認められず、開発援助の技術訓練や教育が女性に及ばず、開発の恩恵から取り残されていることが問題になり、開発の担い手として開発過程に女性を組み入れる考えが起きました。それがWIDです。

WIDは、1970年代から研究者の間で主張されており、日本でも1980年代後半にはODA(政府開発援助)において取り入れられています。

 

しかし、女性を隔離した形で、女性だけに焦点を当てて、女性のみを対象に支援を行うことの限界が認識されるようになり、「女性」という範疇だけでなく男性との関係において「女性」を見なければならないのではないか、男性と女性の社会関係を見なければならないのではないか、という認識が出てきました。

それを「ジェンダーと開発(GAD:Gender and Development)」理論といい、WIDからGADへの転換が行われていきました。

 

ジェンダーは社会によってつくられていくものなので、それをつくりだす社会によって変わっていくものです。ですから、女性がどの地域のどの集団に属しているのかなど、さまざまな要因によって、男女の関係は異なっています。ジェンダーは、地域や時代を超えて変化する非常にダイナミックな概念なのです。

 

これまで、「女性からジェンダーへ」の変化を見てきましたが、「女性への視点」もこれまで見えなかったもの、見ようとしなかったものを見えるようにしたという点で非常に重要な視点です。視点や視座の違いにより物事のとらえ方はずいぶん違うということも学ぶことができます。

 

おしまいは、マイ農園だよりです。

ナツメの実をたくさん収穫しました。甘露煮や干しナツメをつくりました。ナツメは老化防止に効果があるそうです。

昼夜の寒暖の差が大きくなりました。どうぞご自愛ください。

ではまた。                                                                              (2021.10.11)

  

 

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