当社は「健康な体ときれいな水を守る」という企業理念に基づき、無添加石けんをはじめ、シャンプー、洗濯石けん、歯磨き粉などの環境や体に優しい石けん製品を製造販売しています。
石けんは毎日使う、私たちの肌に直接触れる製品であり、使用後の排水は海を通して世界中の環境に影響を及ぼします。私たちの生活の中で最も身近に環境との関わりを感じさせるものの一つだと言えます。
企業活動を通して40年以上にわたり健康と環境の問題に取り組んできた当社の企業理念は、SDGsの目標と一致すると考え、2019年1月から全社を挙げて取り組むことを決めました。
SDGsの目標のうち、「すべての人に健康と福祉を(目標3)」、「安全な水とトイレを世界中に(目標6)」、「海の豊かさを守ろう(目標14)」の3項目と合致する無添加石けん製品の製造・販売、そして健康と環境についての情報発信が主な取組みです。
人気商品である浴用石鹸3個入の売り上げのうち1%を、人と環境に優しい活動を行っている団体などへ寄付して活動を支援しています。今後の支援先として、カンボジアの井戸建設も検討中です。
地方自治体と一緒に、無添加石けんの利用を広げる取組みをしています。
水産業が盛んな北海道の厚岸町では、現在だけでなく将来の水産資源を守ることも視野に、海や川の水質保全に力を入れています。そのため、海や川の環境に優しい無添加石けんの購入代金の25%を町が助成する制度を導入している、全国で唯一の「石けんの町」です。対象となる商品には町の認定シールを貼って、消費者が環境に良い商品を選びやすい仕組みが作られています。
認定商品として当社の製品が採用されているだけでなく、1997年の助成制度開始の時と2018年に、町民の方に向けて無添加石けんと環境についての講演を行いました。
また、熊本県あさぎり町では、町の自然環境を守るために町営の温泉施設で環境に良いものを使用したいということで、当社の無添加石けん製品が導入されています。
1995年の阪神淡路大震災の際、同時多発的に火災が発生したため、消火用の水が不足して多くの方が亡くなる事態となりました。
阪神淡路大震災の事例を受けて、北九州市消防局では少量の水で消火が可能な消火剤の導入を検討しましたが、界面活性剤を使用している既存の消火剤は消火後に泡が残る泡がなかなか消えません。北九州市は公害を克服した経験から環境保護に力を入れている都市ですので、有害物質を含んだ泡が環境に負荷を及ぼすのではないかという点が問題となりました。
2000年に北九州市消防局から環境負荷が低い消火剤を開発してほしいという依頼があり、当社・北九州市立大学・北九州市の産学官の連携事業として開発を開始。800種類ほどの試作を経て、2007年に世界初となる「石けん系泡消火剤」が完成しました。現在、北九州市をはじめ全国の自治体で採用されています。
この石けん系泡消火剤の活用先を探していく中で、インドネシアの泥炭火災のことを知りました。水分が染み込みにくい泥炭地の地中火災は、導火線のように燃え広がって火元と離れた場所で発火するため、消火が難しい。しかも、火災に伴って空気中に大量のCO2が排出され温暖化の原因となるだけでなく、煙による健康被害、近隣諸国も含めた飛行機の離発着への影響など、様々な問題を引きおこしています。
地表に水をかけるだけでは水分が流れてしまい、地中の火災を止めることはできませんが、石けん系泡消火剤は浸透力が高いため、泥炭地に消火剤を染み込ませて保水し消火することが出来ます。加えて消火後の土地の農地への転用のためにも、環境負荷の低い当社の消火剤が適していると思い、JICAの支援を受けながら普及実証に向けての取組みを進めています。
化学物質過敏症についてのショートムービーを制作し、講演会や勉強会への無料貸し出しを行っています。香水や、服に残る柔軟剤のにおいなど、周りの方の行動が化学物質過敏症の方に影響をあたえてしまう状況を知ってもらいたいと考えています。
それから、小さな取組みですが、地元・若松区にある子ども食堂に、当社の製品を提供し、社員も積極的に活動に参加しています。そういった公に貢献できることを続けていきたいと思っています。
無添加石けんの製造販売と並んで、情報発信も重要な取組みとして位置付けています。環境のことや化学物質過敏症、香りによって体調不良が引き起こされる「香害」などを新聞広告や講演活動、出前授業、工場見学を通して多くの方に知っていただき、消費者の方が環境に負荷を与えない生き方を選択できるような情報発信に取り組んでいきます。
日々の排水の汚れを下水処理場だけで完全に取り除くことはできません。だからこそ、パッケージを確認して商品を選ぶなど、消費者が環境への影響を意識して生活することが重要になります。一人ひとりの毎日の行動が大切だということをこれからもお伝えしていきます。