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第2回    男女共同参画とワーク・ライフ・バランス 

あすばるゼミナール

 

 

     講師 富永 桂子 さん

 

      (福岡大学講師)

 

                   富永桂子さんロールモデルご紹介ページ

第2回    男女共同参画とワーク・ライフ・バランス 

男女共同参画がどのように進んできたか、簡単にふりかえってみましょう。国際的にも国内的にも画期点を3つほどあげることができます。

まずは1975年の国際女性年です。これを契機に各国の取り組みがスピードアップしていきました。日本でも初の国家機関である、「婦人問題企画推進本部(後の男女共同参画推進本部)」が創設されました。本部長は内閣総理大臣で、国を挙げて取り組む姿勢を示しています。

つぎが1979年の国連における「女性差別撤廃条約」の採択です。日本では条約批准により、「国籍法」の父母両系血統主義への改正、中・高校家庭科教育の男女共学、「男女雇用機会均等法」の制定と、法的に大きく前進しました。現在では女性差別撤廃委員会からの勧告が、日本の男女共同参画推進に向けて威力を発揮しています。

そして1995年の第4回世界女性会議(北京)です。20世紀最大の国連会議とされ、福岡からもたくさんの女性が参加しました。重点課題は女性への暴力撤廃で、日本でも「ストーカー規制法」・「DV防止法」が制定されました。暴力防止や被害者救済の取り組みは年々活発化し、身近なところでパープルリボンや相談カードなどを目にします。

1999年制定の「男女共同参画社会基本法」は、その実現が、21世紀の最重要課題であることを明記しています。基本法に基づき、全国の都道府県や市町村に条例・計画がつくられていますが、福岡県は、実効性の高い条例が多く、その数でも全国1,2を争っています。

男女共同参画社会の実現は、これから地域への浸透がカギとなるでしょう。

 

男女共同参画社会につながる新たな取り組みに、ワーク・ライフ・バランスがあります。2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」ができました。憲章にあげられた三つの「仕事と生活の調和が実現した社会」について考えてみたいと思います。

 

一つ目は、「就労による経済的自立が可能な社会」です。

2006年の相対的貧困率は15.7%で、所得114万円未満の人が該当します。抜きんでて高いのは、母子世帯で59.31%(2007年)となっています。2011年には、非正規率が女性54.6%、男性20.1%と男女とも過去最高を更新しました。男性では、15~24歳の非正規率の上昇が目立っています。男性の非正規雇用者は結婚意欲が低く、家族をつくりたくてもつくれない現状が浮かび上がります。

女性も男性も就労し経済的自立をはかるには、非正規雇用と正規雇用との均等待遇が強く求められます。

 

二つ目は、「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」です。

7割もの女性が第1子出産を機に離職します。その背景にあるのが男性の家事・育児時間の短さで、原因は長時間労働です。実際日本では、週労働時間が50時間を越える人の割合が、オランダの20倍以上と世界で突出しています。そのため男性の平均帰宅時間は、午後8時49分となっています。

長時間労働の抑制策として、2010年、時間外労働の割増賃金と時間単位での年休取得をメインとする、労働基準法の改正が打ち出されました。これが生活時間確保のための切り札となるか、見守りたいと思います。

 

三つ目は、「多様な働き方・生き方が選択できる社会」です。

日本は固定的性別役割分業の強い国ですが、希望はそれとは異なるようです。

日本の女性の労働力率は、結婚や出産・育児のため30代で谷になる、いわゆるM字カーブとなっています。しかし就業希望者を加えた潜在的労働力率は、フラットな台形になります。女性は、できることなら働き続けたい、と考えているようです。他方男性も、20~49歳の働き盛りが希望するのは、「仕事」より「家庭生活」で、3倍も多くなっています。男性も、できることなら仕事と個人や家庭生活を両立させたい、と考えているようです。

 

内閣府の統計では、女性も男性もワーク・ライフ・バランスがはかられている、と感じている人のほうが仕事への意欲が高くなっています。女性が仕事を継続でき、男性が生活をエンジョイできるような働き方の見直しは、今や“まったなし”といえます。

 

                       

 

                            

                                       

                                                                                                    

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