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第8回  デートDV予防教育をひろめよう                                                  

あすばるゼミナール (男女共同参画に関して専門家の先生から分かりやすく解説していただきます。)

 

 

     講師 篠崎 正美 さん

 

      (財団法人アジア女性交流・研究フォーラム 主席研究員)

 

                   篠崎正美さんご紹介ページ(KFAWホームページ)

第8回  デートDV予防教育をひろめよう                                                  

                

 DVは、親密な間柄で振るわれる暴力。夫婦(または離婚した元夫婦や内縁)の間にとどまらない。恋人からの暴力も含まれる。また、男女の恋人に限らず、レズビアンやゲイなどのパートナー間でも起こっているという。日本で「配偶者からの暴力の防止と被害者の保護に関する法律」、いわゆるDV防止法ができて10年が経つが、3度にわたる改正でも恋人からの暴力はこの法律には含まれていない。

 

 私はある県で11年間、民間シェルターを運営してきたが、この間に、10代から30代までのこうした恋人からの暴力の被害者をお預かりしたことがある。中には60代の方さえおられた。男女間の親密性は、年齢だけでは測れないんだと痛感したものである。

 DV防止法の範囲外なので相談は受け付けてもらえても、公的シェルターでは保護されない彼女たちは、警察や相談機関経由でシェルターにかくまわれることが多い。みんな体にも心にも深刻なダメージを受けていて、彼女たちが孤立してどれだけ不安で怖かったかが想像された。

 

 ここ数年、こうした未婚の男女間のDV防止を学校の授業で実施しようという動きが広がりつつある。内閣府でもかなり精力的な取り組みが始まり、昨年度は、DVの未然防止教育の教材DVDや指導の手引書などが全国の高校等に配布されている。

 これには理由がある。デートDVは結婚後も続く。そのため、デートDVの予防は、交際中の暴力予防だけでなく、結婚後のDV未然防止にもつながる。グループの仲間関係からペア関係が生まれ二人の親密さが認識されたときや、性関係が始まってから暴力が始まりやすい。愛情が、束縛や所有の感情に変身する。女性の望まない妊娠の原因にもなっている。すると、学業の中断など女性のライフコースは大きく狂わされ、中絶、または望まない出産へと続く。この中には子どもの受容ができずネグレクトなど虐待への恐れが出てくる。若年層の離婚増加や母子家庭の困難へと連鎖する側面も否定できない。

 シェルター活動で、DVのいわば事後処理だけをやってきた悔しく悲しい経験からすると、DVの未然防止が、高校までに行われることは意味がある・・・と痛感する。もちろん被害者がいる限り、保護と自立支援はなくてはならないけれど。

 

 児童生徒の中には、親の間でDVが繰り返される環境で育った子どももいる。彼らもしくは彼女らが加害者や被害者となる確率がそうでない場合より高いという指摘もある。今DV環境下にある子どもたちが、学校でDV防止教育を受けることはとてもつらいことではあろうが、暴力はどんな理由があっても許されないことや、自分のつらい現状を相談できる人や機関があることを知ることもこの授業の大事なところだと思う。

 子どもたちがどんな家庭環境にあろうと、DVの加害者にも被害者にもならないよう、在学中の早い時期にデートDV防止教育を受けることはとても大事なことだ。無論、子どもだけでなく、PTAや地域社会がこうしたDV防止教育を受けることも進めたい。

 

 

                      

 

                                 

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