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第10回  労働における男女共同参画  -賃金における男女共同参画 -

 

あすばるゼミナール (男女共同参画に関して専門家の先生から分かりやすく解説していただきます。)

 

     講師 林 弘子さん

 

      (宮崎公立大学 学長

 

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第10回  労働における男女共同参画  -賃金における男女共同参画 -

 

 2010年の一般労働者の所定内給与の額は女性が22万7600円、男性は32万8300円で、男性を100とした場合の女性の給与額は、69.3しかない。日本の男女間賃金格差は、OECD加盟国の中で、韓国を除けば最大である。

 

 日本は、世界で最も早い段階で、男女同一賃金原則を法律で定めた国である。1947年に制定された労働基準法(以下、「労基法」という)第4条は「使用者は、労働者が女性であることを理由として賃金について男性と差別的取扱いをしてはならない」と男女同一賃金の原則を定めており、違反した使用者には罰則の適用がある。労基法4条違反に対しては、労基署長、労基監督官に申告する権利が保障されている。しかし、労基法第4条制定から65年近く経過しても、日本では、女性労働者の平均賃金が男性の7割を超えたことはまだない。労基法第4条をよく読んでみると、男女の同一労働に対して賃金差別を禁止しているのか、男女の同一価値労働に対して賃金差別を禁止しているのか明らかではない。禁止されているのは、労働者が女性であることを理由とする賃金差別だけである。

 

 日本政府は、労基法第4条があることを根拠に、1967年にILO100号条約(同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約)を批准し、1985年には、均等法を制定して、国連の女性差別撤廃条約を批准した。女性差別撤廃条約は、その第11条(d)項で、同一価値の労働についての同一報酬(手当を含む。)および同一待遇についての権利ならびに労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利を保障しており、同一価値の労働についての同一報酬は、ILO100号条約と同じ意味であると解釈されている。

 

 ILO100号条約の同一価値の労働には、同一労働、類似労働、同一価値労働が含まれると解釈されている。男女が同一労働あるいは類似労働をしていれば、賃金は同じである。これに対して、同一価値労働は、男性と女性が異なった仕事をしている場合に、その価値を比較して、価値が同じなら同一賃金を支払う原則である。女性差別撤廃条約が「労働の質の評価に関する取扱いの平等」の権利を保障していることに注目しなければならない。しかし、労基法第4条が同一価値労働・同一賃金の原則に触れていないことは、ILOの条約勧告適用専門家委員会から日本政府に対し繰り返し指摘されてきた。


 ところで、ILO憲章第24条は、政府が条約を守っていないことを使用者あるいは労働者の団体が国際労働事務局に申立てることを認めている。2009年7月29日に、ユニオン・ペイ・エクイティ、商社ウィメンズユニオン、全石油昭和シェル労働組合が、ILO(国際労働機関)事務局長(ホアン・ソマヴィア)に、日本における男女賃金差別に関するILO100号条約(男女同一価値労働・同一報酬条約)違反の申立をした。昨年(2011年)11月11日に、この申立に対して設置された調査委員会より報告が出された。調査委員会は、労基法第4条は、異なる職務を比較して賃金を支払う同一価値労働の概念を含んでいないと指摘し、全く性質は異なるが同じ価値をもつ同一価値労働対する同一賃金原則を法律で明記し、労働の相対的価値を決定する措置の履行と監督の強化を実践するために使用者団体と労働者団体の協力の下に一層の取組みが必要であると結論している。

              

 

                          

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