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【大野城市元気塾】レポートVol.4「ママが働く壁をぶち壊す!~奇跡のサテライトオフィス千葉県流山市の事例~」

12月15日(金)は、大野城市元気塾「わたしを活かす場を作る。託児付コワーキングスペースを生み出す学びの6か月」の4回目は公開講座です。

 株式会社新閃力代表取締役・Trist代表の尾崎えり子さんを講師にお招きして、「ママが働く壁をぶち壊す!~奇跡のサテライトオフィス千葉県流山市の事例~」を話していただきました。

 尾崎さんは6歳と4歳の2児の母親です。
保育園嫌いの息子さんの為に息子さんが大好きなウルトラマンのお面を被って、自転車で保育園まで送っていたというエピソードには、会場から笑いが沸き上がりました。

会場はお子さん連れの受講生が多いので、共感も得られたようです。

 
 

キャリアを消しゴムで消さないと仕事がないという現状

 子どもを育てるために、トトロが住んでいるような場所に住みたかった尾崎さんは流山市にぴったりの場所を見つけて引っ越しました。
 職場復帰後は仕事もとても面白くなっていた時期だったのですが、子どものことで職場に迷惑をかけている現状に罪悪感を感じ、また子どもにも「なぜママの仕事の邪魔をするんだ」と思ってしまう自分が情けなくて、ママになるんじゃなかったと思ってしまい苦しかったそうです。そして29歳の時、第2子が生まれたと同時に、もうこの働き方は無理だということで、会社を退職しました。

 しかしそれでも働きたかったので、ファストフード店やコンビニでも働こうと思い履歴書を出したが「あなたのキャリアはここでは使えない」と言われて、自分のキャリアが邪魔をして仕事が見つからないという現実にぶち当たり、ママ友たちの「今までのキャリアは全部消し学生時代にしていたバイトの経験だけを書いて履歴書を出さないと地元で仕事は探せない…みんなそうしている」と言われ、キャリアを持っている人がキャリアを使って就職ができない日本はなんなんだ!と感じ自ら起業することになったそうです。
 

学童保育園の中で子どもたちと会社を作り、利益を上げる

 尾崎さんはその時期に流山市子ども子育て審議委員になっていたこともあり、学童保育園が足りない現状を知り、学童をつくることにしたそうです。
 フルタイムのお母さんたちが安心して働けるように、おやつも食事も安心して食べられるものを提供し、そしてただ預かって遊ばせるだけではなく、子どもたちに会社を立ち上げさせ、利益を出して「欲しいおもちゃは自分達で買おう」というプロジェクトを子どもたちと共に立ち上げ、地元の農家と契約をして、野菜を売ったりそれを加工してレストランで販売してり、そのレストランに対して企業共催をとったりして、1年間で5万円の利益を出したそうです。
 子どもたちはそれを欲しかったレゴブロックとおままごとに使うんだろうなと思っていたら、それぞれに1万円ずつ使い、残りの3万円は、東北の震災を受けた子どもたちとシリア難民の子どもたちと世界で教育を受けられない女の子たちに1万円ずつ寄付するということを決めたそうです。一年間の活動を通して、「利益とはどうやってできるのか、社会に還元するとはどういうことか」ということを尾崎さんは子どもたちに話していたそうで、このようなことを通して子どもたち自ら判断し、行動することこそ生きた教育なんだと私は思いました。

地元のお母さんたちのための創業塾

 学童保育ということで、都内でフルタイムで働くというお母さんの応援もしてきましたが、地元で働きたいと思っているお母さんたちに対しては、3年前から流山市と共にママ向けの創業スクールも開催しているそうです。
 そこでは、一般的な創業スクールと違い、全員に名刺を渡しスクール中に営業先を取ってくるという飛び込み営業をし、話を聴いてくれる、チラシを置いてくれるだけでもいいのでそんな企業や店舗を100社集めさせたそうです。自分たちが創業したときの顧客になりうるという人たちを自ら見つけることこそ創業への早道だという尾崎さんの力強い信念を感じました。

政治から変えないといけない!

 尾崎さんは、子育て家庭の実情をきちんと伝えてもらえるようなママ議員を輩出して政治を変えないといけないということに気づいたそうです。流山市では、子育て家庭が増えているのに、子育て議員がひとりもいない!という現状に 政治に関心がないとか嫌いとか、そういうことをいっていたら始まらないので、「ママ議員を輩出しよう」というプロジェクトを開始しました。しかし今までのような選挙の仕方ではなく、「ママがママたちで出来る範囲で最高の政策を作って勝とう!」という、今までにはないセオリーで選挙活動を行ってきた結果、彼女は新人でトップ当選!!そして今では子育て家庭の実情を伝えてもらえているそうです。
 そしてこの時につくったセオリーをノウハウ化したものを提出したところ、マニフェスト大賞を取ったそうです。

奇跡のサテライトオフィスへの道のり

 そもそも流山市は都内で働いている共働きの人たちをターゲットに誘致してきているのだから、都内企業に務めたまま自分たちの仕事に通勤できるということがなによりもニーズがある思ったので、サテライトオフィスTristをつくろうと考えたそうです。
 現在は7社27名の人が採用されてテレワークで働いています。
ここで働いている人は、子育てで仕事を辞めた人がここの教育プログラムを修了した人。都内まで歯を食いしばってまで働いていたが転職した人。そしてもうひとつは今務めている会社に尾崎さんがプレゼンをしてテレワークをしてもいいと認められて働いている人の3パターンあるそうです。まだ立ち上げて一年半ですが、小さな町の取組みがいろんな所でとりあげられるようになったようです。
 
 サテライトオフィスTristは、箱だけを作るのではなく、そこで働くテレワーカーの教育を無償でしています。まだ箱も出来上がってない前から教育が必要性を一番大切だと考え、Microsoft社へも教育プログラムを一緒に作っていくことを営業しに行き、契約を取り付けたそうです。そして、このTristで学ぶ人も相当な覚悟を持って挑んでもらえないといけません、テレワークの研修プログラムで実際の仕事を体感できるような仕組みを作り、また勉強をしているお母さんたちをサポートするために地元のおばあちゃん達がランチや夕食をつくってもらったり、地元の男性が見回りをしくれたり、お母さんたちが勉強しているときには地元の高校生が子どもたちを見てもらうという取組みもしました。
 ここまでのTristの軌跡としては、尾崎さん自らいろいろなボランティアをして、まず地域の人たちと尾崎さんが仲良くなり、そして、創業塾やセミナーをひらいて行政の信頼と、地元のお母さんたちの思いを知り、サテライトスペースの開所し、Microsoft社の協力を得て人材教育をし、現在は1店舗目が満杯状態なので第2店舗目をつくっているということです。

子どもたちを変えない限り、日本は20年後も働き方改革をしている?!
 尾崎さん自身は子どものキャリア教育が専門で、これまでの小学生から大学生までキャリア教育をしてきた経験から…
子ども達の成長に必要なことは「支えあう地域のコミュニティを持つということと、大人が学ぶ姿を子どもたちに見せることこそが最高のキャリア教育」になるということがわかったそうです。子どもたちを変えない限り、大人がどんなに働き方改革をしていても20年後も働き方改革をしているのではないか?メディアで知るかっこいいキャリアは現実感がない、隣にいるお父さんとお母さんを見てもそう感じない、やっぱり日本って働くことは楽しくないよねって思わせること損だと思う。お父さんとお母さんが新しいことにチャレンジしている姿を、商店街の中に置き、子どもたちがふらっと立ち寄れるところに新しい未来を置くということを意識し、サテライトオフィスTristをつくったそうです。
 Tristでは、無料の地域人材育成プログラム、コミュニティの醸成としてパパの運動会をしたり、育休後のかふぇを開いたり、そしてサテライトオフィスの運営という3つをメインでやってます。
多様な人々が関わるオフィス

 Tristではお母さんたちからお金はもらっていません。
教育プログラムも無料、お母さんたちがテレワークをする場所代ももらっていない、全て企業から頂いているそうで、お金はあるとことから持ってくる!ということを尾崎さんはポリシーとしていて、企業からお金をもらうことで、人と仕事を呼んでいるそうです。
 サテライトオフィスとして機能している中、「高校生カフェ」もあり、ここは先にも紹介しましたが、お母さんたちが勉強しているときに子どもたちに絵本を読んだりしているようで、このカフェで高校生たちは何の商品をいくらにするのか?運営のオペレーションをどうまわすのかを授業の一環としてやっていて、これこそ生きたキャリア教育ですね。

 

Tristの成功のポイントは・・・
1、企業をターゲットにしている
  地域はお金にかえられないものがある。地域は物々交換!企業からはお金!それを徹底している。
2、得意なことをする、苦手なことはしない!
  全部受けいれるとつぶれるだけ
3、自立した人集める!
  初めの人材が大切!
  事業の価値が問われるのできちんとした成功のシンデレラストーリーが大切になる。



スタッフのつぶやき
 とにかく、尾崎さんはパワフルな方でした!
このTristの事業を、社会の為にしているとか、お母さんたちの為にやっていることではなく・・・
「私はわたしのためにやっている!この荒れている荒野のようなところを耕していることがよだれが出るほど楽しいんです!」といわれていました。
 尾崎さんは、これからは学校の中にサテライトオフィスを作りたいと考えているそうです。子ども達の一番身近な学校に未来を置きたいと願っている、これからの尾崎さんの活躍が楽しみです!
 

 

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