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大曲 昭恵(おおまがりあきえ)さん (2015年8月取材)

【ロールモデル】
ロールモデルとは

 

福岡県 副知事

キャリアプランを描き、自分軸で柔軟に進もう

2015年7月、福岡県で3人目の女性副知事が誕生した。県の生え抜きの行政職員から副知事に就任した初の女性として注目を集める大曲昭恵さん。だが本人に気負いはなく、親しみやすい笑顔をたたえ、ときおり陽気に笑いながら、キャリアや思いについて快活に語ってくれた。

自立するため公務員となり、出産しても働き続けた

 大曲さんが福岡県に入庁したのは、1981年。男女雇用機会均等法施行前で、女子学生が縁故以外で就職先を探すのは難しく、就職しても“寿退社”が一般的だった。そんな中、大曲さんが公務員を志したのには理由がある。「経済的・精神的に自立したいという気持ちが強かったんです。亭主関白な父のもとで、女性も自立するために一生働くべきと考え、公務員を選びました」。
 最初に配属された部署では、女性は補助的な業務ばかりで「えーっと思いましたよ」と打ち明けるが、「それでも自分なりに与えられた仕事の意義を見つけ、自分なりの工夫と、次につながる仕事をしようと心がけていた」と語る。
 25歳で結婚し、男女3人の子どもを出産。行政職員にまだ育児休業制度がない時代、2人目までは産休で復帰。1人目のときは、「ずっと赤ちゃんと過ごすのは大変。産後うつになる人の気持ちがわかった」と振り返る。当時、本庁で乳児を育てながら働いている女性は珍しく、出先機関に異動することが多かった。しかし、「出産で配属先が変わるのはおかしい」と違和感を抱いていた大曲さんは、同じ部署で働きたいと直訴し、受け入れられた。さらに、子どもに手がかかる時期は「残業できません」と宣言して、業務時間内に仕事を終え成果を出せるように邁進したという。

オープンな雰囲気と前例にとらわれない発想が大事

 子育てしながら仕事も妥協せず、厚い信頼を集めていた大曲さん。50代になるとわずか3年で子育て支援課長から福祉労働部次長、新社会推進部長へと昇格。「まさか私が管理職になるなんて」というが、部長10人のうち唯一の女性部長として180人のトップに抜擢されても戸惑うことなく、どんと構えている印象だ。「たとえ少しでも自分なりにやれることがあると感じたら、どんな仕事も臆せずにチャレンジしたい。経験が浅いからリーダーは無理と尻込みする人がいるけれど、与えられた仕事の中で自分がどう工夫するか、考え方と責任の取り方次第だと思いますよ」と言い切る。
 大曲さんが管理職として心がけてきたのは、オープンな職場にすること。「全体と個々人の動きをよく見つつ、私から職員たちのもとへいき『どうねー』などと話しかけていました。また部長が来てるよ、なんて言われてましたけど」と笑う。さらに「それまでのやり方に合わせる必要はない。その都度ベストなものを模索し、柔軟に仕事に臨んできた」と語る。前例にこだわらない姿勢は子育てでも同じだ。小学校のPTAではあえて委員長となり、それまでかなり頻繁だった集会を月1回に減らし、それでも任務は全うできることを証明した。

ライフプランを持ち、女性も管理職を目指してほしい

 入庁から30余年、子育て女性を取り巻く労働環境は少しずつ改善されてきた。今後はもっと女性に管理職を目指してほしい、と大曲さんは力を込める。「子育て中の人を支援する制度は充実してきたけれど、女性側も権利だけ主張していては職場が納得してくれません。自分はこれからのキャリアをどう考え、だから育休などの制度をどう利用したいのか、しっかり伝えましょう。私自身は無理をせず、そのときどきで仕事と生活の折り合いをつけてきました。何かに合わせようとしないで、自分らしく柔軟にやっていけばいい。長いスパンのキャリアプランを描いていれば、多少のことで動揺しないし、軸を持って過ごせますよ」とアドバイスする。
 今年7月、副知事に就任。福祉労働部や新社会推進部、教育庁などを担当する。就任から1か月が経ち、「地域で活躍する女性に光を当てて、地域活性化を応援したい。役職に就く女性も増やしていきたい」と抱負を語る。さらに「これまではひとつの部をまとめる立場だったけれど、今は全体を俯瞰できる。行政は縦割りですが、本来なら横の連携が必要なテーマがたくさんあるので、テーマで部署をつないでいきたい。県民の方々にどれだけ貢献できるかを第一に考え、ベストを尽くします」。   

                                                                                                       (2015年8月取材)

コラム

私の大切な時間

「やりたいことがいっぱいあって、どれもやってきたの」と明るく話す大曲さん。仕事と子育てをしながら、テニスや弓道、合気道をたしなみ、二輪の免許を取得した。家事を分担してくれる夫(写真)や家族と気ままに旅するのも楽しみのひとつという。さらに「福祉事務所に勤務したとき、大変やりがいを感じた」ことをきっかけに、40代後半で通信大学に通い、社会福祉士の資格も取得。「子どもの大学受験に合わせて一緒に勉強したんです。私も負けてはいられない。最近、産業カウンセラーの資格も取得しました」と、公私ともにパワフルに過ごしている。

プロフィール

父親の転勤で全国を転々として、18歳のとき福岡へ。福岡大学法学部卒業後、1981年に福岡県職員として採用される。男女3人の子育てをしながら、様々な部署を経て、福祉労働部子育て支援課長、同部次長、新社会推進部長となり、2015年7月から現職。

 

 

 

 


 

 

 

 

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