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世界はなぜ、ジェンダー平等をめざしているのか

98日に、福岡市のソラリア西鉄ホテルで、福岡国際女性シンポジウムが開催されました。このフォーラムは、国際的な視点で男女共同参画社会の形成を進めるために、福岡県と「あすばる」が共催で毎年開催しているもので、今年は、世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダーギャップ指数」をテーマに、なぜ世界はジェンダー平等を目指しているのか、日本のジェンダーギャップ指数ランキングはなぜ低いのか、向上のためにはどのようなことが必要かなどを討論しました。

 


プログラムは、
  基調講演
  
テーマ:「世界はなぜ、ジェンダー平等を目指しているのか」
 
  講 師: 大崎麻子氏(関西学院大学客員教授)
 パネル討論
 
テーマ:「ジェンダーギャップ指数から考える女性の活躍推進」
 
パネリスト:大崎麻子氏
        
申琪榮氏(お茶の水女子大学准教授)
        
南野森氏(九州大学法学部教授)
        
ルース・マリー・ジャーマン氏
        
((株)ジャーマン・インターナショナルCEO
 
コーディネーター:神﨑智子(あすばるセンター長)

です。

 
  
終了後、参加者の皆さんから、たくさんの示唆に富んだお話を聞くことができ、日本の課題も明確になった、とてもよかったという多くの声が寄せられましたので、本コラムでシンポジウムの内容を、基調講演とパネル討論の2回に分けて簡単に報告します。正式の報告ではなく、私の印象や感想も含まれています。あしからず。

 

 基調講演は、大崎麻子さんに、なぜ世界はジェンダー平等を目指すのかについて、国連を中心とした国際社会による取り組みの変遷、世界経済フォーラムが、ジェンダーギャップ指数を発表するようになった背景などを、UNDP(国連開発計画)勤務での経験も踏まえてお話しいただきました。

 

 
 
要約すると、国連は創設以降、平和で人権が尊重される世界をつくるために活動しており、男女平等は中心的な課題であったこと、特に途上国の開発政策において、男女平等の実現を念頭に置いた事業は波及効果が高く、ジェンダーの視点は、開発政策の実効性を高める上で不可欠であったこと、そんな中、21世紀に入り、経済社会が、ジェンダー平等は経済発展にとっても効果が高く、経済面から見ても合理性にかなう賢いスローガンであるということを認め、2006年から世界経済フォーラムがジェンダーギャップ指数(GGGI: Global Gender Gap Index)を発表し始めた、ということが経緯です。

 
 
世界経済フォーラムは、世界のトップリーダーたちが一堂に会し、地球規模の課題を議論する「ダボス会議」を開催する組織です。
 
開発の分野において、UNDPは、1990年から人間開発報告書を発表し、その中で、ジェンダー・エンパワーメント指数(GEMGender Empowerment Measure)を発表したり、今でもジェンダー不平等指数(GIIGender Inequality Index)を発表していますが、世界のトップリーダーたちの組織である世界経済フォーラムが発表するGGGIは、世界中の注目を集めたのですね。いま、人権と経済が合流したものが世界共通の課題になっているのです。
 


   大崎さんの分かりやすい解説と力強いメッセージは、すべてにわたって参加者の共感を得ましたが、その中で、開発政策におけるジェンダーの視点に関するお話は、途上国の事業だけでなく、私たちが男女共同参画施策を行う上での参考となると思いますので、ご紹介したいと思います。
 
 
ジェンダーの視点を開発政策に取り入れる過程は、次のようになります。

 

(1)まず、政策の対象は、住民というひとくくりではなく、男性と女性がいるということを認識することから始まります。

(2)次に、男女間の力関係や役割分担の違いによって、男性と女性は異なる状況にあるということを認識します。

(3)男女が異なる状況にあるということは、男女格差が生じているということが考えられます。

(4)このことから、政策は、①男女の異なるニーズに対応するよう配慮することと、②男女格差の根源的な要因を解消し男女平等の実現を図るようにするという2つの方向から考える、ということになります。

 

大崎さんは、パネル討論で、「女性」に対する仕事と家庭の両立支援としての「時短」が、子育てや家事の責任者は女性であるということになりかねないという懸念を言われていました。女性の現実のニーズに応えるという施策を行うというだけでは不十分で、女性の現実のニーズは男女の固定的な役割分担から来ているのではないか、というクリティカルな視点が必要だということなのです。
 
パネル討論に関しては、また改めてご報告します。ではまた。

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